ぼちぼちと更新していければ

(毎週土曜日中の更新を目指しています)









劇場版「うる星やつら 完結篇」レビューその3


アニメのレビューをここでちゃんと書くのは
これが初めてなんですが、
準備に結構時間がかかります。

通して見るのはもちろんなのですが
原作と見比べながらなので
シーンの並び方が変更されていると
何度も行ったり来たりしたりするし、
画面を撮るのにも手がかかるし。

画面の撮影については
意図的にデジタルなキャプチャーは避けています。

もともとこのブログ自体、
広告収入のようなものは付いていないので
営利目的ではないと言い切れるのですが
それでも人様の著作物をお借りするにあたって
引用の範疇だと思ってもらえるように
画質もなるべく下げているつもりなのです。

ただ、内容が批判に偏ると、
引用させていただいている手前
少し後ろめたくもあります。

しかしだからといって
批判はしないってのも
マチュア精神にもとる(悖る)と思うし。

苦虫を噛み潰されるかもしれないけれど
ご容赦いただければと思います。


さて、先々週先週ときて今週も
劇場版「うる星やつら 完結篇」(1988)の
レビューをしていきたいと思います。


舞台は地球に戻って因幡クン登場。
しかし黒いノブの話はカット。

いや、それでは未来への水先案内人である
因幡クンが出てくる必要性なくない?

ノブという概念は確かに原作読者じゃないと
通じないネタだけど、それを言い出したら
変なウサギの着ぐるみ男だって
充分説明を要するだろ…。

そして
「ラムとあたるが帰ってこない」というしのぶに

「不吉じゃ」と被せる錯乱坊だが
本来それは黒いノブが不吉なのであって、
ラムとあたるが帰ってこないのは
“不吉”ではなく“不穏”だろう。
話の削り方がどうもガバいよな。

TV シリーズの頃から
あたるの母のシーンは
意味もなくスタッフが頑張る傾向があったけれど
ここも突如として頑張ってるなぁ。

エヴァ破のアスカの料理シーンに先駆けること
20 年ですよ。

キッチンシンクってだいたい対面が壁なので
壁にぴったり超広角レンズを置いて
アングルハントするしかないのですよね。
最近はアイランドキッチンが出てきて
アングルに自由度が増しましたが、
庶民っぽさがなくなってしまうので
まだアニメの日常シーンには降りてこない感じ。

「(会ったこともない女に夢中になられて)
カルラがかわいそうだっちゃ」という
ラムの台詞を受けて
「ほったらこと、今さら…」と
自分のやったことを唾棄するルパ、そして

そんなルパに一瞥もくれず去っていくラムだが
ここは改変されていて、原作のルパの台詞の

カルラに想いを寄せているニュアンスが
消えているし、
そんなルパを見やって
あたるを(あたるの本心を)垣間見るラム、
という描写がない。


カルラのバッグに生えていたキノコを
夢邪気に鍋に投入するラン。
カルラは一応、キノコが蔓延しないよう
用心していた。

原作のここは、カルラの行動が不条理過ぎて
ほとんど地球侵略の先鞭隊のようになっているので
この改変は有りだと思う。

しかし“カルラの尻ぬぐい”という意味合いが
薄くなるので、
ルパの動きが変わってしまうのでは?
また変わるべきなのでは?という気もする
(星間条約にのっとって事務的に対処する、とか)。

このビジュアルは
思わずモザイクをかけてしまいましたが。
笠が閉じている状態の描写はどうなんすかね。

あたると対立し、「もう最高だっちゃ、
誰かさんみたいに浮気しないっちゃ」と煽るラム。
売り言葉に買い言葉とはいえ、
ルパとよろしくやってるということになるが
それでいいのか?
原作(ボーイ ミーツ ガール編)では
そういう意味に取れる台詞は
決して言わなかったラムだが。

カルラは井上瑤さん(小宮さんとの共演となる)。
つうことはルパとのカップリングは
セイラさんとマ・クベか。趣きがあるなぁ
(セイラさんとジョブ・ジョンでもそれはそれで)。


うわっ、出た! 傷心のラムが彷徨うシーン!!
ラムのラブソングラムのバラードといい、
やってくれるなぁ。
(2022.11.19修正しました)


ごっこスタートと同時に流れる、
コミカルな BGM。
そりゃ批判もされるわ…。

5 日目の、プロット上の穴である“人類への配慮”を
フォローする台詞は削られている。

「ボーイ ミーツ ガール」は
かけめぐる青春」に回帰する形で
SF 色をのせていると思うので、
こういうところは細やかにやってほしかったな。


「おれは絶対忘れない、『忘れるもんか』」と
ここであたるに言わせてしまうとは。

繰り返すことで観客の心に刻むようにするってのは、
ここ一発でただ一度使うよりも効果がある時にだけ
やるべきだと思うんだけれども。

こういうところは頑張るんやな。

「あとはあたるくんに頼るしかないわねぇ…」
とつぶやくしのぶと仲間たち。もちろん改変。
いやいや、あたるが頑張っているのだから
お前たちも最後まであきらめずに頑張らないと!!

