ぼちぼちと更新していければ

(毎週土曜日中の更新を目指しています)









ケンカは先手必勝だっけ!?うる星「見合いコワし」レビューその3



※前々回の記事で、リメイク版の放映開始を
「開始は4月だというから…」と書きましたが
どうやら違うらしいです。すみません。


さて、しばらく間が開いてしまったが
「見合いコワし」(9-7~10)の続きをやろう。

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=その3=の扉はフキダシの台詞付きだ。
ユニのこの台詞は印象深いので、
記憶から、すっと出てくる読者も多いだろう。
なんというか連体形の形がヘンだからだ。

ユニは“まことちゃん”よろしく

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「~~ら」「~~れす」と舌っ足らずに喋るが、
「恋人がいるのに…」を“まことちゃん語”に
変換するのは確かに難しい。

「いるのだ」ではなく「いる」でいいので
単純に「いるのに…」でいいんだけど
扉絵だから盛っちゃったのかな。

そういえば平野文さんがラム語をして
「~~だっちゃか!?」とよく言っていた
(たぶん“ウル青春記”とかでも)が、
あれもいちいち気になったもんだ。

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オリジナリティあふれるキャラがいっぱいいるが
これは読者投稿の残党たちだろうか?
発想がフレッシュで、とてもいい。
変に小奇麗にまとまったキャラよりも
パワーを感じますわ。
作者やアシさんのお仕事なら
それはそれで素晴らしい。


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この空間の描写!
パースがどうこう等関係なく、
ワクワクする絵だ。
あたるとプリムたちの位置関係だけでなく、
宴会場から少し離れた裏手の一角で…というのが
ストーリーへの没入感を高めている。
背景の書き込みもたまらん。

空間のモチーフの酒樽には
「NADANOKI IPPON」と書いてあり、
ここが単なる物置きではなく
“酒蔵”だと示していて、
だから所どころにある蛇口からは
きっと酒が出るのだ。

見合い反対派の“ささやかな宴会”には
飲み物が並んでいないがそれは、
“酒はその辺の蛇口から適当に飲む”と
いうことなんだろう。
漫画って面白いなぁ。

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ディアナの食い意地に隠れているが、
この時のテンの挙動は何やら少しおかしい。
この辺からしばらく、背景にビールの缶が
大きく描かれていることもあり、
実は当初、テンは
酔っぱらっている案だったのではないだろうか?
憶測にすぎないけれど。

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これはアニメ「一休さん」の名台詞。

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なんか既視感が。

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テンの母ちゃんが出てきてからは
あまり意識したことがなかったけど
テンはラムの従弟であり、
つまり鬼星の要人なんであるなぁ。
テンの親父は物語中に
出てこなかったような気がするが
父と母のどちらが皇族なのだろうか。
そういえばラムの母とテンの母の共演は
あったっけかなぁ。調べてみるかなぁ。

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ディアナの皿は3枚、そして空っぽ。
神は細部に宿るねぇ。

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女性キャラが「殺してやる」というのが
ギャグだった時代なんである。
「ウイークエンダー」から連綿と流れる、
男と女の下世話な色恋沙汰が
ある意味他人事であり、
エンタテイメントだった時代だからこそ
成立していたギャグでもある。

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この手のギャグは確か
モンスターズ・インク」あたりでも
見たような気がするけど
日本ではとっくに習得済みなのだ。
そしてこのセルフつっ込みは面白いな!

