わりと不機嫌なのである。
さすがにこれを肯定するとファンの矜持が保てない。
個人的な好き嫌いの問題ではなくて、
いい悪いの問題だと思うから
理解してもらえるように説明したいと思う。
2022年11月17日放送「うる星やつら」
「いい日旅立ち/お雪/あたるの引退」より。
あ「なんで人の部屋に…」
そもそもここの異議申し立てがかなり穏便だ。
「理由があるなら聞くけど…」ぐらいの
テンションであり、そのせいで
この後おユキの色香に丸め込まれる男の情けなさ、
しょーもなさといった面白味が薄くなっている。
なぜそうしたのかわからない。
あるとすれば、
あたるは女性には語気を荒げないキャラにしよう、
ということかと思うが、
あたるは普段から、
さんざっぱらラムには怒鳴っている。
それにあたるは
穏やかな日常を願う普通の男子高校生であって、
迷惑を受けたり被害を被ったりすることを
本来嫌うタイプの人間なのだ。
そうでないと、彼が事件に巻き込まれる面白味が
薄れてしまう。
だからここでは
きちんと抗議させるべきだったのではないか。
また、あたるは
「なんで人の部屋に…」で話をやめている。
つまり会話のターンをおユキに渡しているのだが
そのことで、おユキがあたるの話に割り込んだと
いうニュアンスが消えてしまっている。
ユ「失礼、防寒服を脱ぎますから…」
(私の番ですね、では脱ぎますわ)
ということになってしまっているのだ。
本来なら、脈絡もなく繰り出した“脱衣”が
とんでもない破壊力で、
その前には男はまったく無力、というのが
男の情けなさを笑うギャグであり、
また“女の武器あるある”という笑いでも
あるはずなのである。
なぜわざわざ変えたのか。
あ「おぉ~っ!」
ここでのあたるの反応が早すぎる。
意表を突かれた表情が挿入されていないので
脱ぐのをわかっていたかのようである。
ここであたるが反応してしまったことで、
次のシーンの、おユキの決めポーズでの
あたるのテンション爆上がり、というニュアンスが
めちゃくちゃ削られてしまっている。
これは先ほどの、怒りのテンションが低いこととも
関係しているわけだが、
要するにあたるに余裕があり過ぎるのだ。
だからこんなことになってしまう。
ここら辺のギャグを薄味にしてまで
あたるを優しい男の子にしなくちゃ
ならなかったのか?
ユ「お話の続きをどうぞ?」
あ「はぁ…ですから…あの…」
なぜこの構図なのか。
原作ではあたると対峙するアングルだったが
なぜわざわざ変えたのか。
想像するに、おユキの肢体を
16:9のアスペクト比いっぱいに
したかったのでしょうな。
しかしいったい、誰目線なのか。
立っているしのぶか?
決めポーズだというのに、第三者目線過ぎる。
ここで一旦、臨場感がリセットされてしまう。
また、おユキがなぜここで座るかというと
ハナからあたるの話を聞く気はなく、
色気だけでもう片は付いているにもかかわらず
「さて、じっくりお話ししましょうか」と
男を手玉にとっている感を出すためなのだが、
なぜそれを“ただの動作”にしてしまっているのか。
あ「どんどん雪を捨ててください、構いませんから」
ユ「では、お茶をお持ちしますね」
一連の流れのオチのここでは、原作でのあたるの
“面と向かうと意外に女の肢体を直視できない”
というシャイな常識人というニュアンスがなくなり、
調子のいい女好き、ということになっているが
さすがにこれに関しては昭和クサいから
こういう改変でいいと思う。
まぁ昭和の話のはずだったけどね。
言いたいことは以上です。
ちょっと溜まっていたので
1回、書いてみました。
書かなければ、なかったことになるからね。
〈おしまい〉