ぼちぼちと更新していければ

(毎週末の更新を目指しています)









キャラデザからのブレが嬉しい! うる星やつら『竜之介VS弁天!むなしきお色気大決闘』レビュー

 
SNSの作画垢ではときたま、
『大恐怖!おユキついに怒る!!』の絵が
流れてきます。


世間一般的にはラムのお尻のバリューが
大きいようですが、それにも増して僕は
尻もちをついたランちゃんの絵に
魅力を感じますねぇ。

それにしてもここ、どなたが描いているんでしょう。

スタッフロールはこんな感じですが
森山ゆうじ氏、土器手司氏以外はよく知らず、
しかしなんとも魅力的な絵です。



えーさて今週は、昭和アニメ『うる星』から
『竜之介VS弁天!むなしきお色気大決闘』を
見ていきたいと思います。


TVシリーズ西島克彦氏が
(名目上)作監をやったのはこのエピソードと
太陽がいっぱい 浮気がいっぱい』のAパートの
二つだけになるようですね。


西島作監としてよく語られるのは
OVAの『怒れ!!シャーベット』であり
この『竜之介VS弁天!』はさほど話題に
のぼらないような気がします。

『怒れ!!シャーベット』はわりといいんですが
あからさまに枚数が少ないのと、OPがしょぼい!!


その点、『竜之介VS弁天!』は
OP「ロック・ザ・プラネット」から入りますから

西島スペシャル、という感じで没頭できるのは
かなりのアドバンテージです。


原作は言うに及ばず
『決闘!女VS.女』(26-2.3.4)ですが
前編 中編 後編の3本を30分でまとめてますから
密度的には令和アニメぐらいの詰め込み方で、
テンポ的には悪くなりようがない。

むろん余計な尺伸ばしの必要もなく
期待の1本、というところであります。

ですが僕は前にも書いたことがあるのですが、
校長が絡むエピソードが嫌いでしてねぇ。
いや西村知道さんは好きなんですけれども。

まぁ『決闘!女VS.女』では、
オチには校長は関与していないというか
むしろ少し疎外されている感じなので
きっと大丈夫なんじゃないでしょうか。


物語は原作と同じく、ラムが弁天のバイクで
学校に送ってもらうところから始まります。

原作では悠然としたラムでしたが
アニメではなにやら余裕がなく。

なんでしょうかね、弁天を働かせたことに対する
気後れとか遠慮とかでしょうか。
そんな仲かぁ!? ここはちょい改悪だと思いますね。



あと状況描写の風景で
マットビハイクルが出てきてますが、
『うる星』のモブのお遊びってちょくちょく
こういうわけのわからん色で塗られてたり
しましたよね。モロを避けるために違えておいた、
とは思えないんですけれどねー。
ガンダムとか、モロな奴は色もモロでしたから。



朝食の焼き魚をくすねようとする親父と
それを阻止する竜之介。
いや最高かよ!
原作の淡々とした描写も悪くはないけれど、
こんなに違うアレンジで
しかも完成度の高い絵で見せられたら
嬉ションものですよ。

だって僕らはもう原作の絵を知っているんですから。
原作と同じものをTV画面で見たところで
「なるほど」「がんばったね」よりも高い評価には
ならないです。 


この際だから言及しておきます。
うる星やつら』で最も原作に忠実なアニメは
令和アニメ1期のOPの

これでしょう。

確かにこれを見ると、
「あぁ好きだったあの漫画が動いている!」
と思うし、そのことに感激もすると思います。
ですがそれは、この絵(動画)に感動している
わけではありません。アニメ制作という
事象に感動しているのであって、原作の

これよりいい、という評価にはなりません。

例えばOPのこの調子で
原作三百ウン十話をアニメ化していったとして
全部面白く見れると思いますか?
原作漫画読んだほうがよくないですか?

※僕は遠藤麻未作監のエピソードが大好きですが
『パニックイン台風!』は描写が原作に近過ぎて
あまり面白くなかったです。
動きゃいいってもんじゃないと思います。

だから「原作そのまま」なんて、
たいして誉め言葉ではないのです
(ただしコンセプトや情熱は別で、原作の持つ
魅力を変えずに伝えようとする意志は尊いですが)。


閑話休題


友引高校に着いたラムと弁天。
ハリアーの上で振り向くラムを思い出しますなぁ。



ぶっ飛ばされた竜之介を見やる弁天。
伏し目がちに笑みを浮かべる表情はアニオリ。
素晴らしい!
これだけで弁天が猛者なことが表現できているし
スローモーションのスライド手法が
あしたのジョー』に通ずる文法になっていて
やはり最高であります。



「あばよ」といって去ろうとする弁天が放った
殺気のない最後のパチンコ玉が、
ポトリと竜之介に当たるというのもやはり
あしたのジョー』構文。アニオリです。



「なにがあっても乱暴しねえ、そーゆーもん
だろーが!」
ここでは竜之介は映さず、
弁天の「ほお~」もカット。
この演出は面白いです。弁天の「ほお~」は
視聴者が脳内で同じように言うから不要、と
いうことなんでしょう。


ここまでで気が付くのは、
竜之介が実は女だと告げようとする者がおらず、
またそれを阻止する親父、という描写が
されていないことです。




近親憎悪のくだりでも、あたるの
「じつはあの竜之介ちゃんは…」というセリフが
「たぶん竜之介ちゃんは…」に改変されていて
意図的に、バレるバレないから話を遠ざけている。

原作既読者にとってはわかってることだし、
すっきりしていいんじゃないかと思いますけどね。
後々の銭湯での「女じゃん!」というやりとりの
ウイット的価値も上がりますし。



銭湯の前で喧嘩を始めようとする二人を
止めに入るあたる。
アニオリ、というか原作の補足ですね。
原作はユパ様とはちょっとわかりにくいので。



「女性の美徳であるところの、やさしさ繊細さ
その他を競いあった方が、より建設的で
あると思うのだが?」ですってよ。
その後のラムの

「ダーリン男らしいっちゃ!」も含めて
アウト過ぎますなぁ。
まぁこのエピソードは端から端まで
セクハラも含めて全部アウトなんですけどね。

令和『らんま』を見る限り、
目を付けられなければどうということはない!?


