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カラス女(しのぶ談)と時間旅行! うる星やつら「父よあなたは強かった」レビュー

今年のNHK大河ドラマ
三谷幸喜 作の「鎌倉殿の13人」で
源頼朝をめぐる北条義時の物語である。

折しも物語は頼朝と義経の確執に入っており、
菅田将暉の怪演(?)も見どころだ。

そういうわけで今週はうる星(3-1)
「父よあなたは強かった」をレビューしたい。

2巻の終盤に登場したクラマ姫が
そのまま登場している今エピソード。
それまでに登場したサクラやレイ、
弁天におユキなどのゲストキャラが
せいぜい連続2話までだったことを考えると、
3話連続となったクラマ姫は
かなり強力な助っ人だったのだろうし、
徐々にストーリー漫画の体を成していく
試金石でもあったのかもしれない。

物語はあたるの家を見下ろすところから始まる。
右側があたるの家だが少しわかりにくい構成だ。
もっとも第1話「かけめぐる青春」の時からずっと

隣家や電信柱などの設定が踏襲されているので
明白なのだ、と言われればその通りである。

妻を尻軽と罵るあたるの父。
レイが登場した際に
妻が発情していたことを指してのことだと思うが、
あたるの母は若い頃も尻軽だったのかもしれず、
それがあたるに遺伝したというのが
父の売り言葉ではなく真実であるならば、
母のその頃を想像するとなかなかに楽しい。

押井氏のアニメ版ではあたるの母はもっぱら
欲求不満の鬱積した、やつれた専業主婦、として
描かれていたが(そしてそれなりに面白かったが)、
そうではなくて
彼女の若い頃の話も見てみたい気がする。

アンバランスといっても
全てにおいて“悪い”あたるは
低いラインにおいて平均した能力を持っており、
何かに対してアンバランス、という感じは
しないがなぁ。

このコマの「人ごとと……」は
3段ギャグとして秀逸だ。
テンポもいいが、これは“1コマを一瞬で読める”
漫画ならではのテンポの醍醐味といえるだろう。

クラマ姫の腰掛けた“電気あんま機”が
当時としても婆くさくて、
今でいうところの“ロリババァ”となっているのが
本当に先見の明があるというか
フェティッシュの開祖というか、
ホント、天才やね。

しかもファザコンだし。
この“ファザコン”設定は
後々あまり活用されることはなかったが、
こはちょっともったいなかったなぁ。
父性の強い男性に対して、ムチュメ化して
デレデレにデレるクラマ姫も
ぜひ見てみたかった。

あたるの父のこのダメ親父っぷりは
「うる星」初期の初期から描かれているので
特に違和感なく読んでしまうところだが、
“尊敬できる父としての牛若”との比較のために
ちょっと多めにエピソードに配置されたと
考えるのが妥当なのだろう。

羽を伸ばすカラス天狗。
脱がせた下駄を作画してあるのがいい。
たったそれだけのことなんだけれどもね。

片や烏天狗、片や鬼伝説、という
日本伝承の怪物の対決の構図となっているから
ラムの「食べちゃうぞ!!」という台詞も
とても自然に入ってくる、みごとなギャグである。


しっかし……
このエピソードは内容が濃すぎるな。
表紙含め28ページだが、3話分ぐらいある印象だ
(うれしいけれども)。

あたるが過去に
タイムスリップしようとするところで
レビューは来週に続けます。〈つづく〉