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(毎週末の更新を目指しています)









アニメ『めぞん一刻』を見てみました~その2~

 
 
先週に引き続き、アニメ『めぞん一刻』から
いくつかレビューをしていきます。
既にお話ししていますが、なんと初見です。


今週は、まず最初にオリジナルストーリーを
いくつか見ていきたいと思います。


当時の僕は、
『めぞん』のオリジナルストーリーについて
たいへん否定的でした。
『うる星』では
O.YにせよB.Dにせよ、楽しんだくせにね。


不純物に入り込んでほしくないという
作品に対するこだわりといえば
聞こえはいいけど
僕自身の狭量のあらわれというか…。


原作に追いついてしまう問題などは
あくまで商業部分の話なんだから
そっちでどうにかしろ、と思っていましたね。


今では「大変だったろうなぁ」などと
肩を持ってあげたい気持ちもあります。
思い入れがやや薄らいでくると
知っているストーリーよりも
知らないストーリーのほうが新鮮だったりして
逆にオリジナルストーリーに
興味が湧いたりもします。


まぁクオリティ次第ではありますけどね。



第32話

『玉子はミステリー?四谷の危険な贈り物』


毒にも薬にもならない無難な話でということで
なんということもない“玉子”
だったのでしょうか。



たかが玉子に大山鳴動、というのが
スラップスティック感のあるエピソードだと
考えたのかもしれませんが、
やはり玉子は玉子でしかなく、
賢太郎や朱美さんがやたら執着するのは
不自然に感じます。


その悪ノリゆえ、
身近なはずの“玉子”というモチーフが
かえってわざとらしい不自然さを
強調する結果になってしまっているような
気がしました。


第39話

『恋はガッツで勝負!五代のバイト大作戦』



『玉子』とうってかわって
本編に影響力のあるストーリーと
なっています。
亡夫 惣一郎からの最初で最後のプレゼント、
というモチーフを、
よくもやろうという気になったものです。


話の根幹はもちろん謎の石の動向なんですが
アルバイトやこずえちゃんとのデートとで
少し気が散る感じもします。


もっともこずえちゃんに関しては
響子さんのデリカシーの無さを
五代くんのデリカシーの無さと並べるために
当て馬的に配置したのかとも思いますし
必要な一手だったのかもしれません。



郁子の分のプレゼントも買ったのは
視聴者のポイントを稼いだけど、
こずえちゃんには
欲しがってた6500円のペンダントではなく
3500円のブローチで済ませましたか…。
原作の五代くんなら
無理してトホホとなりながらも
6500円のほうを贈ったと思いますけどね…。



ブローチをもらった時のこずえちゃんの
声を殺した「あぁーっ!」が可愛過ぎます!!
ここで一気に冨永みーなさんのこずえちゃんの
ファンになってしまいました。



石の由来を知ってしまい、そして三鷹さんに
響子さんを預けていかなくてはならず、
辛い時間だっただろうに
電車で見知らぬ子供に優しくできる五代くん。
これは五代くんの
博愛的ともいえる大きな優しさを
描きだしていて、すごくよかったと思います。


第40話

『優しさがせつなくて X'マスは恋の予感!』






紛失した石を探す探す探す。
ここの作画は濃密で、圧巻の一言。




こずえちゃんからもらったカードから閃いて
五代くんは響子さんに宛てた
メッセージカードを作りますが、
こずえちゃんの想いを
ただのトリガーにしたのはひどいです。
帰り道に拾ったのも、
あれは“探しに行った”のではないし
落としたことに
気付いてもいなかったでしょう。



響子さんも
五代くんに無神経なことをしたのか
惣一郎さんの石を(結果的に)ダシにしたのか
曖昧だけど、いずれにしてもギルティ。


人の業の深さを描いたというなら
すごいなと思いますけれど、
切ない恋の物語のつもりなら
あまりにもひどいなと思いました。
でもいずれにせよ、とても Interesting でした。


第50話

『響子が一目惚れ?!一刻館にヘンな奴登場』


三鷹さんとの“三”被りは駄目でしょう。





それにしてもテニスすごい。
ロトスコープというわけでもないと
思うんだけどどうなんだろう。


第51話

『四谷さんもびっくり 一刻館が消える日!?』



四谷さんが前編の第50話から引き続き、
各所で人間らしい振る舞いをしていましたが
それは禁忌なのではないでしょうか。


得たものよりも失点が多く、
やらないほうがマシな話でした。
響子さんが惚れた云々は
気にする価値もないことでしたし
なにより3号室に入居があったという歴史を
作り出すべきではありませんでした。



