私たちも歳をとりました。
あの頃からもう40年。
例えば当時小学生だったとしても
ほぼほぼ50代には達していることになります。
さて、旧アニメ『うる星やつら』で
一番人気のエピソードは『ときめきの聖夜』
なんだろうと思いますが合ってるかな?

NHKの『全るーみっくアニメ大投票』では
4位になってるんですが、
そこでは『そして誰も…』が2位に入っており、
当時の感覚とちょっと乖離があるんですよね。
恣意的とまではいわないけれど
ちょっとバイアスが掛かっているんじゃないかと。
ですので当時基準で『ときめき…』を一番人気として
話を進めますけれども。

『ときめきの聖夜』が対応する原作は
『君まてども…』(3-9)です。

原作『君まてども…』は
ギャグエピソードに恋愛スパイスという感じですが
『ときめきの聖夜』では

・ミス4組無し

・面堂のヤな奴描写無し(面堂まだ出ていない)

・稚拙なラブレターギャグ無し

・ラムの焼きもちからの当てつけギャグ無し
(泣きに改変)

・組野おと子の食べ過ぎギャグ無し
というように、コメディ要素が弱くなっています。
逆に恋愛要素の補強としては

・ラムの手編みのマフラー

・『君去りし後』つまみ食い

・夜のUFOでのメロウシーン

・ピグモンでのキス
などが追加されており、
“恋愛に振った”感はものすごく強い。
『ときめき…』自体が
放送開始から2ヶ月経った頃合いで
その間『電撃ショックがこわい!』などの
良作はあったものの、
テコ入れが必要な時期だったかもしれません。
折しもクリスマスであり、
青少年に向けてラブストーリーを一発放った、
というところでしょうか。
で、これが刺さった。もう、もろに刺さった。
当時の少女たちが
“恋に恋する”と言われていたように
青少年たちも恋に恋していたし、
女の子との同棲生活を夢見ていたし、
“ケッコン(結婚)”なんかにも憧れていたから
この『ときめき…』は猛烈なヒットとなった。
『ときめきの聖夜』は上記のように
原作からのコメディ要素が弱いんですが
それを補っているのはメガネの奮闘です。



世の中、メガネを否定する方が相当な数いることが
令和うる星を巡る世論で判明しましたが
はっきり言ってメガネ要素をなくしたら
コメディ要素がほぼなくなってしまって
『ときめき…』はもはや『うる星』ではない。
『ときめき…』を肯定しつつ
メガネを否定するのはありえない。
ですが現に『ときめき…』は一番人気だったので
メガネは受け入れられていたし、
それが魅力だったのは間違いないのです。
同族嫌悪とかあるかもしれませんし
自分の黒歴史と重ねてギャーってなることも
あるかもしれないですけど、って僕もそうですけど
これだけオタクがOKな世の中になったんですから
もういい加減、いいんじゃないですかね?
最近話題になった、『究極超人あ〜る』の
「杉野はいずこ!?」にしたって
方向性は同じなわけで。
鳥坂先輩のネタには嬉々として乗っかるのに
メガネは否定するってのはおかしいです。
まぁ昭和アニメ『うる星』終盤の、
長けりゃいいだろっていうセリフは
ウィットがなくてたいして面白くないことも
ありましたけれどもね。
いいものもある、わるいものもある。
〈おしまい〉