この絵が

こう。身体はほぼトレスなのに、
なぜ表情は追わなかったのか。

声をあげて泣きじゃくりながら
ルパに抱きつくカルラ。
ここは“原作では無声”であるニュアンスを
アニメで再現してほしかった。

記憶喪失装置を止めるのは諦めて、
疲弊したあたるをモニターで見守る仲間たち。
彼らが、そうするはずはないんだよ。

アニメシリーズだから、「海が好き」を
ことさらフィーチャーするのはいいよ、
だけど 9 日目にやることはないだろう。

それはラム親衛隊も同様。
アニメシリーズだから出るのは構わんよ。
しかしだったら君たちも玉を投げるべきだった。
少なくともメガネは最後まで奮闘するべきだった。

この影、エロいな…。


あたる、落としたツノを拾わず(隠さず)。
ウソやろ…。

ラムの「…意地っ張り…」は
ここにかかってるんじゃないのか?
その行為に、あたるの本質を見て、
ラムの心が融けるんじゃないのか?

「言わない」「言えない」、
そのテーマがここに集約されているというのに、
ツノを拾わずに行ってしまったら
それもう、だだ漏れじゃん。


最後は鬼ごっこからそのままエンディング。
どうしても「 I, I, YOU & 愛」エンドに
したかったんやな…。

ここは好き好きかと思うけれど、
「ボーイ ミーツ ガール」という“事件”を踏まえて
後日譚のように、
連綿と続いていくあたるとラムの関係性、
という描写を見たかったなぁ、僕は。


「完結篇」は以上で終わりだが、これでよく
“原作準拠”なんていう評価になってるもんだ。

設定や絵作りは確かに原作のママのところが多くて
担当はこれでも仕事してるのか?と思うぐらいだが、
ストーリーや演出のほうは
変に手を入れられているせいで
たいへんもどかしい。

制作スタッフはもちろんプロなわけだけど、
正直、マンガを読むチカラというところには
疑問符が付く。
あるいは、観客のレベルを舐めているのか。

昭和と令和のレベルの違いはもちろんあって、
その分は差っ引かなきゃいけないけれど、
アニメは常に、原作を越えようと
頑張らなくちゃいけないでしょ。

越えるためにはまず、劣化してはダメなのだ。


まぁたぶん、令和になって
マンガを読むスキルも
全体的に底上げされているから、
リメイク版「うる星」では
素晴らしい映像を見せてくれることだろう。

それを期待しつつ。

井上瑤さんに思いを馳せて。〈おしまい〉

劇場版「うる星やつら 完結篇」レビューその2


※前回のレビューはこちら
さて今週も引き続き
劇場版「うる星やつら 完結篇」(1988)の
レビューを書いていこう。


ラムの実家に送られてきたビデオメールを
再生視聴するラムの両親。
動画データを、通信ではなく
メディアでやり取りするのがもはや新鮮だ。

…今でも作業データがウン百 GB 越えたりすると
メディアをバイク便で飛ばしたりする職種は
あるらしいけれど。

ラムが誘拐されたと聞いて
ラムの親父は軍を立ち上げるのだが、
その時の台詞が、原作では

「相手はタゴやっ」となっている。
これ、「タコ」の誤植かなと思っていて、
実際「完結篇」では「タコ」と
発声しているんだが…。

“間抜け”の意味合いが強い“タコ”を
この場面で使うかな!?と思って調べてみると
“タゴ”には知られざるこんな意味もあるようだ。

まぁ結構ヤバめの単語なので
本当にその意図なのかは
わからないところではあるが。

三田ゆう子さんの「ラムはいねえのか(ょ)」
という台詞、めちゃくちゃ上手いな!
直前の古川氏と神谷氏の掛け合いが
子供っぽいだけに、
自然な台詞がすっと入ってきてぐっとくる。

