ぼちぼちと更新していければ

(毎週土曜日中の更新を目指しています)









囲われもの

高橋留美子氏のTwitterで、
仕事場の蔵書が公開されているが
小説ばかりで漫画の気配が少ない。

いろいろと憶測するところもあるのだが、
もしかしてこれ、
小学館以外の漫画単行本”を
極力見せたくない意図だったりしないか?

小説ならまぁセーフ、とか。

そうじゃないとあまりにも不自然なんだよね。

しかし漫画家公式をうたっていながら
そういうのはちょっとどうかと思うので
釈明のためにも“最近の購入漫画”も
晒していただきたいもんだ。

「めぞん一刻」にお盆はあるのか?

お盆である。
コロナのせいで帰省を自粛するよう言われているが
国民の我慢も限界で、
かといって羽目を外したら、災厄が降りかかるのは
自分と、自分がどうしても会いたいと思った
その相手なのだから難儀なことだ。

お彼岸と違って連休でもあるため、
“お盆”は正月と並んで
親族が久しぶりに顔を合わせやすい場でもあるが
その機会が昨年から、半ば失われているのは
嘆かわしいことである。

さて本題だが、「めぞん一刻」において
お盆の仏事のエピソードは
描かれたことがない(たぶん)。

命日の墓参りの描写はやたらあるので
これ以上あってもお腹一杯ではあるのだが、
それにしても無さすぎる。

仏壇自体は音無家にあるから

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仏壇のない一刻館で暮らす響子が日々、
惣一郎との通信をできるわけでもない
(心の内の会話はともかく)。

命日をあれだけ大事にしている響子が
お盆の法事に関わらないのはなぜなのか
(たぶん過去に、先人が考察してると思うが)。

身も蓋もない話をしてしまえば
そもそも掲載誌のスピリッツが当初
月刊・月2回刊であり、
大事なサマーシーズンを
お盆エピソードなんかに使えるか!
という事だったのだろうと思う。
水着回もやらなきゃならんし。

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じゃあお盆が意識されてなかったかというと
数回はそれらしき描写がある。

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実家の定食屋をぶんどるべく
五代が帰った時期は、おそらく盆だろう。

義兄の正一が既に退職済みならば
盆じゃなくても帰省の自由がきくが、
定食屋を継ぐこともまだ決まっておらず
あまつさえ小さな子供も扶養している状態では
無職は考えにくい。
だからこのシーンはお盆の光景だろう。

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五代の乗った新幹線には
子供連れも乗っているしね(母親が、父親抜きで
夏休みに帰省してしまうパターンかもだが)。


もう一つは
明日菜が三鷹の部屋で一夜を過ごした日だ。

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夏の法事だからお盆なのだろう。
響子が五代に夕食を用意したその日も
お盆ということになる。
どんな夕食を作ったかと思えば

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エビフライなんかもあって、
到底 精進料理っていう感じじゃないけど。


まぁなんというか
夏は仏さんに構っていられないぐらい
忙しいしね。
って感じかな。

惣一郎さんは重要なファクターだけど、
響子の水着のほうがもっと重要、って事かと。

 

台風シーズン到来! うる星「台風は楽し」レビュー

この週末は台風10号が接近する予定である。
当初3つの台風がフォーメーションを組んで
オリンピックを蹂躙しにやってくると
いわれていたが、
そこまでひどいことにはならなさそうだ。

台風10号は、規模としても
さほど大きくはなさそうで、
しかし夏季休暇に入る前の貴重な週末を
雨の予報で意気消沈させるには充分な存在感である。

台風が来なかったとしても
コロナが猛威を振るっているので
特に出かける予定もなかっただろうし
雨が猛暑をやわらげると思えば
それはそれで実利的なのかもしれないが。

さて台風といえば
うる星「台風は楽し」(10-7)である。
アニメ版の「パニックイン台風!」も
遠藤麻未氏のかわいいラムが堪能できて
とても良作だった記憶がある。

