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「ザ・超女」レビューその2


さて、前回に引き続き
「ザ・超女」のレビューその2です。



ケチな観光客にバイト代を値切られた程度で
さほど嫌な思いもしていないけれど
“気が乗らなくなった”ので遊ぶことにしたマリス。
自由でええですなあ。

ロケット 3 台分の負債を抱えながらも
それをほとんど気にしていないおおらかさが
マリスの長所です。

「稼がなくちゃいけないけど…遊んじゃおっか」
ではなく、
「若さを腐らせたくないから遊ぶのだ!」
という、堂々と自分に自信を持っている姿と
闊達でキラキラした笑顔が、
若い女の子の青春の素晴らしさを感じさせます。

実際、こういう自信に裏打ちされた笑顔は
留美ックでも珍しいのではないでしょうか。
ラムや弁天が満面の笑顔をすることはあっても
こういうバイタリティに溢れた、
表裏のない表情はしていない気がします。

マーフィーは、
借金をおざなりにしているマリスを叱るでもなく
マリスの青春、つまりマリスという存在が
充足することを尊重しています。
これはマリスにとっても
尊い理解者なのではないかと思いますね。

このコマにしても、マリスは決して
マーフィーの許可が必要だったわけではなくて、
でもマーフィーに同意してもらえたことが
彼女の後押しになって、それがすごく嬉しくて、
そういう描き方がされているのではないでしょうか。

次のギャグへの布石で、テンションを目一杯
上げておく必要があったのだとしても、
マリスとマーフィーが一体であるということは
ここでしっかりと表現されていると思います。

マリスのロケット。
戦闘型には見えない、エンピツ型でもない、
ちょっと救命艇っぽい感じもするデザインで
マリスの移動用宇宙船としては
めちゃくちゃいい造形っす。

宇宙服(?)のマリス、
(当時としては)はしたないポーズで登場。
股を開いた はしたないポーズなんだけど、
そこに仏頂面を持ってきて、
エロさを打ち消しているのが興味深い。
なんならここでの登場シーンは
お色気サービスカットにしてもよかっただろうに
そうしなかったところが、
作者がスラップスティック
心血を注いでいた証でしょうか。

操縦桿も、単に股間を隠しているだけではなくて
マリスが、超不機嫌ながらも
ちゃんと居場所には居る、ということを示していて
非常に効果的に見えます。

「相変わらずおもしろい顔だな」というのは
二重のギャグになっていて、
マリスの不機嫌顔を“おもしろい顔”と
曲解してみせたのがひとつ、
自分こそおもろい顔のおっさんが
自分のことを棚に上げているのがひとつ、
なわけですけれども、
何度も読み返しているうちに
この上司のおっさんと顔馴染みになってしまって、
その顔をギャグと捉えられなくなってしまいました。

まぁ実際この上司のおっさんは
ネタ顔をするでもなく、物腰も終始普通であり、
そういう“真面目な人”の顔の造りを
イジっちゃいけないよな、という
理性が働いてしまうのかもしれません。

ここではマリスのぶっ飛んだ性格を
フィーチャーしなくてはならないので
上司のほうは悪目立ちさせたくない、という
計算もあったのでしょうが、
その甲斐あって、淡々としているけれども
一筋縄ではいかない上司、という感じは
すごく出ていると思います。


さてこの後、黄金丸くんが出てくるのですが
そうするとまた長くなるので
今週もここで一度切りましょう。
来週に続きます!〈つづく〉