(連れ去られるのを)みすみす見逃したのか、
と問われて「どうしようもなかったんじゃ!」と
喚くあたる。
どうすることもできなかったのが無念だからこそ
原作では“返す言葉もなかった”と思うのだが…。



闇の宇宙へ向かうランの UFO の光跡を
“あたるが来てくれる”というインスピレーションに
繋ぐ演出。
ニュータイプ”を想起させる、うまい演出だと
思ったのかもしれないが、
ここで使ってしまったために、
UFO がニアミスで事故った時の

あたるの生き死にが問われる場面での
ラムのインスピレーションはない。
“光跡”を重用した判断は正しいのだろうか。

囚われの身のラムだが
嘆かわしいことにブーツを履いている……。

ビデオメールの時点でブーツなんだよなぁ。
ストーリー上の誤りなのはもちろんのこと、
高橋留美子うる星のフェティシズム
まったく理解してないな。



ルパの星の光池(エアポート)に
不時着するシーンは、
撮影班の仕事なのか背景班の仕事なのか
わからないけどすごくいいな。
いい表現にしようという気概を感じるよ。

仲間の到来を知り、
部屋を抜け出そうとするラムだが
ここでスタスタ歩くせいで
次のギャグが台無しである。

カルラの衣装…
メッシュじゃない…だと…?
PG-12 のレイティングでもかかってるのか?


あたるの婚礼衣装が、
原作の黒から白に変更されている。

カルラが用意したのだから黒いのが妥当なんだが
(対してラムの衣装は“光の宇宙”の娘を
嫁に取る、というプロパガンダ的なことで
白にしたと思えなくもない)、
ルパとカルラ、あたるとラムを
明確にグループ分けするために
あたるの衣装を白くしたのだろうか。
しかし、ではなぜラムのドレスを
原作の白からピンクに変更したのか。
そこには整合性がない。

これもしかして、「完結篇」では
カルラがヴェールを垂らすシーンがあるために、
あたるまで黒い衣装だと
喪服に見えすぎてしまうからじゃないだろうか
(原作にはヴェールを垂らすシーンはない)。

ヴェールにこだわるぐらいなら、
カルラの衣装のメッシュを
作画してほしかったけどなあ。


「カ、カ、カルラ…!?」「ルパ!!」
あたるとラムは発声なし。
これはいかんなぁ。
ルパとカルラは
あたるとラムの代理戦争をやってるわけで、
そのシンボリックなこのシーンを

ただのルパとカルラのトラブル(と、
それに巻き込まれた形のあたるとラム)に
しちゃいかんよね。

ルパと結婚するというラムに
詰め寄ろうとするあたるのセリフが
原作の「おまえは!!」から
「おまえなぁっ!!」になっている。
僕は、この改変はいいなと思ったんだけど
違う、と思う人もいるだろう。


子供の頃に無理矢理「好きだ」と言わされたのだ、
というルパに対して
「それじゃあ、あの言葉はウソだったのけ!?」
という「完結篇」のカルラ。
原作には、「それじゃあ」の部分がない。

カルラには、無理矢理言わせた自覚があって、
それでも(ルパを好きだから)
その無理を押し通そうという描写なのだ。

無理矢理言わせた「好きだ」は
単なる人質であって、
その言葉に拘泥しているわけではない。

そんな強引な手段の後だからこそ

“ぼろぼろぼろ”が光るのに、
なんで「完結篇」では
“ルパの言葉を信じ込んだ可哀そうなカルラ”
みたいになってんの。


ここでカルラの頭上が
“キュピーン!”って光るんだが
なんで光ったのか、まったく理解できない。
カルラがキレた演出?にしては
光線の作画も SE もまったく合ってないし、
いったい何なんだろう?

てっきり壁をぶっ壊して
弁天たちが乗り込んでくるのかと思ったよ。


やたら黒目がデカい四分一ラムだけど、
こういうのでいいんだよ こういうので

仲間たちがラムを救うべく脱獄するところは
そのタイミングが原作とは変えられた。
それはいいんだが、
食事をあてがわれたシーンと切り離されたせいで
「そろそろ行くか」がギャグではなくなり、
ただの傍若無人、乱暴なだけの行動に
なってしまった。
そのほうが面白いのはガキんちょだけでは?