原作中編の、温泉マークの変質者と華道勝負、
サクラとテンの母性本能競争はカット。英断です。



校長による『新妻鑑』の状況説明シーンが
少し入るのですが、ギリギリ最小限にした感じで
これぐらいならまぁガマンしましょう。


ここからはBパート。



ステージの楽屋裏ではハードゲイ姿のコタツネコが。
なぜその姿なのかはよくわかりませんが
何かのパロディなんでしょうか。



教室で一触即発な雰囲気の竜之介と弁天。
極端なローアングルが嬉しい、楽しい!
もちろんいやらしい意味でですが。


『新妻鑑』が開演となり
夫役は温泉マークが演じますが、原作の
「なんでわしがこんな危険な役を…」という台詞が
「なんでわしがこんな陰険な役を…」に
改変されています。

そのことで原作での

弁天・竜之介に恐れおののく温泉、という笑い処が
消失してしまっており、これは改悪な気がします。

ただその直前のラムのセリフ
「夫は暗~い、嫉妬深い性格だったっちゃ」
からすると、放映当時は「根暗イジリ」が
笑いとして流行っていたのかもしれません。
ヘタレな温泉を描くよりも、ネクラ扱いしたほうが
ギャグになる、という判断なのかも。
時代とはいえ、罪深いですなぁ。




劇は観客視点からの固定カメラで進められ
真横からのカットが長く続くのですが、
ステージの床までフレームに入れ込むことによって
劇中劇の演出が すっと入ってきて、
思いのほか退屈しません。

途中の別アングルでは建て込みセットの狭さも
表現できていたりして、
そういった部分は原作よりも上手いと思いました。



自由の利かない新妻二人に狼藉を働くあたる。
パーマとチビも
「くっそ~あたるの野郎、い~役だなー」と
言っとるが、ホンマええ役やな~。



観客を含めた情景が描かれていないせいで
「奥さん、そっちはガケですよ!?」というギャグが
意味不明になってるのはよくないですなぁ。
だったらセリフごとカットしたほうがよかったのに。
あるいは「そちらには野犬の群れが!!」とするとか。



襲い掛かる飢えた野犬の群れ。
ヤバい目をしてるのが何人かおりますなー。
ホンマに怖いわ。



バトルシーンに入ると、男子生徒の変質者描写に
拍車がかかる!すげー!!
これは「マジキモイ」って言ってもいいだろう。
マジキモイ。でも最高だ。




野犬たちの中からは、
鋭い爪を持った“かげ”(仮名)が現れた。
ううむ、ここまでやったら
“爪シャキーン!”もやってほしかったなぁ。



事態を収拾しようと介入したラムの電撃にも負けず、
男子生徒たちは今度はエイリアンに姿を変える。
それを見たラムが、

「ひぃぃ~っ!!」(CV:平野文)って言うんですが
これは必聴ですね!
これぞ「ひぃぃ~っ!!」な「ひぃぃ~っ!!」です。



エイリアンと戦う宇宙ステージの書き割りは
岩崎賀都彰氏のイラストのリスペクト。
昭和の時代の少年は
この絵一枚でずっと夢想できたものです…。



そして!このエピソード最大の問題シーンですよ!!
モロにいっとりますからねぇ…。
まぁ考えてみればあたるは初犯じゃないんですよね。

厚みがなくてもアウトです。(笑)

弁天/三田ゆう子さんの「いやぁぁ~っ!!」は
ちょっと思ってたのと違いました。
でももしかしたら、あえて絵に描いたような
「いやぁぁ~っ!!」にしたのかもしれませんなぁ
(大ババ様「そのほうがいいんじゃよ…」)。




ラストはいつものごとく、
大乱闘のハチャメチャからの
クサい演技で締めるオチ。ま、原作通りです。
Wの悲劇』の台詞はなかったですね。


唐突に現れたアパッチヘリは何だったんだろう。
タツネコのハードゲイと関係あるのかな。


とまぁ、以上のような感じのお話でしたが
たいへん面白かったですねぇ…。
ディーン期においては
結構完成度の高いエピソードなのではないかと
思います。

西島克彦氏の絵柄は
必ずしも高橋留美子氏にクリソツということは
ないんですけれども、
あの頃の僕らが、
高橋留美子作品から“摂取したかったエキス”を
十分に濃縮して提供してくれていたような
気がします。

だからやっぱりそれは、
“スピリット”なんだと思うんですよね。


この『竜之介VS弁天!むなしきお色気大決闘』は
僕的には昭和シリーズベスト10に入ります。
まぁコンプライアンス的には
相当ヤバめの一篇ですけれども。


ディーン期に入って半年ぐらい経っての
エピソードなので、
見てない方も結構いらっしゃるかもしれませんが
機会があったら見てみてくださいませ。

それでは。


〈おしまい〉