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GO TO !? うる星やつら「幼児たちよ、大志を抱け!!」レビュー

先週は「ああ、子どもの日は恐怖じゃ!」を
レビューしたので、今週はその後編の
うる星「幼児たちよ、大志を抱け!!」(9-1)を
取り上げようと思う。

しかしほんとにアニメの方
(「秋の空から金太郎!」と
「たくましく生きるんやっ!」)はひどかった。
“おバカな面々のドタバタコメディ”的に
低俗なアレンジがされていて、
それはひょっとしたらバブル期の
イケイケだったフジテレビの指示に
よるものかもしれないけれど。

「宇宙は大ヘンだ」は名曲だけど、
『ヘンとヘンを集めてもっとヘンにしましょう』
というフレーズは、今から考えると
どうとでも解釈できる、
危険なコンセプトだったように思う。
あの頃の時代を示すキーワードとして
エンタテイメントとしての「大騒ぎ」が
あると思うのだけれど、
「ドタバタ」「ハチャメチャ」は
無作為にやるとただただ幼稚になってしまう。
初期のアニメ「うる星」のいくつかが、
そうなってしまっているのは残念だ。

金太郎の原作の方はそこまででは……、
いや実は原作の方もかなり乱暴ではある。
後の「うる星マンネリ期」に通じるものがある。

しかしアニメ版金太郎と違って
漫画の利点の“テンポの良さ”をフル活用していたり
見るべきところは結構あるので、
気を取り直して順に追っていこう。

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扉絵はこれ。
ちょっといただけない感じである。
クマも、一面トーンか…。
「うる星」後期は
こういう感じの扉絵が多かったけれど。

ゲスく勘繰るアホ面の児童、少し距離を置くテン、
それにキンタロ(金太郎の本名である)の表情から
エピソードが金太郎の
空回りっぽい内容なのだなと伺わせる。
そしてその実その通りなのだ。
扉絵でだいたい全部説明できちゃっている。
そういう意味では優秀な扉絵なのかもしれない。

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金太郎が待ったをかけた電信柱。
いやちょっと待て、
この電信柱の作画は普通にすごいだろ。
パースも付けてるし、なんか庵野くさいぞ。

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このエピソードをレビューすることにしたのは
先生のこの台詞を取り上げないわけには
いかんからなんですよ。

5chのうる星スレでは「うる星」の名フレーズを
スレのサブタイトルに付けているけれど
この「つまらないことを知っている!」は
当時のファンの間では、使いやすいミームとして
結構多用されていたと思うのだ。

アニメ版では
「つまらないこと知ってるぅ~(♪)」みたいな
全く違うノリになっていて、
「これはアカン……」と思ったものだった。

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「おや?」と思わせるのがこの真子の母の扱いだ。
たまたまあたると顔を合わせたようだが
そつのない会話があまりにも“普通”で、
全然“ヘンなところがない”。
保母の先生がちょっとボケた変わり者なので
キャラ競合を避けたのだろうか。
これではただの綺麗な奥さんである。
そのわりには
あたるがむしゃぶりつくこともなく、
なんだか話を進行させる部品になっちゃってるな、
という印象だ。

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「子どもの日の集まり」が
どう作用しているかというと、

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このコマで後ろに母親たちが立っている、
たったそれだけなのだ。
他に参観要素はない。

ではなぜ「子どもの日の集まり」に
したかというと、
真子の母を登場させるためであり、
金太郎たちと幼稚園児たちを繋げるためだ。

真子の母が登場しなくても
金太郎たちと幼稚園児たちを繋げることは
できたのではないかと思うが、
そうするとエピソードを通して
幼稚な絵面が多くなってしまうことを
嫌ったのだろうか。

さて一行は幼稚園にやってきたが、

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幼稚園の保母さんの芸風が

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どうにも吾妻ひでおっぽい。
人間の虚飾をシニカルに見てるというか
なんというか。

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この、取調室へのスイッチのような
急な場面転換が、当時のアニメ制作側に
気に入られていたような記述を
メージュか何かで読んだ気がするのだけれど。
OUTかメックだったかもしれない。

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童話「金太郎」は知名度が低い。
本来のストーリーを知らない読者も多いだろう。
それを逆手に取った、

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本屋での調査、というギャグは
なかなかに凝っている。
しかしただ単に、キンタロが幼く無知である、
というだけの受け取り方もできてしまうから
やや不発気味だ。
もっともそこからの、

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童話テンプレの鬼退治に持っていったのは
スマッシュヒットだ。
そういえばテン達は鬼族だった。
その流れで、

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ラムの虎縞ビキニを全身で見せた構成は
いかにも“鬼登場”といった感じでとても素晴らしい。
まさかりを踏みつけるポーズも
善玉を砕く悪玉の行いっぽくていい感じだ。

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ラストシーンはキンタロが強請り(ゆすり)を
している横で、あたるが講釈を垂れるの図だ。
強請り自体は前編のネタであり、
後編のエピソードを読んだだけでは
意味が分からないのだが、それはまぁいい。

わからないのはここで強請る相手が
保母さんなところである。
身内を強請ってどうする!?と思ってしまう。

前編でテンを強請るシーンがあるが
それはギャグとして成立している。
だが今回のこれは、
ギャグというにはちょっと厳しい。
キンタロがおかしくなったようにしか見えない。

その辺が、
このエピソードがちょっと乱暴だという所以である。


またアニメ版の話に戻るが、アニメではキンタロが
「金出さんかいな~!!」と叫んで終わる。
原作が、あくまであたるの体験記なのとは
全然違った、ヘンなキャラクターを一人一人
紹介していくようなアプローチとなっている。

アニメ版は「うる星『やつら』」というタイトルに
引っ張られ過ぎたのかもしれない。
引っ張られたのか、
テレビ番組としてのアレンジなのか。

もっともこうして
原作を凌駕するだけのインパクトを残したのだから
アニメ最初期としては成功だったのかもしれない。

まぁでも秋に金太郎の話をやることはないよな
(テレビ放映は1981年の11月だった)。

キンタロはアニメ放映開始当時の
キャラクター商品にも結構顔を出していたから

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さっさと放送してしまいたかったんだろうけど。

そんなところで、今回はおしまい!