先週はどうやら、
入学式シーズン真っ盛りだったようで
あちこちで保護者と連れ立った新入生を見かけた。
新型コロナが猛威を振るう中、
それでも入学式が執り行えたのはよいことだった。
ただ我が子の場合を見てみても
今年は入学式への在校生の参加は
見合わせるところが多かったようで、
上級生・下級生の意識もなかなか育ちにくかろう。
と、とってつけたような前置きが済んだところで
話は友引高校へ。
あたるやラム、しのぶや面堂のクラスは
ご存じの通り 2-4 ということになっているが
この高校2年生という学年は、
新入生の当惑や、三年生の進路の心配もなく、
そういったストレスから
距離を置いたところで日々を過ごせるということで、
時の経過しないギャグ漫画の舞台としては
またとない設定である。
それゆえ「うる星」同様に
高校2年を舞台にした漫画も多いのではないか、
と思うが、
学園ものとして有意なのは
先輩・後輩を配置することができる点だ。
憧れの先輩、気のおけない先輩、
かわいい後輩、生意気な後輩、
今日の学園漫画はそんなのばっかりだが、
「うる星」に目を向けると
意外なほどに、他の学年の描写が少ない。
そんな「うる星」のなかで
いちばん「先輩」然としているのは
やはり夏子であろう。
もっとも夏子は自分の学年を公表していないし
ラムやあたるのことを
下級生/後輩とは呼んでいない。
だが男子バレー部のキャプテンとタメ口だったり
あたるに「あなた」呼ばわりされたりしているので
上級生=3年生であることは間違いないだろう。
さてこの「コートの中では泣かないわ」(6-2)は
1980年のサンデー41号に掲載であるが
41号はだいたい9月の頭に発売のようである。
このひとつ前のエピソード「個人教授」が
花和先生の新任と、
ラムの編入のエピソードだったが
おそらくそれは、現実世界の
読者の夏休み明けの新学期に
合わせたものだったのだろう。
普通、運動部の3年は夏休みをもって引退である。
バレー部の場合はインターハイをもって
3年引退というところが多いらしい。
ということは夏子は
“引退しない居座り3年生”ということか。
「心が叫びたがってるんだ。」でも
似たような描写(そっちは「戦力外」)あったけど
後輩たちはやりきれないねぇ。
「コートの中では泣かないわ」は
ちょっと取り上げ甲斐がありそうなので
日を改めてレビューすることにしよう。
さてでは
「うる星」における“下級生”の代表はといえば、
「勇気ある決闘」(23-1)に出てくる
「いじめられていた女子」だろう。
このキャラも学年は明らかにされていないが、
ラムに“さん”付けしたり、
ラムに対して丁寧語で話したりしているところ、
またラムが教え、導こうとしている姿が
同年代へのそれではなく
年下の者への振る舞いに見えることなどから
1年生とみていいだろう。
掲載は1984年のサンデー25号、
G.W.明けぐらいの発行だろうか。
この「いじめられていた女子」も
入学早々、総番(及び不良グループ)に
絡まれて災難なことである。
つうかこの頃、
こういう不良グループってまだいたっけ?
と思ったが、「BE-BOP-HIGHSCHOOL」が
1983年から2003年までの連載で、
映画「ビー・バップ」が1985年だから
まさに真っ最中だったのかも。
なんとなく個人的には、校内暴力のピークは
「3年B組金八先生」第二期(1980~)の
「腐ったミカンの方程式」あたりのような
気がしてしまうのだけれども。
黒目がちで、
喋り口調もちょっと変わっているこの
「いじめられていた女子」(長いな)は
ラムの一つ下の学年ということになるだろうか。
しかし実質は、ラムの転入から
4年経っているのだ。
世代の隔たりでいうと、
実質二十歳のラムが、15歳のこの子と
絡んでいることになる。
1980年代には「新人類」や
「ぶりっ子」という言葉も生まれ、
本来であればラムもそっち側なのだが
このエピソードにおいてはどうやら
ラムは旧人類ということになるようだ。
まぁしかし連載を読んでいた当時は
4年は長い月日で、
その年月の中で作品が変化していくのも
無理はないと思っていたが、
今読み返すと
たった4年でこんなに変化したのか、と
驚くことしきりである。
時の流れって恐ろしい。