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「鬼滅」ブームと昔の「うる星」ブーム

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が
大ヒット中である。
興行収入の記録を打ち立て、
きっとさらに伸ばしていくことだろう。

まさに社会現象となっている「鬼滅」だが
どちらがいい悪いではなく、
「うる星」の当時の流行っぷりと比較してみたい。

まず社会現象としてだが
アニメ「鬼滅」が 
本来的には深夜アニメなのに対して
アニメ「うる星」は、
「楽しくなければテレビじゃないっちゃ!」の
フジテレビ全盛期の水曜19:30からの放送だった。

テレビが一般家庭の
娯楽の王座についていた頃だから
そりゃもう認知度は高かった、と
思いたいところだが必ずしもそうではなかった。

当時はアニメが、アニメであるというだけで
分別の付く年頃には
卒業しておくべきものだったし
ましてや半裸の女の子のテレビマンガなど、
凝視してはいけないものだったから
視野には入っても、
決して見ようとしない人たちが多かった。

うる星やつら」を「うるぼしやつら」と
読む人が結構いたというのも
あながち嘘ではないのである。

ラムちゃん」「だっちゃ」「ダーリン」
辺りのフレーズはかなりの人の知るところだが、
「あたる」「ランちゃん」が
どういうキャラなのか
把握していた一般層はそう多くはあるまい。

……「海が好きっ」という台詞は
一般にも認知度が高いような気がするが。

とにかくそういう感じで、
「うる星」が好きだなんて
公言できる時代じゃなかったし、
世の中も、目を背けるように、
見て見ぬふりをしていた、
それが「うる星」だったと思う。

だから当然、
今では老若男女誰でもが知っている
「鬼滅」のほうが、
だんぜん社会に認知されているといえる。

「鬼滅」人気にあやかって
コラボ商品、コラボ企画も
数えきれないほど世にあふれているので
「鬼滅」はとにかく目に入る。

儲かるのだから正義だ。
誰も損してない。たぶん傷付けてもいない。

ただ、「鬼滅」が
エポックメイキングだったかというと、
あまりそうは思えない。

商業的なエポックメイキングは
規模はどうあれ
進撃の巨人」が既に達成していると
いっていいだろうし。

ただ、時代の潮流に、
恐ろしいほどシンクロし、マッチしたのだ。

翻って「うる星」は
過去のアニメでは見られなかったぐらいに
美少女を並べ立て、
変態的なエピソードを網羅した、
フェティシズムだらけの作品として
開祖であり、金字塔である。

アニメ「うる星」が
後のアニメ・漫画に
多大な影響を(商業的な意味でも)
与えたのは間違いない。

ブームとしての大きさは、
「鬼滅」のほうが圧倒的に大きいだろう。
だが、ブームの「意味」は
「うる星」のほうが強く持っていた、と
僕は思う。

ファンとして誇れるかといったら
別に誇るようなことじゃないけどね。