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筒井康隆作品のように楽しむ「ふうふ」

しばらくの間、「1ポンド」を題材に
辛辣なことをいろいろ書いてしまったので
今回は作品を褒めたい。
褒めたい欲が湧き上がっている。

ただコロナ禍の緊急事態宣言が明けたり
東京アラートが発動しつつも
ステップ3に移行したりで
なんだかとても時間がとれなくて、
ぼんやりと思いを巡らせる時間が足りない。

こういう状態で、
すごく褒めたい作品を中途半端に褒めると
やり残した感で後悔してしまいそうで、
何かもうちょっと軽い感じで取り上げられる
ちょうどいい題材はないものか。

「1ポンド」について書いた中で
「狂気」と表現した部分があったが、
それについて考えている時にしばしば
筒井康隆先生の作品が頭を駆け回った。

高橋留美子氏もファンだという
筒井康隆先生の作品のうちいくつかは、
僕の中では、初期の高橋留美子氏の絵柄で
再現される。

その筆頭が、「混同夢」だ。
サラリーマンのドタバタを描いた作品だが、
この作品を、高橋留美子氏の
「ふうふ」のキャラで脳内再生すると
再現率が(僕にとっては)ものすごく高くて、
両氏のファンの僕的には「しふくぅぅぅぅ」である。

というかもう「ふうふ」が既に「混同夢」の
トリビュートと言ってもいい。
セリフ回し、擬音、スピード線、
全てが「ああいう感じ」で最高だ。

「筒井漫画涜本」に、
なんで高橋留美子氏は参加してくれなかったのか。
もっとも、1995年の刊行では
高橋留美子氏の絵柄も「らんま」後期となっており、
あの頃の筒井先生のごちゃまぜ感とは
ちょっと違った風になっていただろう。

「ふうふ」は1980年の、
「めぞん」が始まる前の作品だが、
世俗的なシーンが多いこともあってか
松本零士氏の絵の影響を感じる部分が多々ある。
高橋留美子本」の中で高橋留美子氏は
松本零士氏の影響を誰も指摘しないと
言っていたが、例えば
「行きませう。」のコマの
吉行誠の腕の逆反りなんかは
そうなんじゃないかなー、と思う。

まぁとにかく「ふうふ」は最高だ。
一応オチ的には夫婦愛のようなもので
〆られてはいるけれど、
基本的には狂気の垣間見える不条理ギャグであり、
高橋留美子氏の作画が
それらを最高のものにしている。

「ふうふ」については
いつかもっとねちねちと書いてみたい。