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正体がバレての強攻策、
あたるには“なりゆきまかせ”と
断じられていて、その後でも

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計画性のなさを指摘されているが、
見れば見るほど
「それは『オンリー・ユー』のことか?」
と思っちゃうな。

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「頭が高いっ!!」は実に見事な台詞。
時代劇でよく使われるフレーズによって
コメディの雰囲気にしつつ、

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次の落下にもかかっている。
天才的だ…。


「見合いコワし」シリーズは
一種、お祭り的な長編なんであるが、
すごく楽しげに作り込んであって
スペシャルと言うにふさわしい。

「オンリー・ユー」に比べると
ドタバタの規模としては小さいのだけれど、
あたる一人を巡るにしては、
「オンリー・ユー」は
話がデカすぎるような気もする
(そこがギャグ、なんだけど投影度は下がる)。

少年漫画としては、
この「見合いコワし」ぐらいが
ちょうどいいサイズな気がするなぁ。

ミレニアム世代との感性の違い

このところ、リメイク版アニメ「うる星」が
どういう作品になるのか、を考えている。

そしてそれがはたして面白いと思えるかどうかが、
僕にとって最大の関心ごとだ。


ふと思い立って、中学生の子供に
YouTube島崎俊郎
アダモステ」の動画を見せてみた。

見せたのは、アダモちゃんの部分だけを集めた
まとめ動画である。

本当はコントの前後を見せないと
アダモちゃんの“意外な登場”というところは
楽しめないかもしれないのだが。


結果として、
子供には全然喜ばれなかったし、
全く面白くないとのことだった。


ご存じの通り、
アダモステ”はかなり人気のあったネタである。
僕も当時、アダモちゃんの出たての頃は
何度か笑ったような気がする。

しかし今見直してみると、
懐かしさにすがった薄笑いや苦笑は出るが
面白い、楽しいという感情は出ない。
素直な形で笑えはしない。


僕が思うに、おそらくこれがイコール
リメイク版アニメ「うる星」における
「海が好き!!(どど~ん!)」ギャグなのである。


新「うる星」において
竜之介の親父が登場するならば
当然このギャグはやるだろう。
それを見た僕は、きっとニヤニヤするだろう。
ニコっとぐらいはするかもしれない。
あるいは苦笑するかもしれない。

「なるほど」と思うだろう。
「それはどうなの?」と思うかもしれない。
「違くね?」と眉根を寄せるかもしれない。

しかしおそらくたぶん、
どんなに作画が素晴らしくても
「海が好き!!(どど~ん!)」を
めちゃくちゃ面白い!と思うことはないだろう。

僕はそのギャグをすでに知っているからだ。


リメイクの宿命なのかもしれないが
昔のネタをそのままやるというのは
そういうことなのだ。


有名作品のリメイクという時点で
ある程度の古い客は確実に計算できる。

それらの顧客は「味にうるさい客」でありながらも
基本的に“ありがたい客”だ。

乱暴に言えば、
“お馴染みのこと”をやっておけば
それだけで喜んでくれる。


でもそれって本来の「面白さ」とは
ちょっと違うんじゃないだろうか。


「海が好き!!」は当時であれば
押しも押されもせぬ立派なギャグである。
not for me である可能性はあるが、
ギャグの一端を確実に担っている(いた)。

だが長い年月を経て、
全く変えずに出してくるならば
それは“リメイク”ではなく“再演”なのだ。


「出た、『海が好き』出た!!」

これって共感しているだけで、
面白がってはいないんじゃないの?


「うる星」ほどのIPともなれば
当然新規顧客の獲得も狙っているだろう。

そちらも満足させて、
ヒットさせなくてはならない。

だけど「うる星」全盛期からその世代までは
40年近い年月の開きがある。
若い視聴者を満足させる面白さを
リメイク版アニメ「うる星」は
提供することができるのだろうか。


もっとも、先に書いた“共感”という部分では
今の若い世代たちのほうが
むしろそれを楽しんでいるともいえる。
動画視聴における“弾幕”などはその表れである。

だがそれも、そのギャグが面白ければなのである。


「海が好き!!」は
若い世代に楽しんでもらえるだろうか。


若い世代に受け入れてもらえず、
昔の客には懐古的な消化しかしてもらえないのなら
無理することはないんじゃないか?