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まずは扉絵から。
ラムの肢体に目を奪われるが、
背景の洪水に流される家屋の作画が凄い。
黒塗りのコントラストもあって
楳図かずおか藤子Aか、というような力作だ。

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この頃は未曾有の災害は想像上のものだったが
ニッポンが震災や水害を何度か経験するうちに
“非常食”というものの知識も構築されて
今やこんな、お菓子やらジュースやらを
準備する家はないだろう。
停電が長引くのであれば
冷蔵庫内の食材を使ってしまうことが先決だし
最初の24時間などを乗り切れば
食料の配給も行われるだろうという知見も
一般に浸透しているだろうし。

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尋常ではない喜びようのテン。
うれションしそうな勢いである。

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台風時、窓に木板を打ち付けるという文化は
僕の回りでは見たことはない。
このエピソードの雑誌掲載時の昭和56年であれば
ほとんどなくなっているのではないかと思うが
この行為で
“密室”(的な状況)を作り出しているので、
このエピソードとしては必須なのである。

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なんと邪気の無い表情。
まぁ実際、友人たちと一緒にいる時のあたるは
“キャラ作り”しているのかもしれず。

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雨漏りか…。
後ろのコマを見ると瓦葺きでもないようだが

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そんなにするものか?
僕は平成半ばまで集合住宅住みだったから
よく知らない世界だ。

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アニメ版であたるの父が
ローン地獄を嘆いている印象が強いから、
最近建てた家かと思っていたけど、古いのか…。
あたるの出生と同時に建築、であれば
築16年ぐらいだから、
古いというにはあたらないように思う。
中古物件をローンで購入したのだろうか?

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携帯用Gコンの描き込みがすごい。
面倒なので“アホ機械”にしてお茶を濁す
ではなく、ちゃんと向き合っているところが
たいへん素敵である。
また飯椀の模様が不思議なことになっているが
これは他のコマで飯椀をそういうふうに
描いたからなのだ。
極めて実直であり、誠実である。

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ほんとすげえなぁ、この背景。
ウソみたいだろ。ギャグ漫画なんだぜ。これで。

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漏電感電待ったなしである。
ブレーカーもぶっ飛びそうなもんだが。
このページでのラムは

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常識を持ち合わせない無垢な感じが描かれていて、
見ていてたいへん楽しい。

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口元とか肩の入り具合とか指先とかに
松本零士っぽさが。

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おいおいもう浸水2m超えてるやん。
この数年でもこのレベルの水害は現実にあったので、
漫画の話と笑ってばかりはいられないのだが……。

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なぜ下の水にGコンが作用しないのか。
雨水と氾濫水の、成分の違いなのか。

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パニックものの王道的なシーンだ!
実に正しい!!
上下からというのがまたナイスアイデアで、
無印スター・ウォーズのゴミ圧縮部屋を彷彿させる。

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このコマの作画は立体的で遠近感もあって、
とてもいいなぁ!
今にも動き出しそう、というか
脳内ではもう動いて見えています。

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当時このボケには笑ったなぁ……。
ヘタレな父親を頑張らせておいて
やっぱりポンコツ、という構成は
かなり先進的だったように思う。

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潜水艦が沈没するパニック映画などでの
救助における共通言語、
こういうのを楽しむためにも
漫画以外の知見を広げておかなくては、
と思う青春でした。

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ご近所さんがポジティブに片付けているが
これ完全に激甚災害である。
「どうなさいました」じゃないよ……。

まぁ一晩で元に戻るギャグ世界なのだけど、
もうこういうギャグはできないのかな。
たくましく困難に立ち向かう感じでも
NGだったりするのだろうか。

このエピソードを楽しめた世代で幸せでした。

暑中お見舞い! うる星「風鈴樹の音色」レビュー

夏なので連日暑い。
オリンピックに配慮してか
猛暑の報道はあまりないが、ここ一週間は
雨だった日を除いて、ずっと最高気温30度越えだ。
今日は35度まで上がるらしい。

