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メタ構造のエピソード うる星「あたるの引退」レビュー

この10月4日、総裁任期満了ということで
菅総理大臣また菅内閣は総辞職となった。
後任には自民党総裁選挙を勝ち抜いた岸田氏が
就任することとなる。

子どもの頃や若い時は、
与党の総裁が総理大臣になる、という構造も
よくわかっていなかったし、
総理大臣がなんたるか、さえおぼろげだった。
「ゆうひが丘の総理大臣」は見てたけど。

日本で一番権力を持っている人、というぐらいの
認識だったかなぁ。

そんな総理大臣が辞職する、
という出来事はしかし、
スキャンダルであるとか、
あるいは逆に義侠心とかの
個人的な事情によるものではなく、
政党のパワーゲームに
大きく影響されたものなのだと僕が理解したのも、
かなり歳をとってからのことだった。

うる星やつら「あたるの引退」(7-3)は
(たぶん)昭和55年(1980年)年末に
サンデーに掲載されたエピソードで、
おそらくはアニメ「うる星」の制作も
内々には決まっていた時期だろう。
そう考えると、
あたるの身の振り方を問うこのエピソードが
描かれたことの意味なども邪推できて
たいへん面白い。

このエピソードが掲載されたコミックス7巻は
アニメ化のニュースから入った僕にとっては
当時の最新刊であり、
だからたいへんに思い入れのある巻だ。

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表紙もいいな。
いろんな場所で、
この表紙イラストの模写、ファンアートを
見かけたものである。

よく見たらこのイラストの(作者による)背景、
「炎トリッパー」のタイトルイラストと
色の構成がすごく似てるな。

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この色の取り合わせがお好きなんだな。

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ちなみに長嶋茂雄
1993年に巨人軍監督に復帰したが、
「うる星」連載終了は1987年なので
セーフである(セーフ?)

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力の入ったコマだ。
突然出現するマイクも、
ギャグ漫画としての「うる星」の
真骨頂といえるだろう。

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ラムのこの表情は珍しい。
他には使われていないんじゃないかな。

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メタである。
「うる星」ではちらほら見かけることであるが

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(画像は9-3「三つ子の魂、百までも!」)。

そういえば“メタ”という言葉、
現代においては3つの意味で使われていて
たいへんややこしい。

暗喩としての“メタファー”のメタ、
次元を超える“メタフィクション”のメタの他に、
最近はゲームにおいて相手を封じる
“メタゲーム”のメタというのが出てきた。

それらの言葉が使われる状況というのがまた
アニメとかゲームとか、
同じようなところで使われるので
どの意味で言われた“メタ”なのか
判断が付かないことがたまにある。

なんとなくやり過ごせばいいのだろうけど。
きちんと理解して反応したい、というのは
年寄りの、年寄りしぐさなのかもしれないな。

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「うる星」根幹にかかわる大事な一言。
とはいえ、折につけ
ちょくちょく作者から釘を刺されることでもある。
最終回も「ボーイ ミーツ ガール」だったし。

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このおっさん誰やねん。
「うる星」には出てきてないと思ったが。
背古井さんなんだろうけど、
「めぞん」もギリギリ始まっているので
四谷さんかもしれない。

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“好き”の反対は“嫌い”ではなく“無関心”である、
とはたまに言われる言葉だが、
クラスメイトの素っ気ない態度に比べ、
面堂は本当にあたるが好きなんだなぁ。

まぁしかし、
“何も起こらないエピソード”であった。
これはこれで、
連載中には新鮮だったのだろうと思う。