まぁ、「変えずにやれ」と
言われてるかもしれないし。
ビジネスのことは僕にはわからないけれどもね。



※よく考えたら「海が好き!!」のほうも
動画で子供に見せてみたらよかった。

メガネかサトシか リメイク版アニメ「うる星」に寄せて

リメイク版アニメ「うる星」について語られる中で
たいへんよく出る話題が
“押井色”と“メガネ”についてである。

押井氏が今度のリメイク版に関わるかといったら
ビジネス的にそれはまずないだろうと思うが、
そもそもリメイク自体が
およそ考えられないとんでもないことだったので、
可能性はないと断言することはできない。


僕自身は押井ファンではなく、
パトレイバー」も「攻殻機動隊」も
通りいっぺん眺めただけなのだけれども、
それでもアニメ旧「うる星」における
押井テイスト及び「B・D」については
肯定的、というかたいへん好きである。

ただそれでも、
今の時代に“押井テイスト”の「うる星」は
ちょっとよろしくないだろうな、と思うのだ。

まずその最たるものといえる
メガネの“長台詞”だが、これは
今どきのアニメではうまく演出できないだろう。

メガネがマニアックに熱く語るシーンは
当初「俺たちの情熱の代弁」であったが
やがて「自虐ギャグ」となっていった。
それでもアニメ旧「うる星」においては
デカい声で喚く場があっただけまだマシだ。

今日でも漫画やアニメで
そういうキャラは見られるが、
だいたいが他者にまともに取り合ってもらえず、
ややダメな、扱いづらいトホホなキャラとして
画面の向こうで、または見切れながら
勝手に喚いているように描かれている。

要するに今の時代、デカい声の奴は嫌われるのだ。
陰キャが自己満な内容を喋るならなおさらだ。

テンションの問題でもある。
押井氏の演出には
ハイテンションな場面が欠かせないが、
今のこの鬱屈した社会にそれをやられても
ちょっと厳しいのではないだろうか。

「お黙り!」とか
「聞いとんのかおんどりゃあ!」的な、
そういう、勢いで相手を抑えこむようなギャグは、
この時代にはちょっと受け入れられにくかろう。


そしてそれは、
うる星やつら」という存在にも言えるのだ。

原作を、昔の作品として読む場合には
まったく気にならないことが、
新しくリメイクされて提供されたら
すごく気になる、ということはあると思う。

「うる星」のギャグは当時の最新ギャグであるが
そこから文化も進んだし、
何が面白いかの基準も変わった。

「うる星」には、
強引さで笑いを取るエピソードも多々あるが、
それは今の時代にそのままやるには
ちょっと苦しくないだろうか?

狭いターゲットのおっさん達が
懐古的に喜べばいい、と思っているかもしれないが
おっさん達だって日々新作アニメを見て
アップデートしているのだ。


さて。

メガネかサトシか、という問題は
“メガネ、パーマ、チビ、カクガリ、そしてあたる”
という男子グループがクラスに存在しているのか、
それともあたるのクラスに
“サトシ”や“コースケ”がいるのか、
という問題でもある。

今の時代に高校の教室内をデザインするなら
どう考えても後者だ。

集団のパワーが希薄ともいえるが
その反面、個体と個体を繋ぐ糸は
しっかりしたものとして深く描く、
それが令和の若い人たち
共感を得てもらえる描写なのではないかと
僕は思う。


だから本当はもういっそ、新「うる星」は
令和の話にして、ブラッシュアップしてほしいと
僕は考えているのだが、
いろいろあってそうはならないのだろう。

まぁでも素人が考えるようなことは
プロは当然わかっているというのが僕の持論なので
どう料理してくるのか楽しみではある。

今の僕はリメイク版に対して
ラムの可愛さや作画よりも
文化的な部分に最も興味がある。

どうであれ、信念をもって作れば
きっと面白いものになると思うので
がんばっていただきたい。

どうかよろしくお願いいたします。

アニメ・リメイク「うる星」のキービジュアルについて

「うる星」リメイクの話も
ちょっと落ち着いた感がある。
開始は4月だというから、今から騒ぎ続けても
到底持たないというのもあるかもしれないが、
一過性の消費になってはつまらないので
ぜひ、よりよい制作者と視聴者の関係を
築き上げてほしいものである。


