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「ザ・超女」レビューその6


「ザ・超女」のレビュー、
第 6 回目となります。最終回です。前回はこちら


ギプスを施錠されて力を発揮できず、
スーちゃんに一方的にいたぶられるマリス。
しかしマーフィーの援護により
ギプスを解くことができ、反撃開始!
そこへ割って入る敵の親玉。

スーちゃん、ここでも泣いている。
ホンマに泣き虫やなぁ。

死にたがりな親玉。
まぁ一応、“道づれならば”自滅しよう、という
保険をかけてあり、スペシャル・ポリス側が
そうならないように動くはずだという
したたかな計算も、芝居なりに働いている。

「なんでやねん?」「(こんなにぶっこわされて)
どないせーちゅんじゃ!!」と関西弁(漫才弁)の
不マジメな言葉が使われていて、
ここはギャグですよ、と謳われているのだが
しかし黄金丸もスーちゃんも、ここでは真剣である。

真面目に不マジメ怪傑ゾロリではないけれど
変態・変人の異常は正常、なんである。
こういうのは面白いっすなぁ。

親玉のこの「わー…」が秀逸である。
他のどんな言葉にも差し替えられない独自性がある。

後に「つまんないの!!」と続くことから
「それは…つまんないの!!」という意図で
描かれたのかもしれないですけど、
期せずして、この「わー…」は
シュールな滑り笑いのような
効果を生み出している。

これがねー、なんともいえない“味”ですなぁ。
人間観察であると同時に、
人間の仕草のちょっとした甘皮みたいなところを
絶妙に描き出している、と僕は思います。

これがダウンタウンより遥か以前というのが
漫画読みで幸せだったなあ、と思うところです。

悪玉の正体は黄金丸だった!
というわけで扉絵の、黄金丸と親玉が
同時に存在している図はイメージであります、と。


親玉がダース・ベイダーであることからも
黄金丸はルーク・スカイウォーカーなんでしょう。
ルークは黄金丸みたいなお金持ちじゃないですが、
世間知らずのボンボン、というところは似てますし。

スター・ウォーズ」がお姫様を救う話だったのが
「ザ・超女」では逆に王子様を救う話となった、
と考えると自然なのではないかなぁ。

事態が呑み込めず、オタオタするマリス。
完全に狂言回しポジションです。
これ、読み切り連載とかじゃなくて
単品読み切りなのに、
マリスの物語ではなくなっているというのが。

まぁ、それでいて
これだけキャラが立っているマリスは
ほんとに素晴らしいということでしょう。

黄金丸への想いが実らず
ショックを受けているマリス。
なんかつられて同情しそうになってしまうけど、
実はマリスと黄金丸の間には
“何もなかった”ので、進展するはずもない。
妄想乙。である。

スーちゃんの「する!!」は
マリスの「する!!」の
打ち消しギャグとなっているが

スーちゃんは NTR なんかではなく、正妻ポジ。
マリスに肩入れするあまり、
そのへんが混乱してしまうけれど
その混乱させられ具合いがこの漫画の魅力でもある。

勝手に失恋してギャン泣きしているマリス。
ギャン泣きしてくれているからこそ、
明日にはケロッとしていそうで
それがマリスらしいところなのだ、と
読者に思わせるだけのキャラ立ちがマリスにはある。

留美ック随一の明るい子、と
レビューその1で述べたけれども本当にそうで、
物語がここで終わっても、
マリスのことは何も心配が要らない、
あの娘はきっと宇宙のどこかで
元気にしているに違いない、
そう思える安心感がこの物語にはあります。

読後感としては最高の部類に入るんじゃないかな。
締めも最高だしね!

〈おしまい〉