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スケベと食いしんぼしかおらんのか。うる星やつら『平安編』レビューその2


さて、先週に続きまして
うる星やつら『平安編』(8-6,7,8)の
レビュー2回目です。
先週はこちら


先週のラストはラムの
「こわいっちゃね~~っ!」で終わりましたが
つくづく『平安編』のラムは可愛いです。
邪気がないというかなんというか
(“鬼”なのに邪気がないとはこれ如何に)。

人と交流してこなかった鬼ゆえに、
疑うことを知らず純真に育ってきた、というような
ピュアな感じがすごくします。
これはねー、日本の伝承を逆手に取った
すごく面白いパロディですよね。

パロディって何も下卑た笑いに繋げるだけが
パロディではないので、
こういう上品な二次創作はとてもいいです。

今週は『弐の巻』を見ていきますが
扉絵はこちら。

ラムは凛々しい顔をしています。
たまりませんなぁ。
「いつもと違うものが見れそう」と、
期待が高まる扉絵となっています。

対“鬼”対策会議の会議場である中華飯店で
メイドの質にこだわっている面堂。
いやホンマに美人揃いやなー。

で、その席を外しているあたる。
ラムと電話するためなのだが、
女と見れば見境のない、
いつものあたるとはちょっと違うみたい。

あたるは本来
結構食い意地も張っているほうなのに
“中華VS和食”の議論にも参加していないし
ここでは相当、ラムにご執心なのだ。

『平安編』ではトンちゃんも
いい役どころで出演しているが、ここでは
前髪で顔がよく見えないキャラ、の印象が強い。

元々トンちゃんって
古ぼけた着物を無造作に着て、
髪の毛もボサボサの風来坊、というキャラとして
登場したんじゃなかったかと思うのだけれど
いつのまにか
キラキラ目の純朴キャラのほうが勝ってきちゃって
“不思議くん”的なところは薄くなっていました。

だから『平安編』のこういうトンちゃんを見ると
「あぁ、そうだったよね!」と
ちょっと感動したりします。

温泉のこのギャグな……。
なんというかむちゃくちゃノスタルジックである。
“僕って不幸”って、なんか流行ったよね。
いやホンマ懐かしい。

「なんてツイてないんだ」が口ぐせの奴もいたよね。
吉田聡氏の『ちょっとヨロシク!』だったかな。

『壱の巻』で鬼と対決したと報道されたあたるは
町の女性からも大人気である。
今も昔も変わらないミーハー人気の揶揄、
ともとれるが、あたるの外見スペックが
実はそれなりに高いことを伺わせる話でもある。
ガールハントで、たまに「いーわよ!」と
OKをもらうのも道理だ。

というか普段は、
ナンパという手段に出るからダメなのであって
モテ男ムーブでうまいことやれば
そこそこ取っ替え引っ替えできるんじゃないの?
知らんけど。

『うる星』全話通して
“オレに好意を持ってくれている可愛い子ちゃん”
No.1に描かれているラム。
美少女恋愛ゲームの本命キャラ並みの
作画であります。

しかも『平安編』は
“芝居”じゃないし、ヤラセでもないんですよな。
これが公式なんだからたまらんです、はい。

鬼対策会議を認識しておらず、
当の鬼とデートするあたるがギャグなのは
おいておいて、
傍らでマジメくさるラムの表情が秀逸過ぎる。
なんでこんな表情にしようと考え付くんだ、天才か。

ラムとあたるが別れるこのシルエットも
いつか見た童話の1シーンのようでいいですねぇ。
ラムの体形が、
“山に帰る小さな鬼の娘”といった感じで
ちょっと野蛮なのがとてもいい。
後ろ髪に“くびれ”がないからそう感じるのかなー。

場所は変わって、
あたる(の佐)の浮気を問うのはしのぶ。

大河『光る君へ』のエピソードでもあったが
本妻の他に妾がいるのは
この時代 普通だったようで、その場合
身分的にもしのぶがあたる(近衛府次官)の
本妻になるのは揺るぎそうにないが……。

ラムの住処(洞窟)では
ラムとテンが語り合っている。

ここでの酸いも甘いも噛み分けたテンが
いいんだよなぁ。
耳年増じゃなくて、おませでもなくて、
人生経験として語るテンは
はっきり「おっさん」なのである。

ラムを心配して、しかしその声はラムに届かず
ひとりボヤくテン。
杉山佳寿子さんの声で脳内再生余裕ですわ。

ラムに寝かしつけてもらうテン。
ラムの下乳のラインを見逃すな!

(つかこの流れでわざわざ描く?)

あたるの本性を暴くために町へ出たテン。
すれ違った牛乳配達の男の着物はJASマーク柄だが、
これはさすがにヤバくないか…!?
今の版ではどうなっているんだろう…。
そして新聞を配達しているのはいつものあの人か。

舞妓さんにも出会うが
モブキャラなのに、着物の柄は
とんでもなくヘビーな描き込みだなぁ。

サクラを見かけたテンはフラフラ付いていくが
サクラが入っていったのは
お好み焼“じぱんぐ”だった。
どうやら由羅はいないみたいだけれど
由羅はもともと従業員じゃないしなあ。

鬼対策会議はまたもや低次元で紛糾するが、

これが少年漫画の上品な主人公の姿である。

ラストは ぬーちゃんを連れて
テンの捜索に出ようとするラム。
凛々しい。結婚したい。ハカマをぬいでほしい
(ハカマ履いてないけど)。

というわけで今週はここまで。
次週は『参の巻』となります。
どうかよろしくお願いします!

〈つづく〉