さて、リメイクの話が出てすぐに
椎名高志氏がラムの描き方に言及していた。

中でもツノについて、
猫耳はダメとおっしゃっていたが
原作のラムのツノは(主に作画上の都合で)
頭骨からまっすぐ生えておらず、
まさに“猫耳”のように描かれていることが
とても多い、ということは、
ラムをちゃんと描こうとしたことがある人なら
みんな気付いているはず。

ツノといえばリメイク「うる星」のテザーPVでは

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こうなってて、
あぁそうしましたか!と思った。
なかなか思い切りましたね。


先週ちょっと言及したが、
令和版「うる星」のKVのイラストには
いろいろと思うところがある。

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それを書き連ねる前に、
僕がこのイラストを「大好きだ」ということは
声を大にして言っておく。


さて、このイラストを初めて見た時、
40年(実際には三十ウン年)の時を超えて
ラム、及びラムを擁する「うる星」の
“エロチックな魅力”について
やっぱりそうだよね、と僕は思った。


このイラストを一言で表すならば
「ラムの肢体」である。

長い脚は綺麗に折りたたまれている。
顔と胸と脚はとても近いところに配置されていて、
だからその胸も脚も、見たいだけ見ていい。

これはラムを擁する「うる星」が
かつて大ヒットした大きな要因だろうと
僕は思っている。


今の人には想像もつかないかもしれないが
アニメ「うる星」放送開始の頃の日本での
女性の裸身(全裸であれ半裸であれ)に対する
中高生、大学生のアプローチは限られたものだった。

社会人向け週刊誌にはヌードグラビアがあったし
ドラマやバラエティでも
時にラブシーンやポロリがあったりしたけれども、
それらはあくまでも大人の領分であった。

子供から大人への過渡期を過ごす
中高生、大学生たちには
欲望のはけ口という意味合いの
エロコンテンツも魅力的だったが、
異性への“興味”を満たすことも重要だった。

異なる身体を持つ異性が
すぐそばにいる生活とはどんなものだろう。

ラムが体現したのは実にそれだった。

ラムの事をプラトニックに
好きだった人もいるだろう。
何を隠そう僕もそういうつもりだった。

しかしでは
ラムが半裸じゃなくても好きだったかと問われると
あまり自信がないし、
きっと“すごく好き”ではなかったろう。

いや俺はしのぶのほうが好きだった、
おユキさんのほうが好きだった、

そういう人も多いと思うが
だったらもし、ラムが半裸じゃなくても
「うる星」に引っかかっていたかと聞かれて
そうだと胸を張って言える人は少ないだろう。

僕らが「うる星」に惹かれるうえで
虎縞ビキニまでいかなくても、
ビキニアーマーやレオタードスタイルぐらいは
必須だったように僕は思う。

肌の露出が少ないラムが地面を“歩いて”いたら
それはただの御坂美琴なんである。
御坂美琴にラムの代わりは務まらない
御坂美琴御坂美琴で魅力的だが)
(黒子のほうがかわいいが)。

グラビアのような大人コンテンツの中ではなく、
学校で、教室で、ファンタジーの舞台で、
同級生や、僕らの好きな“メカ”と
共演したりしてくれる半裸の少女、
それが「うる星」の魅力だったのではないだろうか。


今でこそ、秋葉原を歩けば、
深夜アニメを見渡せば、
本屋でラノベの平積みを眺めれば、
半裸コスチュームの女の子を
わんさか見ることができるけれども、
半裸の女の子というコンテンツは
当時はそんなに市民権を持っていなかった。