平日に会社の社屋で過ごす就業中は
夏の暑さを意識することはあまりないが、
週末自宅にいると、朝9時前からもう暑い。

自然とクーラーのお世話になるが、
オフィスや一般家庭のクーラーからの排熱が
ヒートアイランド現象を助長している、
という意識は常にあり、クーラーを使うことに
いくばくかの良心の呵責が拭えない。

昨今は熱中症への惧れから
「暑いときはちゃんとクーラーをつけましょう」
などと啓蒙されていることもあり、
クーラーが贅沢品という感じではなくなってきた。
公立の小中学校の教室にも
エアコンが入っている時代である。

昔の賃貸のアパートではエアコンは付帯しておらず、
取り付けスペースとドレンホースの穴だけがあった。

だから入居後にそれなりの出費を覚悟して
エアコンを取り付けたものだったが、
平成のどこかぐらいから
エアコン付き物件が一般的になったのか、
日常ものの漫画やアニメの中でも
エアコンに手が出ない、などという話は
とんと聞かなくなった。

エアコンの普及率は2000年頃まで上がり続け、
そこから横ばいになっていったようだが
「うる星」は昭和の話であり、
クーラーは贅沢品、という感覚がまだある。

今日取り上げるのは、冷房がテーマの
28-8「風鈴樹の音色」だ。

28巻は、初っ端の「星に願いを」という
諸星家におけるエピソードで
あたるの母が貧乏自慢をしていることもあり、

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その感覚が尾を引いて
諸星家を貧しい家庭だという目で見てしまうが、
諸星家の敷地面積や建物の規模を考えれば
それが高度経済成長期だということを差し引いても
あたるの父は低収入ではなく、高収入である。

住居に全振りしている、という部分はあろうが
貧乏でクーラーが買えない、というはずはない。

どちらかというと昨今のミニマリストのように
節約した生活にチャレンジしている感もある。


さて本編のレビューに入るがまずは小ネタ。

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おユキとラムがまたがる生物は
スター・ウォーズ 帝国の逆襲」の
トーントーン”のパロディだろう。
「帝国の逆襲」のそのシーンも極寒の氷原であり、
「うる星」がもともとSF畑に属していたことを
伺わせる一コマだ。

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風鈴のような実をつける植物。
地球のニッポンという国の文化と酷似した外観で、
むろんこれはナンセンスギャグの一環なのだが
ともすれば不思議世界のマジメな設定とも
受け取れてしまう。
そして下手に真面目に向き合うと、
その不条理さなどが“破綻”に見えてくるので
注意が必要だ。

“アホな面子の、セコいドタバタコメディ”と
受け止めるのが、一番適切な気がする。

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クソ寒い海王星
半袖麦わら帽子に汗拭きタオルの業者。
彼らにとっては海王星は暑いことになるが
彼らの地で風鈴樹は、
どういう用途で使われているのか。

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このおユキの作画は
慈しみのあるいい作画だなぁ。

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松本零士の四畳半的な書き文字だ。
語感もいい。

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諸星家の居間は、
縁側があって障子で区切られた
日本家屋なんだよな。
冷房効率も悪かろうし、
クーラーを導入するとなると
大がかりなリフォームが必要そうだ。

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なんだこの力の入った作画は。
高橋留美子氏はおっさんのことも好きだが
所帯やつれしたおばさんも好きだよなぁ。

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袈裟を着ている錯乱坊の登場は
心頭滅却すれば」を表しているが
その観点には触れられることはなかった。
錯乱坊を徳の高い高僧とするわけにもいかないし
取り扱いが難しそうだ。

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あら奥さん口汚い。

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結実具合がキューピッド(26-10)みたいだな。

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この一連の運びでは、テンポが優先されていて、
“温かいものを食べて暖を取りたい”という説明が
省かれている。たいへん知的な構成である。

