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今年のバレンタインは日曜日だから! うる星やつら「惑わじのバレンタイン!!」レビュー

えー、明日はバレンタインデーなので、
それに沿った作品のレビューをしようと思う。
PV数を気にしているわけじゃないけれど、
時事ネタを絡めると
連想がすすんで文章書きが楽なのだ。

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まずはこのエピソードのタイトルだが、
「惑わし」ではなく「惑わじ」である。
これは長い年月の間に完全に失念していた。

ラムとあたるのラブラブエピソードなだけに、
当時は結構熱心に読み込んだから
エピソード自体は頭に入っているのだけれど、
「ラムに惑わされたバレンタインデー」
というふうに記憶違いをしていたのだ。

実際、「惑わじ」なんて言葉は
現実にはほとんど使われていなくて、
検索しても、うる星の
このエピソードを取り上げたサイト以外は
ほとんど出てこない
アイマスの曲名がひとつ出てくる)。

動詞の未然形「惑わ」に
古典文法の打消しの助動詞「じ」がついて
「惑わない」、
「惑わないバレンタイン」となり、
タイトルの時点でオチがバラされている。

もっともこれは落語みたいなもので、
どうやってそこに持っていくか、
また「惑わない」の主語がないことから、
惑わないのは誰なのか考えさせる、というような
楽しみ方の奥行きを出す効果が出ていると思う。

まぁただ、扉絵からし
ハートが割れていたり、リボンがほどけていたりと
破局を予感させる体裁になっているので
「し」と「じ」のミスリードを狙っていた可能性は
多少なりともあるんじゃないだろうか。

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カエル口のラム。
ひと頃、高橋留美子氏はお気に入りだったようで
多用されていた記憶がある。
キャラのファンとしては、
美人・可愛い方向に振られた絵が見たかったので
当時こういうカエル口の絵は好きではなかったが、
今見ると、これがあってのラム、という気もする。
カエル口の珠玉は「わるだくみ」かな。

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この「わるだくみ」も相当有名かと思っていたけど
webで検索しても全然引っかからないんでやんの。
9巻の3話「三つ子の魂、百までも!」です。

そりゃそうと、「惑わじのバレンタイン!!」は
カラー原稿ではないか。
ずいぶん前に買って開けてない、
「パーフェクト・カラーエディション(下)」の
シュリンクを破る時が来たようだ。

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しのぶとはいい関係が続いている。
仲良く会話できる仲、であるだけで幸せではないか。

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あたるはなんで
こんなもうもうとしたホコリの中にいるんだ?

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と思ったがこれはホコリの表現ではないのか?
この少し後に教室の掃除時間の描写があるだけに
気になるところではある。

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ランの宇宙船(?)の
このパースの取り方はすごいなぁ。
ランとレイのカップルはこのコマしか出演しないが、
この力の入った作画のおかげで
このエピソードの中でも
ちゃんと存在感を放っている。

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ラムのこの「ないっちゃ!」。
後であたるをびっくりさせたい、
という意図はあったようだが、
そのせいであたるが落胆、
意気消沈してしまうことを
見通したうえでというなら、
ラムも案外お人が悪い。

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なんかすげえ惨めに描かれとるな。
虚栄心のためにここまでひたむきになれるって
若いってすごいなー。

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見上げればサクラがいてくれた。
髪も風になびいている。
癒し、抱擁してくれる役での登場である。
この後のあたるの要求は正しい。

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「ラムのばか!」ってすごいな。
片思いの女の子かよ。しかも2回も言うなよ。

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ラムの丹精込めたチョコを
「こんなアホなもん」と言い切るテン。
全くその通りである。
仕掛けとしちゃあちょっと子供だましな感じで
見てるこっちが恥ずかしいわ。

この他愛の無さは
男子読者の嗜好に合わせて、なんだろうか。
なんつーか、こんなオチにしてもらっちゃって
すみませんねぇ、と言ってしまいそうな
フクザツな心境である。

数量じゃないよね、というところで
ふとサブタイトルに目をやれば
ラムは惑ったりなんかしないのだ、
と書かれており、
綺麗なハッピーエンドである。

ちっ、イチャイチャしやがって。