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自粛中でしたが子供の日だったので! うる星「ああ、子どもの日は恐怖じゃ!」レビュー

先日、ちょっとした調べ物で
「笑う標的」をネット検索したのだけれど、
漫画家の きたがわ翔さんが、
「笑う標的」と諸星大二郎氏の作品の共通点などを
ブログで書いていらっしゃるのを発見した。

諸星大二郎作品は、留美ックファンなら
押さえておくべき必須科目なのかもしれないが、
僕はおぞましい系があまり好きじゃなくて
今まであまりちゃんと読んだことがない。

ちょっと驚きの内容だったので、
「笑う標的」をよく知る方は、
きたがわ氏のそのブログをぜひ見ていただきたい。

内容は、
ディープな留美ックファンにとっては
周知の事実かもしれないが、
僕は浅学でまったく知らなかったので、
おおいに感銘を受けた。

いやぁ、ありがたいことです。


えーさてG.W.なので
金太郎の話でも扱おうかと思ったのだが
そのエピソードを、僕はあまり好きではないのだ。

原作を読んだのとアニメの放送を見たのとが
ほぼ同時期だったので、
アニメの印象に引っ張られているのかもしれない。

なんか幼児番組のような構成で、見ていて
バツの悪い思いをしたような気がする。
実際には原作の方は
カラッとしたギャグエピソードなんだけど。

でもこれを逃したら金太郎エピソードは
二度と扱わない気がするので、
やっておきましょう。
うる星やつら「ああ、子どもの日は恐怖じゃ!」。
コミックス8巻のラスト、PART-11です。

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扉絵は立体的で、とてもいい。
高橋留美子氏は
たまにこういう立体的な絵を描くけれど、
単なるアイレベルの絵ではないものを描きたい、
という気持ちが、
この頃はとても強かったのだろうか。

視点が鳥やUFOだったり、小人だったり、
そういうことが「空想科学」的だったように思う。

金太郎のエピソードは、この次の
「幼児たちよ、大志を抱け!!」(9-1)に
繋がっているのだが、

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なぜ巻をまたいでいるのか。

そういえば真子エピソードも
7巻と8巻をまたいでいる。
どちらもジャリテンメインの話だ。
なぜなのか?

一応各話読み切り形式なので、
「続きを読みたければ次の巻も買え」、
という戦略的なものではないだろう。

それとも当時はコミックス収録の計算が
アバウトだったのか?

まぁ「うる星やつら」においては
コミックス版、ワイド版、文庫版で
それぞれ巻数が違うみたいなので
コミックス収録数が区切り、という概念も
あまりないのかもしれないけれど。

好意的に解釈すれば、
雑誌の形態で読んでもらうのが
作者的には本望で、
単行本の形態はあくまで二次的なもの、
とお考えなのかもしれない。

扉一つで長くなってしまった。


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火は吐かない。電撃も出さない。
それが面白い。
これ、「うる星」終盤のラムだったら
鼻白んで電撃くらわして終わりなのだ。
それでは、“熊がいた”というインパクトも
薄れてしまうし、後も続かない。

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㌧㌦(機種依存文字で失礼)

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このコマおもろいなー。
すっとぼけたやり取りと、
ラムのマジメさがたいへん面白い。
実際ラムはこういう時、
エピソードの“マスコットキャラ”に
徹する傾向があって、それは言ってみれば
“異国の人のぎこちなさ”のようで、
見ていて微笑ましいと思うような、
そんな気持ちにさせられるのである。

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テンの台詞「ラムちゃん顔が広いからなあ…」は
全く不要な台詞なんである。
だがこの台詞があることで、
その場の空気感にすごく厚みが増している。

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この LIFE GUARD のトレーナー、
当時(コスプレとして)欲しくて欲しくて、
地元の商店街でアメカジの店を
覗いたりもしたんだけど全然なくて。

つうかあたるはおしゃれだよな。
女の子ウケがいつも念頭にあるからか。

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これは

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これやね(2-7)。

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何が上手いって
このしのぶの膝がちょっと曲がっているのが
最高に上手いなと思うわけですよ。

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この光沢感、鏡面の表現!
これはメカもの漫画に匹敵してるでしょ。

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なんだろうなぁ、
「お茶目系モンスター」を描いていても
高橋留美子氏・山本貴嗣氏・椎名高志氏 辺りに
共通するこの感じ。
モンスターズ・インク」とは、
ちょっと違ってて。
吾妻ひでお氏あたりがベースになると
こういう感じになるのかな。


ストーリー自体は特に何もない。
劇中時間でも、30分程度の出来事だろうし。
その、“さらっとした”日常に流れる時間の中に
でっかい宇宙船が現れる、というのが
このエピソードのキモだと思うのだが、
アニメではやたらドタバタにしちゃってたなぁ。

かといってアニメをリメイクされても
ちょっと困るかもしれないけど。
「金太郎」というお話自体が
知名度下がってるような気がするし。

来週は後編、「幼児たちよ、大志を抱け!!」
をレビューします。