今期(24年春)『アストロノオト』という
オリジナルアニメが放送されておりまして、
美人の管理人さんのいるアパートは
変人揃いで今日も大騒ぎ! という話であります。
web掲示板やSNSでは
「『めぞん一刻』にそっくり」とか
「『めぞん』のパクリじゃん」みたいなコメントが
散見されますけれども、もうお前ら黙れと。
『めぞん』に寄せていることを隠し立てもせず
むしろいろいろなサインを使って
公言しているのに等しい『アストロノオト』は
完全に『めぞん』トリビュートであり、
インスパイアどころの話じゃないのです。
現在9話まで進行中の『アストロノオト』はしかし
大筋が『めぞん』とは変わっており、
宙(そら)から降ってきた美少女が、
地球で探し物をする、という
どこかで聞いたことのあるようなストーリーを
進めています。
大筋だけではなく
物語の端々にどこかで見た要素が入っていて
パッチワークというかコラージュというか、
やや散漫な感じは受けます。
まぁ、『アストロノオト』の良し悪しは
どうでもよろしい。
『うる星やつら』が令和アニメとして公開され、
いろんな批評が挙がった中に
「令和の時代に合わせたオリジナルな設定に
すればよかったのに」というものがありました。
令和アニメ『うる星』は
昭和の世界観そのままに制作されていますが
そのせいで今の若い人の共感は得られにくいし
結局新しい笑いは生み出さないのでは、
という考えからの意見だと思いますが、
確かにそれは一つの選択肢として有効です。
アニメ『おそ松さん』という先駆者もいますし。
で、やっていたらどうなっていたか。
それが、この『アストロノオト』で
垣間見られるような気がします。
まずは主人公である、
宮坂拓己というキャラクターから見ていきましょう。
宮坂くんは職を追われてアパート“あすトろ荘”に
転がり込みますが、
五代くんと違って悲壮感がありません。
無職で収入もないはずですが
「ボクも早く仕事を見つけなくっちゃあ♪」
と前向きな感じで、悪びれる雰囲気はゼロ。
そのくせ、いっちょ前に
管理人さんに恋をしています。
一応、自己肯定感を保てるよう
シェフとして何かの賞の受賞歴があるのですが
なんかもう、ナニソレって感じです。
今の世の中で
若い男性を主人公にするってそういうことなのか!?
“なろう”と同じく、
視聴者が自分を重ねても傷つかず、
むしろ気持ちよくなれる感じ、ということでしょうか。
しかもこの宮坂くん、
何も失敗しないんですよ。
つまり人間的欠点が何もない。
あえて言うとするなら…時々 変顔します。
ナニソレ。
変顔したって親近感は湧かないんだが
今どきの若い視聴者たちは湧くのか!?
まぁとにかく引け目を感じたくないんだろうね。
そのせいで、人懐っこい感じがまったくない。
人当たりはいいし、超陽キャだけど。
次にヒロインである豪徳寺ミラ。
言うに及ばず音無響子ポジションなんだけど、
ミラには全く影や傷がない。
地球という環境に不慣れな様子はたまに見せるけど
基本的にはパーフェクトヒロイン。
これはむしろ、深夜アニメとしては珍しいかも。
だって、いわゆる
“港区経営者おじに好かれる顔”ってやつであってさ、
アニオタに好かれるタイプのキャラじゃないもの。
まぁ窪之内英策氏の作風自体が
綺麗側に行き過ぎっていうのはあるだろうけど
それにしたってキャラ設定は別の話だし
演出だって別の話なわけで
そこで手を加えなかったというのはつまり
お人形さんキャラにする気満々だった、って
ことでしょう。
アパートの住人たちもかなりソフトな人たちで、
四谷さんポジションの若林氏にしたところで
“無職”を売りにしているけど
それは主人公の宮坂くんとカブってるし
変人ではあっても変態ではなく
どちらかというと良識人であって、
なんかもうナニソレって感じがすごくする。
で、たぶんこれらって
コンプラの話じゃないんだよね。
未亡人設定がコンプラ違反とか聞いたことないし。
結局マーケティングでしょう。
どういうマーケティングか知らないけど
こういうのが販売に結び付く、と
判断したんでしょうねぇ。
海外の販路なんかも考えたんでしょうかねぇ。
特に問題のない男の子が
特に問題のない女の子を好きになって
やさしい人たちに囲まれながら
ちょっと困ったりしつつも
なんかハッピーを掴み取る。
まるで最近のディズニーみたいだなぁ。
で、『うる星』をそうしてたらどうなっていたか。
うーん……。
しのぶの手前、あたるがラムに「ごめん」って
謝って終わりだな。そんでラムが少し泣いて
そのあと微笑みながら
「でも出会えてよかった」とか言うの。
ナニソレ。
〈おしまい〉