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「オンリー・ユー」のBGM

さて「オンリー・ユー」だが、
セカイ系のはしりともいうべき
ビューティフル・ドリーマー」が
思春期の僕を熱狂させたことに比べて、
「オンリー・ユー」は
実はそれほど興奮をもたらさなかった。

何といっても作画監督
遠藤麻未氏が入っていなかったことが
僕的には大きい。
それまでのTVシリーズにおいても
可愛いラムは
遠藤麻未作監の時にしか拝めなかったので
劇場版予告編を見た時の落胆といったらなかった。

「オンリー・ユー」よりも、
できのいいTV回を
繰り返し見たほうが充実感があった。

「うる星」のアニメは子供向けじゃない、
そういう自負を持って視聴してきたのに
「オンリー・ユー」のやや幼稚な演出は
僕を悲しくさせた。
「影踏み」をする幼児のあたるとエルや
「影踏みのワルツ」は
子供を持つ親の世代になら
また違った感慨をもたらしたのかもしれないが、
未来を信じていた僕には
身体にまとわりつく大人の道徳論のような
気持ちの悪いものだった。

だから「オンリー・ユー」のストーリーは
好きじゃなかった。

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91分 17,800円なり


ただ生活の回りに「うる星」は感じていたくて
「オンリー・ユー」についても
外すことはできなかった。

貯金から公式ビデオも買ったけれど
その頃は動画を携帯する術はなく、
だから「オンリー・ユー」のBGM集のレコードから
カセットテープにダビングをしたものを
ウォークマンでいつも聞いていた。

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原作絵ジャケットが誇らしかった


その頃はフュージョン音楽も
それなりに流行っていたので、自分の尺度では
映画のサウンドトラックを日常的に聞いているのは
「有り」だったのだ。

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対してドラマCDのこのジャケット…


「オンリー・ユー」のBGMは数限りなく聞いた。
なんなら今も、ネット麻雀をする時に
かけていたりもする。

「オンリー・ユー」にも断片的な名場面はあって
それらにはとても価値を感じるが、
ビューティフル・ドリーマー」よりも
圧倒的に秀でているのはこの「劇中BGM」だ。

アニメ「うる星やつら」のBGMについては
「WEBアニメスタイル」さんの第171回、
「テクノポップがいちばん ~うる星やつら~」
が詳しいが、とにかくシンセシンセした音、
またドタバタシーンでの早弾きなどは
次世代感があって、
僕の自己肯定感も満たしてくれた。

「オンリー・ユー」のBGMはそれにも増して
各シーンのキャラの心情の表現、
観客の気持ちの増幅に
強く強く作用しているところが
実に「作品のBGM」としての働きを全うしており、
たいへん素晴らしい。

当時、どのアニメ雑誌から情報を得たのか
もうわからないが、
「うる星」のBGMスタッフが
オリジナルの楽曲を集めたレコードを出したと聞いて
それもそそくさと入手した。
「TPO 1」である。

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むろん取り寄せであった(当時)


当時はこんなマイナーなレコードを持っているのは
自分だけだろうと思っていたが、
数十年経った後にamazonで検索してみたら
CD版が出ていたのには驚いた。
それだけ需要があったから
CD版が出たということなのだろう。
また、「TPO 2」については知るところではなく
こちらについても驚いた次第である。

CD版といえば「オンリー・ユー」のBGM集のCD版は
現在では少しプレミアがついているようである。
僕の場合は後年、
レコードをデジタルデータ化して聞いていたが
テクノはテクノらしく、もともとデジタルなものを
聞いてみたいという気持ちがあって、
HARD OFFでたまたま巡り合ったものを購入した。
そもそも流通量がかなり少ないようだが、
無理して入手しなくてもYOUTUBEで聞けるようだし
あまりプレ値がはびこるのもどうかとは思う。

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B.DのCDもそうだがこのトリミングっぷり



僕の場合は「オンリー・ユー」のBGMが
きっと青春という時期への
架け橋にもなっているのだろう。
思い出補正バリバリというやつである。
だが、BGMを聞けばシーンが浮かぶ、というのは
汎用のTVシリーズ向けBGMではあまり無いことだし、
逆に劇場版であれば
何度も見ないと刷り込まれない、ということもあって
映画館の入れ替えがなかった時代、であるとか
ビデオを手に入れ、
テレビで放映されればそれも見る、という
ヘビーローテーションを経た結果ともいえるのだから
僕にとってはとても大切な、
大事にしたい記憶とモーション、なのである。