クラスに転校生がやってくる、というのは
学園ものにおいて王道中の王道です。
近年は 目立たない普通の子がやってくるパターンも
見受けられるようですが、
だいたいは恋にせよ事件にせよ
一波乱起こしそうな 特別な子がやってきます。
ラムがあたるのクラスに転入してきたのは
『個人教授』(6-1)。

なぜわざわざ転入してきたのかというと
おそらく あたるとずっと一緒にいたいからとか
そんな感じでしょう。
もっともラムは『性』(2-2)の頃から

あたるの教室に出入りしていますし
学校行事の折りにも(勝手に)同行しているので

『女になって出直せよ』(2-7)
なにも転入してこなくても
あたると学園生活を送ることは可能です。
だいたい 鬼ごっこで負けたとはいえ
科学力ではるかに上をゆく鬼星は、
その気になれば
地球全土を簡単に征服できるような軍事力を
持っていると思われ、
さらに『悲しき雨音』(1-3)の石油の一件で
立場的にも完全に優位に立っていますから、
ラムは進駐軍司令官のようなものであり
何をやろうが行政府からは咎められないはずです
(そこを しのぶあたりが咎めるところが
面白いんですが)。
ラムの両親が積極的に学校に入れようと
したわけではないでしょう。
地球の学校で教えていることなど
レベルが低すぎるでしょうし、
集団生活を重要視しているようにも見えない。
ひょっとしたら
「ラムちゃんにセーラー服を着させろ!」という
ファンの声に応えたのかもしれませんね。
しかし、
ラムを転入させたのは正しかったでしょうか。
宇宙人であるラムがクラスに混ざってくることで
いろいろなハプニングが起こる、
それはそうでしょうけれど、
それは虎縞ビキニのままじゃダメだったのか。
なおかつ、7巻ではテンが地球にやってきて、
『ツバメさんとペンギンさん』(9-2)では
テンが学校にやってきます。

それとほぼ同時に、クラスにおけるラムは
良識のある帯同者に変わってしまいます。
不思議なアイテムを使ったり
梅干しで酔っ払ったりはするけれど、
物事への感覚や対応が
もはや異文化な異星人のものではない。
まぁ読者のニーズとしても
インベーダーのラムよりも
ガールフレンドのラムに需要があったと
いうことなのかもしれません。
それに、地球人の感覚に近づけた方が
ラムを動かすのが“ラク”というのは
あったんじゃないかなと思います。
例えば昔でいうところの 箸が上手く使えないだとか
カレーを手で食べるだとか、
そういう外国の文化ならまだ
見聞きしたものでなんとかなるかもしれないけれど、
まだ誰も知らない“非常識”を創り出すって
ものすごい労力を必要とするんだと思います。
ただそういう突飛な感覚がうまくハマると
面白いんですよね。
本来 『うる星』の初期では
筒井康隆に影響を受けたそういう狂気、
不条理感があったわけで。
もっとも、いつまでもラムを“異端”にしておくと
次々起きる珍事件と競合してしまう。
あたる・事件・ラムの三角関係とも なってしまい、
味付け的にワンパターンになるというのは
あるかもしれないです。
ラムが“あたる一派”に入ることで
目先が事件のディテールに注がれ、
変化を感じさせやすい、のかなぁとも思います。
まぁ転入自体はあまり関係なくて、
ラムが良識に染まらなければ
よかったという話なんですけどね。
ラムがしのぶ・竜之介以外のクラスの女子とは
あまり馴染んでなさそうなところは
かろうじてその異分子っぽさを
残しているのかなぁと思ったりもするのですが。
いやでもそこは、
作者の実体験のまんまなのかもしれないなぁ。
〈おしまい〉