というわけでオリジナルストーリーを
3篇ほど見てみましたが、先ほども書いた通り
原典に無いことに由来する嫌悪感などは
全くなく見れました。


ただやはりオリジナルストーリーは
ピンチでもありながらチャンスでもあるので
相当がんばらないといけないと思います。



さて、
本筋に沿ったエピソードに戻りましょう。



第56話

『八神の決心!あきらめないわ初恋だもの』


サブタイトルは八神話になっていますが
前半は三鷹話でもあります。



原作(『大安仏滅』10-6)同様
「既に五代くんを選んでるんじゃ
ないんですか」
と三鷹さんに聞かれますが
原作とは違ってアニメ版では
口をつぐんでうなだれてしまう響子さん。


これはひどいなぁ。
響子さんを悪者にしなかったのが
逆にひどいよ。
迷惑なお邪魔虫キャラにされて、
三鷹さん かわいそう。



さて八神パートでは
八神の仲間がきちんと描写されているので
ガールズアニメとして成立していますね。





八神の歩きってここかな?





振り返った八神が一瞬目を細めるところは
現代の美少女ラブコメアニメでも
よく見かける仕草。これ40年前だよ?すごい。



立ちつくす八神の空間の取り方も
現代で通用するフォーマット。40年前だよ?


第62話

『ヤッタ!響子と混浴 露天ぶろで二人きり』



甘味処のあんみつ、すげえ作画だぁ…。
この厚みのある格子柄、
描こうと思うかね普通。



部屋から駆け出そうとした五代くんが
響子さんに呼び止められて
ふすまを閉め切れず、
さりとて開くこともできないシーンの
長い間の取り方はすごく良かったなぁ。



原作にはなかった、酒の力を借りるシーン。
濡れ場は「誤解だった」と
聞き出した五代くん。


わざわざここで聞くということは
三鷹さんが一方的に、のセリフは
なかったのか?
三鷹さんだって気の毒ですよ、というセリフは
なかったのか?


性交渉ではなかったが、
性交渉ではなかったからいいってものじゃ
ない、というのが
原作『閉じられた扉』(11-1)
なんじゃないかなぁ。


というわけで急遽 第60話を見てみる。


第60話

『見ちゃった!響子と三鷹がいきなりB?!』



うわ。
こいつどんだけ
いい子ちゃんヅラしたいんだよ。


これさー、
もし万が一 原作に忠実なリメイクとかしたら
旧アニメ信者から
「響子さんの清純さを改変するな!」とか
クレーム来ちゃうんじゃないの?


第66話

『八神の挑戦!未亡人なんかに負けないわ』


響子さんの、担任への告げ口も
オミットされたのか…。


八神に挑発されてのぐぬぬ顔も無しか…


地味ながらも物語最大級ターニングポイントの
「弱虫!」エピソードでありますが、
原作からは変えられていて
雨の中でのやりとりとなります。





八神は傘を畳みました。
響子と対峙せずに、駆け出しました。


「雨をものともせず」といえばいえるけど
「降りた」とも取れてしまい、
僕はちょっと釈然としなかったですね。


第67話

『八神もア然!ゆかり婆ちゃん金歯で参上!!』



あ、八神は
「弱虫!」後も まだまだ出るのね…。


第88話

『愛ふたたび?こずえが残したキスの味!!』





前半は三鷹さんの
“優勝よりは嬉しくなかった” 話。
神谷明氏の抑えた演技がグッとくるなぁ。
明日菜さんの、乏しい表情筋ながらも
溢れ出る表情も素晴らしかった。





まだ大学生のこずえちゃんが
社会人の先輩にプロポーズされとる。
いやそれはだいぶん話が違うんじゃ…。


(原作のように)
互いに就職して、五代くんとは
生きる時間やリズムがずれていく中で、
職場で一緒に働いている同僚と
そういう関係になるというのはわかるけど、
大学生活がまだ一応続いている中で
五代くんと同じぐらいのウエイトで
他の男とデートするっていうのは違うだろ。


こずえちゃんも二股かけていたことに
改変して、名実ともに五代くんと
“おあいこ”にしようということなのかねぇ。
こずえちゃんも災難だなぁ。



キス後のこずえちゃんのセリフは、
「試験…がんばって」じゃなくて
「ありがとう」に変えられてしまったかぁ…。
「五代さんがキスしてくれた」に
繋げるためなんだろうけれど
ここではもう「年下のこずえちゃん」ではなく
五代くんと対等の関係、いやメタ的には
五代くん(の失態)を許容する
包容力を持った上位の存在だと思うので
せめて同じ目線にしてほしかったなぁ。


