桜が見頃を迎えたこの週末の東京は
気温が少し低いようだが、
新型コロナ対策の
“まん延防止等重点措置”が解除されたので
花見に繰り出した人も多かろう。
とはいえたぶん、飛沫感染を防止するためには
桜の木の下での宴席というわけにはいくまい。
大勢で賑やかに宴会を開く日は
再び来るのだろうか。
よく考えてみれば花見の主役は桜であるべきで、
飲食は二次的なものだから、
宴会のない花見がおかしいわけではないのだが。
「うる星やつら」でも
何度か花見のエピソードが描かれているが、
その中でもかなり脈絡のない
「花見デスマッチ!!」(17-7)を
レビューしておこう。
このエピソードは全編2色カラーだ。
そのためか、扉にはラムのレオタード姿が
奢られている。
高橋留美子氏の著作では
ちょくちょくレオタードが読者サービスとして
提供されている印象があるが、
なんなんだろうな……。
新体操という体育種目が
ポピュラーになった時代でもあるし、
それに乗じてあだち充氏がやたら
レオタードをエロいものとして描いてたから
サンデー読者としては
そういう風に教育されてしまった感があるけど、
高橋留美子氏の絵柄では、レオタードで
身体のラインが如実になっても
別にエロくないような気がするんだが。
それにラムの場合、
当たり前だが虎縞ビキニの方が露出度は高いのだ。
あえて言えばレオタードの方が
背中は広く開いていると思われるが、
作中ではそういう、背中を丸出しにしたカットは
皆無である。
ラストのカットも髪で背中はほぼ隠れてるし。
まぁしかし続く18巻では例の
“ミス友引コンテスト”において
似たような扮装をしているし、
なにかしら、描く衝動があったのだろう。
タコの足が各々1本ずつ
桜に齧られちゃったんだって。
そんなに簡単に桜が行き来できるのか?
なんでタコ1匹につききちんと足1本なんだ?
ナンセンスギャグとしても、
仕掛けのための誂え、という匂いが
ちょっと強すぎる気がするなぁ。
そもそもタコは“面堂家”の由来であって、
本来了子もその下にあるはずなんだけどねぇ。
そうそう、気になったので、
桜と蛸に何か因縁らしきものや
言い伝えがあるのか少し調べてみたけれど、
特にないようだ。
あえて言えば蛸の調理法に
「桜煮」というのがあるが、
そこから題材を得たわけでもないだろう。
桜と了子の悪行を露呈する黒子たち。
主に背く行為だが、
ギャグにおける“悪ふざけ”“悪ノリ”であり、
黒子たち、ひいては了子が
“花見”という事態を望み、誘導しているのだ。
蛸の足は、本当に生えかわるらしい。
といっても鹿の角のように
毎年生えかわるようなものではなく、
トラブルに際して欠損した脚が
再生する、ということのようだ。
“花見”の内容からすると
「代償」はおかしいよな。
詮議として、とかならわかるけど。
桜が酒に弱い(酔っぱらう)ってのもなぁ。
別にそういうリファレンスないだろ…。
一人残らず全員ってのは強引だなぁ。
実際にはラムとあたるが残ってるしなぁ。
ラムとあたるが代理戦争をやっても
いいぐらいなんだけど、
なぜかそうはならなかった。
実際、ウヤムヤもいいところで、
勝敗を付けることが目的ではなく
「特にオチはないのである」というオチだ。
そういう観点から見るとこのエピソードは、
黒眼鏡たちの従業員としての悲哀みたいなものが
ストーリーの主軸だといえる。
それが日常であり、
エンドレスだから、オチもいらないのだ。
であればもっと、そうダストの“完璧の豚”や
“HCIA”のようにやってほしかったような気がするが、
サンデーというメジャー大雑誌では
そういうふうにはいかなかったのだろうかねぇ。
そうそう、もちろん
“パーフェクト☆カラーエディション”にも
このエピソードは収録されているっピよ!
〈おしまい〉