まだ7月ですが暑さ真っ盛り、夏真っ盛りです。
こんなにも季節を感じる中、
社会は新型コロナの影響でなんとなく停滞していて、
いろんなことが気怠いなかでしかし今年は
夏の高校野球がしっかり行われているのが
なんとなく救いだなぁと思っています。
プロ野球は見なくなってもう何十年、ですが
高校野球はかなり見るほうでして。
強い相手に立ち向かう勇気、
格下の相手にしてやられる口惜しさ。
失敗したら、周りは慰めてくれても
本人はくよくよするんだろうなとか、
ナイスプレーをしたら
彼女に次の段階まで
許してもらえるんじゃないだろうかとか。
いろいろ妄想がはかどるので
高校野球は楽しい。
さて留美っくで野球といえば
響子さんのケツ(6-1)ですが、
清廉潔白な高校球児に免じて
今回はうる星やつら「白球にかけた青春」(5-4)
をレビューします。
トンちゃんの登場からエピソードは始まる。
あきらかにカッコいい男子として描かれているのに
「うる星」全編を通してみると
トンちゃんがモテてるエピソードはなかったなぁ。
そりゃ飛鳥には慕われているし
了子からは(好意からか)よくイジられているが
男前、という扱いはされなかったような。
飛鳥がべったりだったから、
モテ男にしてしまうと
イヤらしい感じになってしまったかもしれないので
ギャグキャラに落ち着いたのかもしれないなぁ。
まぁ、人間離れしたギャグを次々繰り出す
超常キャラとしての存在のほうが
彼の魅力としてはあっていただろうし、
美形がギャグをやるということについても
ことさら美形ということを高らかに言わんでも
絵を見ればわかるだろ、
ということなのかもしれない。
この「白球にかけた青春」はギャグ特化回だ。
この最初の見開きで
どんだけギャグが詰め込まれてることか。
そのギャグがそれぞれバラバラではなく、
重ね掛けされているのがとても面白いし
テンポもいい。
次の見開き(P3~P4)も
これでもかとギャグが散りばめられているが、
ギャグ回はレビューがしにくいな……。
ギャグを一つ一つ引用してもなぁ。
そんなことより「読め」って感じだし。
「三つ子の魂、百までも!」(9-3)
面堂の前から駆け去っていくトンちゃんだが
確信犯的に「わーははは!」などと
言っていないところが
キャラの、まだ見ぬ懐の深さとなっていて
たいへんに興味深い。
スポーツ用品メーカーというが
この頃の知名度的には
やっぱり野球用品がメインだった“美津濃”である。
だからなのか、野球以外の種目は
「うる星」ではあまり使われなかったなぁ。
少し後の「ビキニを奪え」(5-8)で
いろんなスポーツが使われたぐらいかな?
いろんな種目で
面堂と対決するやり方もあったかもだが
なんといってもトンちゃんが
運動音痴なのが痛かった。
まぁトンちゃんは、野球バカみたいに
描写してしまったところもあったしね。
14巻で久々に登場した時(14-6)も
野球エピソードだった。
そこで、“運動音痴のやる野球”は
出し尽くした感もある。
面堂の打った打球がトンちゃんの顔面を狙う。
“熨斗をつけてお返し”になっているのだが
流れ的には面堂の挑発が先だったので
“お返し”というわけでもない。
オチでは強豪リトルリーグのちびっ子が
大人びた文句や泣き言をいっている。
後の金太郎回(9-1)でもそうだけど
ヒネたマセガキギャグがお好きなのかもしれないな。
まぁなんにせよ、最初から最後まで
ギャグのオンパレードといったエピソードで、
たいへん楽しい回である。
読め!(2回目)〈おしまい〉