市民権を持っていなかったのは
彼女らキャラと同時に、
僕らのような消費者側もであった。

ラム以前は、半裸の女の子の絵を描くなんて
許されることじゃなかった。
それは“変態行為”だった。

しかし、ラム以降は、
独りでラムを描く分には、
裸を描いてるんじゃなくてラムを描いているのだと
思い込むことができた。

ラムの魅力の一つに空を飛べることがあるが、
しかしそれは“移動方法”として魅力的なのではなく
その事によって、さまざまなポージングを
とらせることができるから魅力的なのだ。
女の子の身体の見たいところを
見えるような恰好をとらせられるから魅力的なのだ。

これは、可動フィギュアで遊ぶ気持ちと
近いのかもしれない。


原作の「大ビン小ビン」(26-5)

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や、「妄想フーセンガム」(26-8)

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の、これらの絵からは、上記のような意味合いを
僕は感じ取るのだが違うだろうか。

そして、新アニメのキービジュアルは
それをもろに受け継いでいると僕は感じたのだ。


ここまで述べてきた内容は、
女の子キャラを性的に搾取していると
いえるかもしれない。
もしそう区分されるなら否定するものではない。

ジェンダー論に巻き込まれそうなテーマにおいて
お前はどちらの味方なのか、
どちらに塩を送っているのかといわれそうだが
本当のことだ。

ただ、射精を最終目標とした性的欲求とは違って
好きなものを愛でる、愛する、
そういうところに喜びを見出す比率は非常に大きい。

それは、例えば
美術絵画の裸婦像と何が違うかといえば
何も違わない気がする。

まぁそんなに高尚なものではなくて
筒井先生や豪ちゃんの描くような、
下世話で、そして人間くさい欲望にまみれた
“人間賛歌”の考えに従っているだけなのだけれども。

「うる星やつら」再アニメ化に向けて

新年あけましておめでとうございます。
本年も当ブログをよろしくお願いいたします。

元旦早々「うる星」再アニメ化という
どぎついニュースが流れてきて、
この正月はまんじりともしなかった。

今年2022年の干支が“寅”であることは
もちろん認識しており、
だから年始の挨拶にもラムを絡ませようとか、
そういうささやかな想いはあったのだが、
そこに突然、メガトン級のパンチを
食らったような心持ちである。

「どうしよう、どうしよう」と気ばかり焦るのだが
どうしようといったって仕方がないし
何ができるわけでもないのだ。
それはわかっているのだが矢も楯もたまらず、
「どうしよう、どうしよう」と
ぶつぶつ言い続けた正月だった。

僕自身はアニメ「うる星」のリメイクに対して
結構肯定的である。
以前の記事で、
無彩限のファントム・ワールド」のルルのように
現代のアニメ技術でのラムを見てみたいと
書いたこともあった。

しかし時代の変遷が、「うる星」のリメイクを
困難にしているだろうとも思っており、
だから再アニメ化を夢見てはいるものの
半ば諦めているような状態だったのだが
そこを暴力的に叩き起こされたので、
気が動転して
いつもでも落ち着かないというわけなのだ。


公開された内容はあまり多くはない。
ラムの新しいキービジュアルと短いテザー動画、
あたるとラムのCV紹介及びキャラ紹介用の立ち絵、
そして製作スタッフの一部紹介というところだ。

そのKVがまた、ありゃまぁという感じで
いろいろと思うところがあったのだが
それは後日改めて書く。ちなみに大好きである。
だが同時にこれは言い逃れできんやろ、とも思う。


番組は4クールという長大なスケールで
放送されるとのことで、
勝負に来たな、と思った。
一連の政権批判やコロナで有耶無耶になった
「クールジャパン」をここでやりに来たのか、
そんな気もする。

そう考えると、
原作者のハーベイ賞受賞も説明が付く。
小学館創業100周年の記念事業として
ひと旗揚げにいったのかもしれない。

まさか国費は入っていないと思うが
今後何かにつけてマスコット化していくようなら
この「うる星」を見送ってしまった営利企業
歯ぎしりして悔しがるべきだろう。


今回のニュースを受けて、
案の定、“うる星”ジェンダー論が
一部で巻き起こった。

このブログがHatenaブログであることからも
お察しではあるのだが
僕もそれらの記事はほとんど読んだ。
怖いから触りにいかないけど。

ポリコレ的にも大きな問題を抱える“うる星”だから
どう料理していくのかは実に興味深い。
竜之介問題もさることながら、
テンは火を吐くのか(そして人を黒焦げにするのか)
友引高校の制服のスカートは膝上なのか、
楽しみでしょうがない。

