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(毎週末の更新を目指しています)









人魚シリーズ『約束の明日』レビュー その6

 
ちょっと一週間空いちゃいましたが
今週は『約束の明日』レビューの
その6となります。前回その5はこちら



赤い谷を目指す真魚と苗ちゃん。
しかしどうやら英二郎の手下が猟犬を伴って
追いついてきたようです。


犬はドーベルマンですかね。
『忘れて眠れ』の ばば かもしれませんが。



苗ちゃんは道を間違ったことに気が付きます。
いやいやいやいや。
それは極めて人間らし過ぎないか!?
ゾンビが
「ごめん、道 間違えたわ」なんてある?

これはたぶん、
デパートのエピソードを入れるためですよね?
そこまでして入れる価値あるかなぁ…。



追っ手を撒くためにゴミ箱をぶちまける真魚。
古いコメディなんかで
たまに見かける情景ですけど、
これそんなに足止めできないのでは…!?


特にドーベルマン!お前だよ!!
なに怯んでんだよ。
それでも世界で最も邪悪な一族の末裔か!


何がアレって、
ドーベルマンの出番がここまでというのが
どういうつもりなんだって感じです。

このままドーベルマンが居続けると
主人/飼い主を守るために
苗ちゃんを襲わなければならない。

それが都合が悪いのなら
最初から捜索に連れてこなきゃいいじゃん。
なんで連れてきちゃうかなぁ。



「湧太さんと約束したの」と
繰り返す苗ちゃんを、
「それはもう何度も聞いた」とあしらう真魚。

次のコマが湧太と草吉のコマになるので
このコマの主題は
「もう何度も聞いた」であり、
ボンクラ苗ちゃん、という描写なわけだけど
すげえなこれは。
このシリアスに差し迫った状況で
そんなコマ入れるかね普通。

天才の所業なのかやっつけ仕事なのか、
ちょっと判断付かないっすわ。


湧太と草吉もまた、
真魚と苗ちゃんを追いかけます。


この車は草吉のマイカーのようだけど
マーチとかですかね。
フォグとエアインテークが付いてて
ただのマーチじゃないみたいだけども。


車内で苗ちゃんの思い出を語る中で
話は湧太と苗ちゃんの秘密の合図のことに。

道祖神の裏に小石を置く、という
素朴で可愛らしい合図に心も和むけれども、
秘密がダダ洩れですやん~~!!


ってかさ、なんか普通に草吉が語ってるけど
草吉が知ってるのもおかしいだろ本来は。
それともアレですか、
合図のシステムの冗長性ですか。


先の話になるけれど英二郎も知ってたわけで、
どこから漏れたかっていったら
もう苗ちゃんのセキュリティ管理の甘さしか
ないわけですよマジで。

まぁ苗ちゃんも
世間知らずのお嬢様っぽいしなぁ。
危機管理とか無さげなんだよなぁこれが。


逢引きと駆け落ちの合図が同じってのも
どうかと思うんですよね。


草吉は「バレやすかった」等と言ってるけど
それは物語進行の上でのアリバイ作りであって
苗ちゃんの人生を賭ける行動の論拠が
吹けば飛ぶような小石に託されるっていうのも
ちょっと危うくない?って思っちゃいます。

普通に考えたら、苗ちゃんの純朴さや
儚さの表現かもしれないけれどね。



追われている真魚と苗ちゃんは
賑やかなショッピングモールへ紛れ込む。

……ないわ~。

赤い谷を目指して、
さっきは森林公園歩いてたよね?
山中→人里→赤い谷、だったらさ、
幹線道路→赤い谷、で行くんじゃん?

苗ちゃんが戦前育ちで
このあたりの土地勘ないっていうのなら、
ショッピングモールなんて、余計に
人が多くて目が眩んじゃってダメだろう?
「外の世界に慣れてない」設定どこいった。



湧太に褒めてもらいたくて
口紅に見惚れる苗ちゃん。
イイ話ダナー、って一瞬思いそうになるけど
普通は口紅をひいた自分の顔に
見惚れるものであって、
でもそうすると自惚れみたいになっちゃうから
口紅というアイテムに好意を寄せる苗ちゃん、
という絵にしたんだろうなぁ。


戦前にもそりゃ口紅はあっただろうけど
外商とかだったんじゃないの?
特に御咲村みたいなところではさ。

化粧品売り場で口紅を手に取ることに
まず違和感があるのに、
その口紅の取り扱いがまた
場当たり的に思えるんですよ。


これもしかしたら赤い谷と掛けて、
真っ赤な口紅のはずだったんでは?
だったら納得いきますが。

モノクロ頁では
作画上、赤い口紅が表現できず
ただケバくなるだけになってしまい
苗ちゃんの印象が変わってしまうから
この後、口紅の要素を使うのをやめた、
とかだったりするのでしょうか。

