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『妖精のパラソル』かぁ…


ギャオス無しでやれるんですかね。
庵野作品やマイゴジの成功によって
SNSに語り手が跋扈する時代に
あえてそんな危険なエピソードをやるなんて…。

んでもって
『つばめさんとペンギンさん』についても
彼らが語り出すところまで見越して
このエピソードをチョイスするなんて
なんてサービス精神旺盛なんだ。
自分達には全く得るものがないのに。



えーそんなわけで
『妖精のパラソル』(28-10)を軽くレビューします。


物語はあたるの部屋で、ジャリテンとあたるが
怪獣の人形で遊んでいるところから始まります。

ジャリテンはリモコンのギャオス、
あたるはハンドパペットのゴジラ

ギャオスは『ガメラ』の敵役怪獣なので
ゴジラとの組み合わせはアンマッチなのですが
『夢みるテンちゃん!虹のはてに大冒険!!』でも
もろにギャオスで表現されています。

リモコン人形も「ギャオーッ!」って吠えてるし
ジャリテンも「ぎゃおぉ~っ!」と言ってて
うん、ならばギャオスだね、って。


ま、レビューは以上ですね。



秀逸だな、と思うのはこの

「遊んでもらうのはそのくらいにして……」
というラムの台詞。

これは決してラムが
(ケンカばっかりしてるけど、本当は仲が
いいっちゃねー)などと
ヌルい寝ぼけたことを考えているわけではなく、
自分の手を離れているから
状況はわりとどうでもいい、という
えーかげんな母親、という描写だと思います。
クスッと笑うささやかなギャグというか。

昭和アニメでもこの辺わかっていて、

気絶したジャリテンをほっぽって
ラムは出ていきますが、
「別に死にゃしないだろ」というようなその態度は
それこそ、ジャリテンとあたるの
毎度毎度のじゃれ合いにつきあわされて
うんざり気味の視聴者の代弁となっており、
たいへんにナイスであります。


ジャリテンは、“全然楽しくない”ので
“遊んでもらう”というラムの台詞は
まったく当たってないのですが
負けて向きになっていることで
逆に当たってしまっている、というところが
とてもいいです。


なんじゃこの枝っぷりは。
微妙に繊細に描かれているのが何とも不思議。
なんでしょうね、
アシスタントさんの
お手並み拝見かなんかでしょうか。


このエピソードの中核となっているのは
“パラソル”、つまり傘であります。
妖精が傘につかまって風に舞う姿は
まるでミュージカルのようで、
洋画であれば「雨に唄えば」あたりを彷彿させます。

妖精の風貌も朴訥としていて
あるいは『オズの魔法使い』あたりとも
世界観が合うような。

オズの魔法使い』といえば
Over the Rainbow」であり、
このエピソードで“虹”が使われているのも
その流れのインスピレーションでありましょう。

ざっくりというと「人生はハッピー」というような
表現であり、決して
恋人同士のイチャラブのための虹ではないのだ、と
ここではっきり(予め)言っておきたいですね。


そうそう、『夢みるテンちゃん!』でのCVが
熊倉一雄氏っていうのもまぁそういうことですよな。
今ならさしずめ“わくわくさん”こと
久保田雅人氏あたりがそういう枠でしょうか。
チョーさん(ワンワン)あたりもいいでしょうな。


『夢みるテンちゃん!虹のはてに大冒険!!』では
アニメーション的にいくつか見どころがあって
ジャリテンがスーパーマンになる妄想のところとか

虹がかかった後にジャリテンを追うあたるとか。

これねー、どなたが描いてらっしゃるんでしょうね。

一応クレジットはこんな感じですけど
気になりますなぁ。



『妖精のパラソル』のオチはまぁアレですが
「自分のなかでの面白いハードル」ってやつなら
まぁ……ねぇ。

それにしたって
ギャオス無しではちょっと弱い気がするけど
どうなんでしょう。

〈おしまい〉