第92話

『こずえちゃん結婚!五代の愛は永遠に?!』




「お勘定」回。朱美さん無双。さすがの作画。




そしてこずえちゃんとの別れ。




タクシーの発進シーンがすごい。
パースと拡大の精密さが、
これマジで手描きなのか!? と
思うぐらいすごい。


第93話

『春の予感?ふたりの心は熱いトキメキ!!』



管理人室に引きこもって口紅引くところ、
その発想が
「おんな」をめちゃくちゃ意識してて
端的に言ってキモイです。
『好きなのに…』(14-11)を
そんな形で置き換えなくても
いいんじゃないでしょうか。


というか、『好きなのに…』の未遂を
コンプラ関係で描写できないんだったら
この辺の五代くんと響子さんの会話は
全部組み立てなおさなきゃダメなんですよ。
矛盾しなさそうなものだけ残すなんて
甘過ぎますよ。


その一方で
「ずっと前から五代さんのこと好きだったの」
が、成り行きとはいえ消えたのは
個人的にはよかったと思いますけれども。



しかし五代くんは、
卒業と同時に就職も決まって
なろうアニメ並みにトントン拍子ですなぁ。


第96話

『この愛ある限り!一刻館は永遠に…!!』



「さようなら 惣一郎さん」というセリフ、
原作では、エピローグのように
響子さんが小さく呟いたのだと思っていたけど
はっきり声に出しているのを聞くと
物語が、「さようなら 惣一郎さん」に
集約されたように感じました。


ラスボスをここで打ち負かしたのだ、と。
アニメ版からは、そう感じました。




終わり方は結構 淡々としてましたね。
『めぞん』はトラブルあっての物語でしたが
もうここからはトラブルが起きない世界となり
世界は収束したのだ、という感じがしました。



さてアニメ版の印象ですが、
一度監督が変わってからの絵の見せ方は、
こんな良質な回もあったのか、と
ちょっと驚きました。
SNSの切り抜き動画などにも
ほとんど流れてこなかったので
存じ上げませんでしたが、
今回、見る機会があって本当に良かったです。


ストーリー面については
惣一郎さん、三鷹さん、こずえちゃん、
といった“障害”をはねのけて
五代くんと響子さんが幸せになっていく、
そういう感じが強いなと思いました。


日常ドラマのようでいて、
五代くんと響子さん以外は基本的に
二人のラブストーリーのための舞台装置。


響子さんをアイドルに仕立て上げるために
原作とはずいぶん違う趣きになっていました。



原作は何度も読み返したせいで
盲目状態になっていたのかもしれませんが
アニメという別の媒体で見ると
改めて気付きもありました。



『大逆転』(14-5)で、
五代くんがこずえちゃんに
キスされてしまったのは
ハプニングだったと弁解するシーンが
あります。



しかし本質的には、
「黙ってされちゃう仲なわけですか」と
響子さんが問いただしている通り、
そういうことが起こりえる関係を
本命ではない異性と続けていることが
問題なわけです。



問題ではあるのですが、次のコマでは
適当に流されてしまっています。
それもそのはず
響子さんも三鷹さんとの関係を
同じようにずっとやってきたんですもの。



『開かれた扉』(10-11)の抱擁も
「黙ってされちゃう仲なわけですか」に
通ずる話です。


この辺りは
作者の恋愛観、倫理観にも
大きく関係してくると思いますが
『めぞん一刻』は、
浮気が存在する時代の話なんだと思います。


三年目の浮気ぐらい大目に見ろよ、が
成立する余地がある時代なのですね。


浮気という行動の選択肢が普通に存在して、
それを許すか許さないかが問われる時代。


しかし現代では、もはや浮気って
あってはならないんですよ。人の規範として。


まぁ漫画ですから、高校生や大学生が
恋を知る成長過程で複数と仲良くなるのは
娯楽作品としてあってもいいと思うけれども、
結婚(=契約)の概念が出てくる大人の恋愛で
誠意に欠ける浮気や二股ってのは
現代ではもはやありえないです。
キープ君、っていうのももちろん許されない。


『めぞん一刻』が
現代で成立しないと思えるのは
携帯電話が普及して
すれ違いが発生しなくなったからじゃない。


二股が社会通念上、許されない世の中に
なったからです。


僕はそう思います。



おまけ。


第52話

『許して惣一郎さん!響子涙の再婚宣言!!』



水道の蛇口が壊れて
ずぶ濡れになった住人たち、の図。
やはり五代くんの髪は黒髪のほうがいいよ。


〈おしまい〉