「ダーリン、うちを助けて!!」と叫ぶラム。
この脚本家の書くラムは、
やたら助けてもらいたがりだよな。

あたるがラムを裏切り者呼ばわりし、
ラムを捨てて他の女を選んだという、
あたるとラムの気持ちが途切れたシーンだが
ラムのカットインなし。う~ん……。



塔から落下するラムとあたるに追い付けず、
「くそぉ!間に合わなかったか」と
歯ぎしりする弁天。
ということはラムとあたるは死んだのか、
ということになるが、
弁天がラムを“死なせるわけがない”。

次のシーンでのラムの復活を
より印象付ける演出のつもりだろうが、
この世界で何が大切なのかをもう少し考えてほしい。


なんでブーツなんだよ。アホなのか。

「完結篇」が公開された頃はもう
留美っくファンジン界を離れていたので
この改変が当時どのぐらい話題になったのか
僕は全然知らないのだが
フェティシズムというだけではなく
ラムの心情描写という意味で
ここの裸足はマストなはずなのだ
(世が世ならここでのラムは素っ裸でもいい〉。

公開からずいぶん経ったからかもしれないが
web 上にも、このラムの素足・裸足問題に
言及しているレビューは見つけられなかった。
しかしおそらく僕の知らないところで
このブーツ着用については
批判されていると思いたい。

頼むから、リメイク令和「うる星」は
ちゃんとしてください。


あたる達の乗った UFO が去っていくのを
見送るラム。

涙は白いトレス線で描かれていてよく見えないが、
劇場では程よい感じだったかもしれない。


ここまでトータルで 46 分。
30 分アニメで 2 週分だ。
「完結篇」はあと40分ある。
来週に続きます。〈おしまい〉
※レビューその 3 へ

劇場版「うる星やつら 完結篇」をレビューする


去る 8 月 25 日に
リメイク「うる星」の新情報として
弁天の CV が発表になりまして
同時に弁天の立ち絵も公開されました。

半月前のおユキまでは
そんなでもなかったのですが、
今回の弁天の絵を見て
ちょっと漠然とした不安に駆られています。

今回の「うる星」って
解像度というか、画面の情報量的に
大丈夫なんでしょうか。

弁天のビキニアーマー
形がとりにくい形状で、
だからこそ質感を出さなきゃいけないし
そうでないなら露出している裸のほうを
魅力的に描かなきゃいけないと思うんですが
どうなんでしょうね。

まぁ、サクラまでの紹介絵と違って
ラン以降の絵は
設定資料から切り抜いてきたようなタッチなので
本当に“あり合わせ”で掲載したものかもしれません。
情報のメインは CV のほうな気がしますし。

ただラムのビキニの虎縞もそうですが
令和の高解像度の時代に合った作画をしてくるのか
ちょっと不安なところはあります。

結構、再放送で NHK 枠とか狙ってたりしてなぁ。
そうなるとアクの弱い、
ケレン味のない仕上がりをしてきそうで
期待が薄れてしまうところですが
どうなりますですかねぇ。


さて先日の当ブログで
リメイク版キャラ設定での
「ボーイ ミーツ ガール」が
想像しにくいと書きました

旧アニメでの「ボーイ ミーツ ガール」は
言わずと知れた 1988 年の
劇場版「うる星やつら 完結篇」です。

これ、うろ覚えですけど
たぶん僕、映画館には観に行ってないんですよね。
後々、ビデオで見た気はするんだけど
内容は全く覚えていない。

なので、一回おさらいしてみることにしました。
今週は、
うる星やつら 完結篇」をレビューします。


物語は見知らぬ宇宙船の姿から始まる。
SF っぽいアニメでは
何かにつけて見られるような絵であり、
ちょっと安っぽいんじゃないだろうか。

続いて
シャドーを利かせて映し出されるのは
謎めいた美男子。
っていうかルパである。

なぜルパから始めるのか。
まぁ劇場版だから、なんでしょうなぁ。
ルパが、一番重要なゲストだから、なんでしょう。

原作の場合のオープニングは

この、闇の中のラムである。
今まで 355 話やってきて、ある意味では
その 355 話が前フリだったともいえるが
とにかく今回、ラムにただならぬことが起きる、
それがこの扉絵なのだ。

観客/読者にとって、何が重要か。
見終わった時に、
その感動とオープニングの記憶がリンクするか。

この映画では、そういうことを
掴めていなかったんではないかなぁ、と思う。

タイトル題字で
文字間を空けたのにも疑問が残る。

この文字列は
ファンや関係者が愛する“ロゴ”なのだ。
こういう処理は、ちょっと無いんじゃないだろうか。


続いては原作通り、幼いラムが登場する。
ロリータ方向に振られているが
この部分は端的にいって出来がいい。
ただし幼児性を強く描かれているので
気恥ずかしい感じもしてしまうのだが。