ページを埋める関係上、
ショッピングモールのシーンは残った、
とかかもしれませんねぇ。



「金はあいつらが払う」、これもなー。
コメディタッチのドラマの
『傷だらけの天使』『俺たちは天使だ!』
『探偵物語』『あぶない刑事』あたりなら
まぁわかるんですけど、シリアスでは
たとえ昭和であってもありえないでしょ。



赤い谷までもう少し。
野を越え山越え谷越えて。
それはいいけど完全にガレ場ですやん。

苗ちゃんの か細い足で大丈夫?
靴のかかと取れちゃったりしない?
と思ったので
苗ちゃんの履物を確かめようと思ったのですが

英二郎の屋敷の中って土足なの?
英二郎も草履履いてるしな



あと少しで赤い谷に着く、というところで
真魚と苗ちゃんの前に
英二郎が立ち塞がります。

「苗さん、あなたがここに来るなんて…
まさか本当に来るなんて…」
もう恋も、もう恋も終わるのね。

この台詞は、60年前に
英二郎が苗ちゃんに言ったセリフと同じです。

60年前はさー、
英二郎もまさか許婚が、と思ってたろうし
ワンチャン来ないんじゃ!? と
期待してたかもしれないけど、
赤い谷に強烈な記憶がある 現在の苗ちゃんは
来ないわけないじゃんね。

だとしたらさー、
芝居じみてんだよ英二郎さんよー。

この後の回想シーンに向けて
一発 伏線張っといたれ!みたいな感じだけど
苗ちゃんが来ないわけないし、
赤い谷には来ないかもと思ったんなら
他の場所は捜索したのか?って話ですよ。



鳥の啼き声で徐々に狂っていく苗ちゃんへと
手を差し伸べる英二郎老人に
側近1号がヤベェっす!マジヤベェっす!!と
忠告する。

あのさぁ、英二郎が危なくなったら
君が 身体を張って助けるんだよ、
側近1号くん。
高い給料もらってるんだろ?(たぶん)


しかし英二郎老人は
苗ちゃんはボクには何もしないから!と
それを聞き入れない。

いやいやいや、何をどう考えたら
苗ちゃんは自分を襲ったりしないと
思えるのか。
ここの英二郎の心情が、
本当に理解できないんだよなー。



で、鳥の声に逆上した苗ちゃんは
英二郎を襲います。



「僕ちゃんが生き返らせてあげたのにィ!」
と苗を非難する英二郎。
こいつもしかして
殺したけど生き返らせたからチャラ、などと
本気で思ってるのか?

ちょっともうね、英二郎がおかし過ぎて
道理とか整合性とか
どうでもよくなってくるね。



自分の思い通りにいかず、
ならばみんな殺してしまえ!という英二郎。
うーん、この時の英二郎は
苗ちゃんに裏切られたようで実は
裏切られたわけでも何でもないんですよね。

すべては英二郎の
わけの分からん思い込みだったわけで。

なのに逆上して豹変しているのが
もうほんとヤバすぎる。


だいたい苗ちゃんもさ、
物語前編の、冒頭の手下に対しては
死ぬまでやったんだからさ、
自分の仇の英二郎にも
とどめを刺すべきなんじゃないの?

都合よく鳥が啼きやんだからって
今日はここまでにしといたるとばかりに
赤い谷に向かうのはおかしいと思うの。



その頃 湧太と草吉は、
真魚と苗ちゃんを追って山道を走りつつ
道祖神の合図の石を動かしたのは誰なのか?
という話を続けています。

若き英二郎は苗ちゃんを試したわけですが、
それって、自分にも可能性があると
思ってないと普通やらないですよね。

英二郎は苗ちゃんの浮気を
うすうす知っていたようですが、
苗ちゃんは英二郎に対しては
どういう態度だったんでしょうか。
それなりに気を持たせたりしたのかなぁ。

すげなくされていたけど英二郎は
「そうはいっても許婚だし」
「僕は許すよ」とか思ってたのかなぁ。 

戦前の縁談というものが
どのぐらい拘束力があるものなのか
肌身で感じることはできないので
なんとも言えませんが…、


同刻、真魚は側近1号に
縊り殺されようとしています。

しているんですが…なんか緊迫感ないな。
やっぱ二度目だから
側近1号も慣れちゃったんですかね。

苗ちゃんは横で怯えていますが…
屋敷では真魚を助けたのに
今回は助けないらしい。



真魚に、赤い谷に向かえと言われて
歩き出す苗ちゃん。

そんな苗ちゃんを、
英二郎の仕込み杖が襲います!
「みんな死ぬしかないじゃない!」



苗ちゃんが振り返ると
襲った英二郎の眼には涙が。

一途な愛情、裏切られた哀しみ、
孤独、愛情の果て……?

いや違うから!
英二郎がわがままなだけだから!!
みんなだまされちゃダメっ!


いやホントにね、
雰囲気に流されちゃだめですよ。
なんかちょっと泣ける話に見せかけてますけど
英二郎はサイコパスで、
この『約束の明日』はサイコホラーです。


それが狙ってなのかどうかが
よくわからんのですよね…。


まぁ今週はこんなところで。
来週もよろしくお願いします。


〈つづく〉