漫画の主人公のポジションについて考えています。
学園漫画の創世期は多くの場合
“クラスのボス”、あるいは
“悪いボスに立ち向かうヒーロー”が
主人公だったように思います。
劇画調の池上遼一氏もさることながら
ちばてつや氏とか永井豪氏の活躍なさってた頃です。
『スぺオペ宙学』は僕のフェイバリットで
主人公のドン宙太は名前の通りリーダーです。
じゃあ『うる星やつら』の諸星あたるは
どうかというと、まったく違う。
ボスでもリーダーでもない。
彼は地球を救ったヒーローだけど
その後の不運によってその座をはく奪されてしまう。
クラスでも、ボスではなく その取り巻きでもなく。
どちらかというと、
徒党を組んでいるグループを
なかば軽蔑してるんじゃないか、ぐらいの立ち位置。
ノンポリというか帰宅部というか
(バレー部は置いといて)、
個人主義のハシリの雰囲気があるんですよね。
めんどくさい事には関わってられるか、
といったような(画像は『戦国生徒会』)。
サトシやコースケ、あるいは北斗にしても
放課後一緒に買い食いはするけど徒党は組まない。
その中では上下関係がないから
あたるとサトシは同格だし、コースケとも同格。
だからあたるは、
センターになることもあるけれども
常にセンターなわけじゃない。
※昭和アニメの“チビ”はいじられキャラでしたが、
友人たちは彼を格下には扱ってなかったと思います。
で、それって当時の読者にすごく寄り添ってて
おそらく『うる星』のターゲット層も
そういった、クラスのいわゆる“普通”の子たち
だったんだろうと思うんですが、
この作品は彼らの共感を得ることに成功した。
この辺、今の窮屈な時代の“異世界転生もの”と
ビジネスの形としては似ていますね。
ですが、『うる星やつら』の終盤では
あたるや面堂、しのぶや竜之介は
X-MEN となります。
脇役の友人たちとは一線を引いた一軍となります。
> しかししのぶはもはや
> あたるや面堂の“同僚”なのだ。
「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は」
三宅しのぶのポジションについて
> 主役級のキャラたちは
> まぁ言ってみれば“一軍”なわけです。
モブにはモブの人生が
同時に、大スターとなった彼らは
スキャンダルを恐れるようになる。
異性の色香に吸い寄せられる仕草はしても
覗きなんてしないし安っぽいエロ本は読まない。
着ぐるみ越しにタッチはするが直にはいかない。
「すけべえ」は口に出せても
「一発やれる」とは言えない。
まぁそれは、マーケットの大多数が
それを求めたんでしょうね。
キャラクタービジネスへの変容と
いうことでしょうか。
キャラクタービジネスといえば
昭和アニメ『うる星』の放映開始当初も
キャラクター(の数)で勝負、みたいなところは
あったんですよねぇ。
それこそゲストキャラのキャラ商品を売ってたり。
僕は土井美加さんの流れで
ウェンディが好きだったんですけど
ウェンディのキャラグッズありましたもんねぇ。
その時分のキャラクタービジネスと、
一軍に絞ったキャラクタービジネスとでは
なんだかずいぶん雰囲気が違う気がするんですが
どうでしょうかねぇ。
まぁラムの人気が高まり過ぎましたから。
その一端を担った僕が言えるこっちゃないですね。
〈おしまい〉