ただ映像美に振り過ぎて
本末転倒になっているところは見受けられる。

ルパのひいじいちゃんは
ラムの中で“まっくろけ”と記憶されているが
それがこんな

綿毛/風花の舞い散る風景では成立するまい。

原作アレンジが全て悪いとは言わないが
例えばサクラの水晶に映し出されたラムの姿、

これはなぜわざわざ仰向けに変更したのか。

原作では俯せである(扉絵とも同じ)。
どちらが窮状を表すか、
どちらが迫りくる魔の手を想像させるか。
なぜわざわざ変えたのか。


あたるの解釈についても違和感がある。

ここでは、ラムの凶兆を聞いたあたるが
勇壮な BGM と共に自宅に向かって走っているが
そこではあたるはまだ走ってはならんのだ。

後で、象徴的に走るシーンがあるからである。

また、ラムに対して素直になれない、
やせ我慢をしてしまう、などの
“あたるらしさ”も損なっているように思える。

映画館には確かに一見の客も来るだろう。
だがそれらへのサービスは
物語の根幹をないがしろにしてまで
することではない。


「ラムは女の子です」
「うはははははは…女の子!?」
のところのラムのひいじいさんのアフレコは
最高だなぁ!
令和の芸人さんの間の取り方にも劣らない
見事なアフレコだ。

この映画ではオリジナルのギャグシーンも
入れられていて、

しかしこういうのはちょっと
幼稚すぎやしませんかね。
いったい誰が喜ぶというんですかね。


さて原作と見比べてみると
作画アングルがかなり変えられているのに気が付く。


こういう具合だ。

しかしこれはどうやら視線誘導的なことのようで
上の例でいえば

若かりし頃のひいじいさんを、
現在のひいじいさんと一致させるために
立ち位置を一緒にしているだとか、
ルパのひいじいちゃんは右で演技させるだとか
そういうことだと思われる。

これを、相当マメに行っているのだが
なんかそれもなぁ、親切すぎるというか
観客のレベルを低く見積もっているというか。

台詞のフキダシの都合がある原作と
同じがいいというわけでもないけれど、
ルールにのっとっていることで
単調になり過ぎているきらいがなくもない。

まぁ昭和の作品ですし、
リメイク版ではもう少し変化にとんだ画面を
見せてくれるだろうと期待しつつ。


ルパが来襲するシーンのこれ。

「オンリー・ユー」がこれ

なんだけど
これはもうマンネリと言われても仕方なくない?


ルパの豚車(?)のブタの振る舞いも
原作から変えているけど
変える意味あるのかなぁ。

例えば最初、ブタはブレーキかけてるけど
それは“停まる場所が違う”、
つまりブタがアホであるか、
もしくはルパが制御できてないということになり
いずれにせよ人為的なミスということになる。

ルパが帰る時にしたって
なんかブタの暴走に巻き込まれた風になってるし、
テンションの高いドタバタにすれば
観客が喜ぶと思ってるのかなぁ。
そんなに幼稚じゃないんだけどなぁ。


友引高校の保健室はガラス戸だっけかな。
もちろんアニメ版設定だと思うけど
ぜんぜん記憶にないなぁ。
開け閉めで SE 付けられるから
便利なのかもしれないけど。


ルパとラムが対峙して、2 回目の電撃の時に
ラムに台詞が付いているのだけれど、
これも改悪だと思う。

原作で、2 回目の電撃を無言で放つのは
ルパの“顎クイ”に対する不快感の表明でもあり、
無敵の電撃の表現でもあるのに
どうしてわざわざ変えるのか。

脚本か演出か絵コンテか知らないけど
観客がお子ちゃま扱いされてるんだろうなぁ。


ルパの「おめえが早ぐおどなになるように。」
という台詞の後に、この映画では
「その時を楽しみにしているだ」という台詞が
ルパのキメ顔と共に付け加えられているが、
これも蛇足と言わざるを得ない。

ルパの謀略の予兆は
前段で切ったほうが高まった。

指輪からの毒粉をトリック扱いにして、
この後の意外性を
上げたかったのかもしれないが
匂わせ・伏線ぐらいは
もう楽しめる年齢だよ観客は。
あんまり子ども扱いしないでほしいなぁ。