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ということは風鈴樹の冷却効果は
海王星のおユキの居住空間ほどでは
ないということか。たいしたことないな。
コントロールして活用できそうな気もする。

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ラムの台詞はあたるの父に向けられているようだが
おユキにもかかっている。
このエピソードを通して“経済観念”が語られており、
そこからいうと この話は
“風鈴樹が起こした不思議な事件”と
“小市民の貧乏ったらしい日常回”が融合した、
なかなか複雑な味わいのエピソードである。

“家族”の有りようが濃密に描かれていることも
特徴といえるだろう。
「うる星」においては
各キャラの親がよく出てくるが、
それが必ずしも我が子のストーリーのためではなく
己(父母)の思惑に沿って動いている、というのも
作品世界の広さとなっている。

家族というものが、絆うんぬんの前に
まず共同生活者である、ということを
実感させられるのだ。

土用の丑の日を前に・うる星「テンちゃん宙に浮く!?」レビュー

さて、三日後は“土用の丑の日”である。
しかしネット民の皆さんならご承知のように
絶滅が危惧されるウナギであり、
にも拘らず将来性を考慮しない消費が
繰り返されている日本のウナギ事情から、
土用の丑の日にウナギを食べる、という行為が
大手を振ってやるにはちょっと気が引ける今日だ。

ウナギは大好物なので
たまにでいいから臆することなく
食べたいのだけれども。

さて「うる星」でウナギがテーマのエピソードは
いくつかある。

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27-6「スケ番三人娘、動物作戦」には
電食ウナギというのが出てきた。
電気ウナギの亜種なんだろうが、
そんなことより“ウナギが空を飛んでいる”ことは
いったいどうなっているのだ。
まぁ、相当アレなエピソードだったので
どうでもいいけど。

で、もう一つ印象的なのが
19-2「テンちゃん宙に浮く!?」である。
ここでのウナギは生物ではなく、既に“料理”だ。

本題はテンの日射病である。
ちなみに2000年頃から日射病は熱中症
呼ばれるようになったらしい。

現在行われている“東京オリンピック2020”も、
酷暑の中での開催となっており
“スポーツに適した温暖な気候”と称して
誘致したことのツケがどう出るか
興味が尽きないところであるし、
イムリーなエピソードではあるのだが、
五輪の開幕に合わせて調整された4連休が
思いのほか忙しく、
エピソード丸々レビューするには
ちょっと時間が足りないので
「鰻」部分のみ見てみよう。

 

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件のウナギである。
当時これを見てどう感じたかはもう覚えていないが、
グルメ漫画が乱立する現代の観点からすると
わりとイマイチな作画である。

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「食いきれぬ」というが
あたるたちに振舞って5人分減らしたところで
何の助けにもならないほどの総量なのである。

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ゆえにサクラの本心は別にある。
「鰻を食わしてやりたい」あたりだろうと思うが
一応面堂も呼ぶのが、
サクラの素直で良いところなのかもしれない。

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ラムもウナギに興味津々で、
テンもウナギの匂いに
ずいぶんそそられている
辛いものが好きといっても
甘辛い味が“甘さ”の方にシフトするわけでも
ないだろうし、“味がないっちゃ”と
いうことにもなりそうにないので、
おそらくそこそこ美味しいのではないだろうか。

このエピソードはラストのコマが
少し難解だと思う。

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ターゲットのあたる以外に
畳が3か所ほど焦げている。

最初はよくわからなかったがおそらく、
夏カゼを引いたテンが
所構わずくしゃみをしている描写なのだろう。

しかしその前のコマでテンは復讐を示唆している。
最終コマのテンの行動がその復讐であるならば
他の焦げ付きがよくわからないことになる。

最終コマのテンの行動は悪意のないくしゃみであり
あたるはただとばっちりをうけているだけなのだ。
その前のテンへの虐待が壮絶なだけに
ちょっと座りの悪いエピソードである。


