いやぁ、リメイクアニメ『らんま1/2』、
面白いですね。
ウソ偽りなく楽しませてもらっております。
今回のMAPPA制作の『らんま』アニメ化は
原作踏襲旧作リスペクトという路線でいうと
ほぼベストなんじゃないかと感じています。
で、ついこの間も楽しく見ていたのですが
あかねって、ヤキモチを焼いて
しばしば乱馬に暴力をふるうじゃないですか。
それを見て、「んんん~!?」と思ったのです。
“ヤキモチ”って、何でしたっけ?
あかねは乱馬の許婚であり、
それをお互いに拒否するでもなく
それなりに受け入れていると思うんですけど、
ということは契約が成立してると思うんですよね。
つまりまぁ言ってみれば本妻なわけです。
交際相手の中の一人、ではない。
本妻って、浮気相手/別の女性に
ヤキモチって妬くんでしたっけ?
面堂登場以降のラムはその原理に則っていて、
しのぶが降りたことによって
(『系図』問題は残っているにせよ)
本妻ポジションとなったラムは
あたるのガールハントや浮気に対して
電撃を食らわせたりして不快の表現はしますが
ヤキモチを妬いている、というのとは
実はちょっと違う。
どちらかというと、
ヤキモチというより自分に対する不誠実に対して
怒っているように見えます。
これはすごく理解できます。本妻だからね。
さてそれではここで『めぞん一刻』から
音無響子さんに登場していただきましょう。
彼女は作中、ヤキモチを妬く描写がかなり多いです。
正確にはヤキモチを妬くというより
情緒不安定になっているという感じですが。

『怒りのウィドウ』(3-11)
一刻館の住人にも
“ヤキモチ焼き”として認知されている彼女。
ヤキモチはおおまかにいって“嫉妬”と訳せると
思いますが、音無響子さんのそれはしかし
嫉妬というにはちょっと当たらない場合も多くて、

『メモリアル・クッキング』(2-4)
五代君が郁子ちゃんにファーストキスの話を
したことに響子さんはプンスカしていますが
この時点の響子さんがほんとに嫉妬していたとは
ちょっと考えづらい。
「男って嫌だわ」とか「中学生になんて事を」とか
そんな感じですかねー。

『SOPPO』(4-2)
五代君は初期に
朱美さんに「本当に妬かれてんの?」と
聞かれていますがこれは本質をついており、
若い男の子である五代君の浮わついた願望が
ストーリー上の屋台骨になっていたわけです、
この頃はね。

五代君がどうこう、ではなく
自分の境遇に対して強がりを言う彼女が

三鷹さんから誘われたことで高揚する、
こういう状態の響子さんが、
五代君への独占欲を持っているとは思えないし
こずえちゃんより愛してほしいと思っているとは
到底思えません。
それよりも自尊心がまず立ってくるというか

『雪に二文字』(7-8)

『雨に濡れても』(8-8)
私を丁重に扱いなさい、というようなニュアンスが
顔を出しています。

『なんでもありません』(8-10)
響子さんはカードを開示しないのに
相手にはカードをオープンすることを求める、とか。
まぁストーリーがだんだん進んでくると

『ちょっと休もうか』(6-2)

『プールサイドのキスマーク』(6-7)
嫉妬らしい嫉妬も見られるようになってきますが
この二つは不貞行為として直球というか
ストーリーメイキング上、まだ恋人同士には
なっていない五代君と響子さんであっても、
相手を非難することができるぐらいの
事件ではありました。
しかしそこから受け取る印象としては

『雪に二文字』(7-8)
響子さん本人も自覚しているように
肉体関係のトラブルに弱いのかなぁ、と
いう気がいたしますね。

『出たとこ勝負』(14-6)
これなんかは14巻とだいぶん後ろのほうですが
五代君やこずえちゃんに対してどうこうというより
自分が軽んじられた、大事にされなかった、
そういう思いでムカついているように見えます。
「私のほうが好きなのに」とか
「私が誰よりも愛されたい」とか
そういう感じがほぼない。
まぁさすがに作劇上、言える立場じゃないんですが。
連載を継続するために、
響子さん自身も二股を続けていたり
煮え切らない態度をし続けたりさせられていて、
言ってみればビジネス上
嫌な女にならざるを得なかった響子さん。
損な役回りといえばその通りであります。
さらに、物語上 事件を起こすために
理不尽な怒り方をさせられてしまう彼女が
7巻において いろんな人に

『落ちていくのも』(7-4)



『愛のリハビリテーション』(7-9)
ストレートに“ヒステリー”と評されているのも
頷けます。ヤキモチではなくヒステリーである、と。
しかしまぁ、そう変換してみると

『本当のこと』(15-1)
最終巻15巻のこのモノローグなんかは
「ヒステリー持ちで
早とちりで
泣いたり
怒ったり ……」
と、ひどいことになってしまうんですなぁ。
『めぞん』はラブストーリーとして
評価されていますが、
実際にはその作中でのヤキモチ=嫉妬は
恋敵や恋人へのものというよりも
恋敵のことで軽んじられる私、というベクトルで
描かれているようで、
そういう意味では『うる星やつら』の
面堂登場以前の三角関係時代のほうが
まだ恋愛を描けていたかもしれないなぁ、
などと考えたりもするのですがいかがでしょうか。

※『メモリアル・クッキング』(2-4)で
一ノ瀬さんが山口百恵の「愛の嵐」を
歌っていますが、1巻の『春遠からじ!?』(1-5)で
響子さんがその歌詞を呟いていますね。

なんとも芝居じみたセリフですが曲自体、
当時の原作者さんのお気に入りだったのでしょうか。
〈おしまい〉