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掴みが大事か、受け入れてもらうのが大事か


えー、なにはともあれ令和『らんま』です。
僕はたいへん気に入っておりまして。
ということは令和『うる星』の時の
“旧作にこだわるあまり新作を認めない老害
の嫌疑も晴れたということか!?


X で
“各キャラの"表情の設定"が令和のアニメ界に
おいても受け入れやすくデザインされてて
嫌味がなかったのが印象的です。”
と書きましたが、ほんとに表情の第一印象がいい。

これは、“ニュートラル”状態の設定が
いいからではないかと思うんです。

各キャラの登場シーンにそれは顕著で、
早雲は分別の有りそうなしっかりした大人でしたし

かすみやなびきは好感度の高い表情でした。

 

あかねも喜怒哀楽に偏らない、
温和な表情で登場しましたね。

らんまはまぁストーリー上しょうがない。

序盤、とにかくオーバー過ぎる表情がないんですよ。
かといって無表情というわけでもなく
何も考えていないバカというわけでもなく。

「まずは聞いてみよう」という雰囲気を感じます。
逆に、聞いてもらえそう、とも思えるのです。

乱馬にしても、素直ないい顔をしています。
つまり、全員好感度が高い。


振り返って令和『うる星』ですが

 
 

まぁなんというかテンション高いんですよね。
特にあたるにおいて、
あたるの性格を紹介するためか、変顔が多い。

 

シリアス顔にしても、
それはウケ狙いの作った顔であって
彼の真面目な表情というわけではない。

ポージングについても、あたるの

 

これと、乱馬のこれ

とではずいぶん印象が違います。
どちらが今っぽいかというと
やっぱり乱馬かなぁ。


まぁこれは昭和『うる星』の呪縛かもしれなくて、

 

ひょうきん族などが求められていた時代、
テンションは高ければ高いほどよく、
楽しい奴、面白い奴が一番エライ時代でしたし
強引なマイウェイが許された時代でしたから
そこに寄せていった、というのは
商業的にまったく正解だと思います。


では原作漫画はどうだったかというと
これは漫画読みの贔屓目かもしれないのですが

これらは“作った変顔”ではないと思うんですよね。
ほとばしる感情といいますか、
出てしまった表情といいますか。

だから例えば

この顔も、“ウケるために作ったシリアス顔”
ではなくて、本当にこの顔なのだと、
つまりこれはあたるの真面目な顔なんだと、
僕は思うのです。
なぜなら、そのほうが“漫画として面白いから”。


昭和『うる星』がその辺を誇張表現したのは
正直仕方がないと思っています。
そして、令和『うる星』が
やはりあたるを“アホ”に描いたのも
ぎりぎりしょうがないかな…と思います。


でも……
現在も毎クール何十というアニメ作品が
放送されていますが、
“お調子もの”の主人公って
減ってきてると思うんですよね。

実写ですが
邦画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の
菊池君は、現代にハイテンションの
お調子者は嫌われる、というのを
ストレートに表現していました。


原作『うる星』終盤では
テンションを抑えたあたるも
たびたび描かれていましたから、
やろうと思えば令和『うる星』は
今求められるノリに合わせた作品にも
できたかもしれません。

ただそれは
“うるせいやつら”の否定かもしれないし
難しいところです。

要は、バランス、でしょうかね。

〈おしまい〉