皆さまも熱中症にはお気を付けください。

『これで、完璧なのよ』めぞん「夏色の風と」レビュー

関東甲信越地方は昨日梅雨明けが宣言された。
今日は気持ちのいい夏空だ。
だがしかし東京は緊急事態宣言真っ只中で、
昨年に引き続き、今年もプール遊びは見込めないし
近県での海水浴も楽しめそうにない。
せめて広い青空を満喫したいものだが
越境しての旅行も憚られる雰囲気であり、
なんとも鬱屈した2021年の夏である。
気持ちだけでもサマバケでロマンスしてぇなぁ…。
というわけで、
めぞん一刻6-8「夏色の風と」のレビューです。

サブタイトルの「風」からし
一過性を感じさせるこのエピソード、
今読むと古いなー。

ペンション旅行っていうのがもう、
いつの時代だよっていう。
平成にも自分探しの「深夜特急」ブームが
あったけれどもそれよりはるか前、
アンノン族が清里
ソフトクリームに群がっていた頃の
昭和の話なんである。

というか同じスピリッツではこの頃
「軽井沢シンドローム」が進行中だ。
だから五代の向かう先は
信州というわけにはいかなかったのだろう。
北海道旅行は金がかかって、
貧乏学生の五代にはキツかろうに。

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扉の五代は
THE NORCE FACE のTシャツを着ている。
リッチだな、と思いきや、
この頃の THE NORCE FACE はまだマイナーだ。
ではなぜ五代が?
うーん、背負っているバックパックともども、
BE-PAL小学館)でも資料にしたのだろうか?

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外で飲んじゃダメだってさ。
よその人が見たらびっくりするからだってさ。
コロナ下の路上呑みとか見たら腰抜かすな。

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朱美さんの分析に続いて次頁で

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五代もしっかり管理人さんを見透かしている。
その割りには、

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管理人さんにはストレートに言わないと
伝わらない、ということにまだ気付いていない。

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実にギャルゲー的登場である。
何かの共通項で繋がっているならともかく、
縁もゆかりもない美少女が、
突然声をかけてくる、っていう、
そんなラブ・アフェアあります?
もっともこれはご都合主義だと
いっているのではない。
さすが始祖、と言っているのだ。

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眼鏡っ娘である。
“眼鏡を外したら美少女”の典型だが、
このエピソード以前に
眼鏡っ娘という概念があったかというと、
(青少年漫画・アニメでは)正直微妙である。
「軽シン」の薫、そして
超時空要塞マクロス」のヴァネッサ(同一人物)
ぐらいしかぱっと思い付かない。
Dr.スランプ」のアラレちゃんは
眼鏡っ娘といえるかもしれないが、
アラレちゃんに欲情するってのは
当時のアウシタンやローディストの中でも
上級者過ぎる感じだったし、
まぁともかくさすが始祖、である。

そもそもこの五代と大口小夏の出会いかた自体、
少し前の女性とのトラブルに
踏ん切りをつけるという目的も含めて、
片岡義男の「彼のオートバイ、彼女の島」と
クリソツだし、
大口小夏の人懐っこい性格にしても
「彼のオートバイ」のミーヨとそっくりだ。

異なる創作物で、
こうしたシチュエーションが同様に描かれるのは
それが読者のニーズに合っていた、と
いうことでもある。
旅先での予期せぬ出会いに思いを馳せる青年が、
日本にはそれだけいたということだ。

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北海道まで手紙を書くためにきたのね?
とコナかけられているのに

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否定するガキの五代。
前頁の五代のセリフ、

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を受けていて、なかなかに味わい深い。

こういうのって、五代に共感する男性読者と、
「俺ならもっとうまくやれる」という読者の、
両方にアピールできてお得なんだろうな。

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北海道“徒歩”旅行だあ~?
北海道なめんじゃねぇ!!