願わくば、昭和のエピソードにはしないで
令和のエピソードにしてほしい。

期待しております。
よろしくお願いいたします。

読者参加型企画の名作!? うる星「見合いコワし」レビューその2

さて今週はうる星「見合いコワし」(9-7~10)の
レビューの2回目だ。

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表紙のラムは劇場版「地球へ・・・」の
オマージュだろうか。

テンのおまるロケットの後ろ姿は
劇場版「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」の
ヤマトのようでもある。
そういえばテンとあたるはそのキービジュアルの
古代進と森雪のようだ。

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1コマ目から上手いなー!
広い宇宙にポツンと小さな宇宙船、
そこでミニマムな台詞「こら!」が
生きるか死ぬかの大トラブルを
とてもちっぽけなことに見せるのに成功している。

おまるロケットが逆さまになっているのも
推進力がないのだなぁ、と考えさせられて
(当時としては)実に気が利いていると思う。

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“エンコ”なんてもう死語も死語、
国語辞典からも消えているのではないだろうか。
「うる星」の新しい版ではどうなっているのだろう。

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“さすらいの狼”、昔そういうタイトルの
アラン・ドロンの映画や、
同じタイトルの日本の時代劇ドラマが
あったそうな。

しかしあたる(=作者)が持ち出すにはちと古い。
日本の特撮「スターウルフ」(1978)あたりからの
連想なのかもしれないな。

高橋留美子で“ウルフ”といえば“ウルフガイ”だけど
そっちはあまり詳しくないので
その中に“さすらいの狼”というフレーズがあったら
たいへん申し訳ない。

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この(プリムの)宇宙船のモチーフは何だろう?
悪魔族(=プリム)にも、
薬売り(=プリムの変装)にも
特に関連があるようには見えないのだが…。
船体には文字で注意書きがされているようでもあり、
ネタだとしたら、わからないのは口惜しいなー。

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この、いかにも999が立ち寄った風の風景!
空に浮かぶ恒星も、虎柄周波数で
怪しい電波を放出するとかの
謎設定をもっていそうだ。

特に言及はされていないが、この星はもちろん
ラムの故郷である“鬼星”であろう。
宴会スタッフがみんな
ラム(と親父)の身内っぽいし
星の遠景は虎縞っぽいし。

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後ろで出てくる噴水も、
鬼の神話がモチーフのようだ。

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アニメではラムのドレスは紫だったかな。
原作の白っぽいやつのほうが断然いいな。

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読者公募のこういうの、
今の時代ではどうなってるんだろうね。
新しい版では修正されているんだろうか。
この方もお元気なら
還暦を過ぎたあたりのはずだが
その後人生が変わったりしたろうか。

地底のプリンスは
アニメでは千葉繁氏が声をあてたが
千葉繁氏以外考えられない完成度だったなぁ。
「うる星」と親和性の高い、
優れたデザインだったのだろうね。
ドイツのものっぽい軍服と
ニッカポッカを掛け合わせて
ギャグ方向に振ったのも、とてもいい!