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超美人である。めぞん登場人物中、断トツだ。
というか化粧したラムである。
起き抜けなのにフルメイクとはこれ如何に。
ベアトップのワンピースがまたリゾート感満載で
めちゃくちゃ魅力的ではないか。

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五代の胸元のしゃもじみたいな物、ナニコレ。
五代の一部じゃなさそうだ。
よくわかんないけど
バス停の標識か何かか?

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その前のコマの背景で、
この場所が“ペンションさあもん”の
玄関近くということがわかるし、
バス停があってもおかしくないのだが、
もしかしてこのバス停(?)の描き込みを以てして、
大口小夏が“徒歩旅行”をやめて
五代との“バスも使用する旅行”に移行した、と
読み取れというのか?
(だから層雲峡や日高に行っていてもOK)
漫画読みスキルの難易度高過ぎでしょ。

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「一緒に行っていい?」と言われているのに
「きみさえよければ」って、どんな返しやねん!

そこは「(きみさえ)僕なんかでよければ」だと
思うんだけれども、
五代の不器用さを描くための、
あえての意図的なドンくさい台詞なのかな。

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これな。
当時、何かの折に使い勝手のいいフレーズでしたな。

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えっ、お前がそれ言う?
誤解されたぐらいで北海道行くなよ。

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坂本も坂本で、隠すようなことでもないだろ。
「めぞん」のテーマは誤解と勘違いだが、
6-7「プールサイドのキスマーク」で
坂本自身の失恋や五代との一夜のことを、
ひた隠しにするのはいくらなんでも無理がある。

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優雅でかわいくてやさしくて…………
きみは女性の鑑だねえ。

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東京に帰る前の晩、
旅の締めくくりの、女性からの突然のキス。
これも「彼のオートバイ」と重なるシーンだ。

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女性が言う最後の一言も
同様に綺麗なエンディングとなっている。

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この五代の顔はちょっといいな。
キスされて嬉しがり過ぎないところがいい。
二人はきっと連絡先も交換しておらず、
この先、会うことはないだろうというのも
この時代ならではの味わいがある。

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小夏ちゃんが、ごみは持ち帰れってよ。

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ジーンズの前ポケットなんかに

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長封筒入れるからだバカ。


えーさて、このレビューを書くにあたって
webでいろいろ検索したのだが
「めぞん」のパチスロで、
「~夏色の風と~」ってのがあるんだそうだ。
公式サイトを見ると、そのパチスロの登場人物に
大口小夏はいないようだが…。
なんじゃそれ。

バカ野郎そいつがあたるだ!!「面堂兄妹!!=その2=」レビュー

何週かに渡って取り上げている「面堂兄妹!!」、
今週はアクションの冴える
“ロミジュリごっこ” 部分だ。

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雷を前フリに現れたラム。
ヒロインAの登場だ。
この絵が素晴らしい。
左手の位置がいい。
手のメガホンであれば両手が口元に来るが、
顔を隠さないために左手が少し離れる、
さらにラムの記号としてのビキニを見せるために
外へ広げた左手の処理が、とても自然で美しい。
胸や身体のよじれ、下腹部もいいし、
ビキニの作画も質感や厚みを感じるもので
裸の上に乗っかっている感じが
すごくよく表現されている。

アニメ版では帯電したラムが
青白く表現されていて幻想的な雰囲気だったが、
色トレスのせいもあって現実味に乏しく
ファンとしては物足りなく感じた覚えがある。

さて
「ダーリンあぶないっちゃ~~」という
ラムの台詞は、あたるを気遣うもので、
前回エピソードの

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「邪魔してやるっちゃ~!!」とは
かなり雰囲気が違う。

ラムが付きまといすぎると
あたるの自由度に制限がかかり、
物語が進まなくなるので
気まぐれに邪魔をするだけにしたのだろうが、
そのことであたるの主役度が上がり、
ストーリーに筋が通った感じはある。