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この辺の会話の作り込みを見るに、
作者も相当気に入ってたみたいに思える。
これはファン冥利に尽きるねぇ。
ってこの投稿者の方は、留美ックファンとしては
私よりずっと年季が入った先輩にあたるのですが。
すみません生意気言って。

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プリム扮する薬売りはカタコトの日本語で、
まるで一昔前の中国人の描写のようだ。
薬売り(売薬さん)といえば越中富山であるが、
富山の喋り言葉は、別にカタコトではない。

もしかしたらこうした“口調”も、
読者の考えたキャラ設定の
一部だったのだろうか(ユニといい)。

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胸と、背負った箱にはラッパのマーク。
言うに及ばず某製薬会社のマークだが、
某製薬会社のほうは
ラッパが上下逆さまである。

というわけで
「見合いコワし=2=」のレビューはこの辺で。
ラストまで追うにはあと2回はかかりそうだ。


来週の土曜日曜は正月なので
更新はお休みします。

皆さま、よいお年をお迎えください。

素晴らしき宇宙旅行!! うる星「見合いコワし」レビューその1

つい最近の日本の話題として
衣料品大手のZOZO創業者・前澤友作氏が
自費で宇宙旅行を実行した、というのがあった。

そういえば私はこの2021年冬アニメで
月とライカと吸血姫」というのを
視聴しておりまして。

イリナが過酷な訓練を行ったのに比べて
前澤氏はそこまで苦労したようには見えないので、
その辺もテクノロジーの進歩なのかなぁと
思ったりもしたわけです。

そこで思い出すのは「うる星」の

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これですよな。

古くはアポロ計画の時分から
SFファンたちは
そういう認識を持っていたんだろうけど、
私たちオタクが地球の引力や
大気圏を認識しだしたのは
大気圏突入でザクが燃えちゃう辺りからかな。

そういう概念に目を向けさせたという意味では
機動戦士ガンダム」の功労は
たいへん大きいものであるといえましょう。

というわけで今回は
「見合いコワし」(9-7~10)編のレビューです。
4話分ある相当長いエピソードなので、
どうしたものかとは思っているところであります。


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物語はテンから始まる。
テンの“盗み聞き”という要素が
後のあたるの“隠密行動”へと繋がっていて
この仕掛けは抜群に上手い。

もちろん、発想としては順番が逆なのだろう。
あたるとラムの間に“秘密”を発生させるためには
どうしたらいいか、というところからの
テンの盗み聞き、なのだろう。

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テンと、ラムの親父との3ページは
“日常”からの出立点となっている。

続く錯乱坊やサクラとの3ページ、
少し間を置いて面堂やクラスメイトとの2ページは
彼らがあくまで地球の日常をいろどる面子であり、
ひとたび地球を離れて非日常の世界に突入すれば
あたるが孤軍奮闘しなくてはならないことを
読者に言い聞かせている
(このことは「オンリー・ユー」との良い対比だ)。

そのように、「見合いコワし」“=その1=”は、
そのページ数を丸々
イントロダクションに使っているが
その甲斐あって、物語は壮大だ。重厚感もある。

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サクラも昔はこういう腰の軽いところがあって
それが なうなやんぐ らしくて良かったのだが…。

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UFOでやれ。

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親父さんに何と言われたのか知らんが、
ラムがあたるに
行き先を伏せる理由があるようには思えんが。

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メタである。

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この頃の面堂のラムに対する想いは
自分より上級のインベーダー/高嶺の花に
恋焦がれるような、
ちょっと可愛らしいところがあった。

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うーんこの、松本零士的な計器の数々!
潜望鏡の描き込みも、ギャグ漫画とは思えない。

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おや、このシルエットは……

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=その2=に登場してくるレイであろう。
考えてみればラムが地球から帰ってくるのであれば
レイがまず第一花婿候補であって然るべきなのだが

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こんな扱いを受けていて可哀そうに。

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あくまで“見合いを邪魔する”という方便で
はっきりと本心を言わないあたる。
最終話(ボーイ ミーツ ガール)までの流れを
知っている者からすれば
もはやあたるらしい美学にさえ見える。

とはいえ、では「ボーイ ミーツ ガール」のほうを
改めて見てみると

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ちょいちょい媚びる部分が垣間見えてなぁ……。


とまぁ、今回の=その1=は導入部であり
ラムが事の重大さに気づいていないこともあって
あたるに焦点が合わせられた回であった。


もしかしたら〈つづく〉が、
続かないかもしれない。