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このコマもセンセーショナルだったなぁ。
電撃系のキャラが、
電気を体表から“摂取”するのも斬新だったし、
その決めポーズがガッツポーズなのも、
かわいいヒロインキャラなのに
鉄人28号マジンガーZと並ぶ表現で、
そういうのもあるのか って感じだった。
現代においては
戦う美少女キャラもたくさん輩出されているので
珍しくもない表現かもしれないが。

今回のラムの役どころとしては

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このコマが如実にそれを表していて、
あたるのハンデでありながら、
気持ちの部分では
あたるの負担になっていないという、
要するにメリハリ要員だ。

本来であればその役割りは
ゲストの了子がするべきなのかもしれないが、
了子はそういうところが不得手な感じもする。
小技が利かないというかなんというか。

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テンの下にベルトが作画されているが
このひと手間が結構ピリリと利いている。
続くコマでも

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ベルトを締め直すあたるが描かれているが
こういう、テンを装備のように扱う、というのを
ちゃんと描くことで
テンの「アホみたい」という台詞に
説得力を持たしていると思えるのだ。

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このコマも高度なパロディだ。
ヒーローが困難を乗り越えて、
ヒロインの元へ駆けつける、という
よくあるシーンのパロだが、
光っているのはあたる(ヒーロー)が
戦っている光などではなく、古女房に
みっともなくお仕置きを受けている光なのだ。

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この頃の漫画が知的だったのはこういうところだ。
人形浄瑠璃にこういうものがある、と
知っていて読むのと、
人形がなにやらおどろおどろしい顔に変わった、
と表層だけを捉えるのとでは面白味が違う。

知らなくても、後でその知識を得ることで
「後から面白い」ということになる可能性もあり、
だからこういう知的なネタは
どんどん青少年に読ませるべきだと思うが
昨今はそういう感じでもなくなっているのが
残念な気がする。もっとも、ステージが移って
今はラノベとかが
その役割を果たしているのかもしれない。

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こんどは “お仕置きしようとして結果的に
あたるを救った ”ラム。
前の頁と対になるギャグで、テンポがいい。

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古城の大扉をめぐるこういったギャグは
カリオストロの城」を彷彿させるが
この当時、一般的にはカリ城
まったくメジャーではなかったし人気もなかった。
もののけ姫」公開以前は
テレビでもそんなにやらなかったし。

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この着せ替えシーンなどを見るに、
着想にはカリ城の恩恵も多分にあるように思えるが
ギリギリセーフかな、と思う。

逆にアニメ版ではこの階段辺りのシーンを
モロにカリ城のパロにしていたが、
当時“アニパロ”という奴も
その界隈では相当流行ったので、
コアな視聴者は結構喜んだのではないかなと思う。

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このコマはすごく素敵なコマだ。
カットイン(でいいのかな)が、
後ろの背景と馴染んで、
情景描写としても素晴らしいし
絵としても立体的でとてもいい。
実写だと不自然になりがちな表現であり、
漫画やアニメの優位性がよくわかるコマである。

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今回のエピソードで了子が自らやったことは
この手榴弾をばらまいたことだけなのである。
うーんなんという他人任せ(ディスってない)。

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ラストのコマでは黒子の一人が
あたるにチョウチョのエフェクトを
かけてやっている。
…死んじゃった時のエフェクトって蝶だっけ?
天使の輪っかに羽が生えたやつが
ゆらゆら立ち昇るエフェクトは覚えがあるけど。
あと気絶だったら、
ヒヨコとか小鳥がピイピイ回るエフェクトも
よく見た気がするなぁ。


とまぁこんな感じで、
了子はほとんど働かず、
まわりのキャラたちが振り回される様子、
というのが了子出演回の定番な感じである。

了子は存在意義的には舞台装置といってよく、
数々のトラブルも
了子の差し金なのか黒子が忖度して動いているのか
判別がつかないところもまた、
掴みどころの無い感じを醸し出している。

了子のそんな掴みどころの無さが、
いつまでもよそよそしさを拭えない理由だ。

美人だけれどね。