友引高校を去るルパは、
何度か崩れた表情を残している。
しかしそれでは今後の“闇の宇宙”でのルパの、
“意外と善人”“意外とマジメ”という
ギャップギャグが毀損されてしまうではないか。
それは惜しいことだと思うのだが。

ラムを連れ去る時のルパが

原作のどこか寂し気な笑顔をできなくなって、

こんな安っぽいドヤ顔をさせられたのも
そういうチャラいキャラに
シフトさせられたせいではないのかなぁ。


ここまででだいたい 23 分。
まぁだいたい 30 分アニメ 1 週分だ。
とりあえず今週はここまで。
次回に続きます。〈おしまい〉
※レビューその 2 へ

ラムの髪の彩色について


お盆も終わって残暑に入っていく今日この頃。
うだるような暑い日が続く中に
時々雨の日もあって、
そんな日は少しだけ過ごしやすい気もします。

ここのところ、雨の日に通勤で外に出ると
女性の間で、虹色に色が変わるビニール傘が
流行っているのに気が付きました。
こういう奴。↓


材質なのかコーティングなのかよくわかりませんが、
光の当たり方で色が変わる。

個人的にはこういうの、
“ホログラム”というジャンルだと
認識していたのですが、
商品説明では“レインボー”とか“オーロラ”等と
称されて売られているようです。


“ホログラム”という言葉は
トレーディングカードの世界とか、
あるいは古(いにしえ)の
ビックリマンシール”の世界で
一般に知られるようになったのではないかと
思うのですが、
身近なところでは紙幣の偽造防止技術として
アナウンスされたこともあったかと思います。


僕が“ホログラム”という言葉に出会ったのは
初代「STAR WARS」(A New Hope)における
R2-D2が映し出した
レイア姫の立体映像だったですかねぇ
レイア姫の投影は七色ではありませんでしたが)。


さて今回は、「うる星やつら」のラムの
髪の毛の彩色について書いてみようと思います。
もっとも僕は物理的にはずぶの素人なので
市井のおっちゃんのよもやま話の域を出ませんが。


ラムの髪の毛の色は、
「構造色」ということで
だいたいカタが付いています。
昆虫でよく見られる、こんなの。↓


椎名高志氏も
事あるごとに言及なさっているようです。

椎名高志@『~異伝・絵本草子~半妖の夜叉姫』第2巻5/18ごろ発売 on Twitter: "構造色だから! アニメは当時の技術的制約の中、玉虫をイメージしてのグリーンだから!" / Twitter

 

椎名高志@『~異伝・絵本草子~半妖の夜叉姫』第2巻5/18ごろ発売 on Twitter: "ラムちゃん警察の方から来ました。 https://t.co/KkMTlmX1OM" / Twitter


緑色を揶揄するのは
行き過ぎな気がせんでもないですが。



車の塗色の「マジョーラカラー」

なんかも、この“構造色”を
利用したものとなるかと思います。


ですがこれら昆虫やマジョーラの“構造色”には
“透明感”がありません。
金属質感ともいえるギラギラ感は
どうしても表層的な輝きになってしまう。


ラムの髪には明らかに奥行きがあるので、
“構造色”を持った物質が
幾重にも重なった状態であると
推測できるでしょう。

新アニメのラムの髪なんかは
おそらくそこに拘っていて、

外周の白い部分は
透明感を表現しているのだろうと思います。
ちょっと、“ホワイトオパール”っぽい感じ。


ただこういう拡散の強い素材だと
発色も柔らかくなってきそうで、
ドギツイ原色は出にくいんじゃないかなぁ。

初期のコミックスの表紙絵を見ると
2巻や8巻では
ラムの髪は結構発色が良く、
かなり濃い色を使用しています。

“ブラックオパール”のようでもあり。


いずれにせよ、
透明感や多層構造的なことが
ラムの髪の彩色に際して重要っぽいですね。

まぁラムは宇宙人なので、その髪も
得体のしれない、地球の物理にとらわれない
物質である可能性も高いのですが。

ただあんまりやり過ぎると
“インベーダー”“エイリアン”らしさばかりが
強調されてしまって、
親しみが沸きにくいのかもしれない。

そこで“緑色”だったんですかねぇ。
淫乱ピンク”にするには時代が若すぎたのかも。
〈おしまい〉

コミケに行ってきました


台風が直撃するお盆となった昨日 8月13日、
コミックマーケット100/C100に行ってきました。

「艦これ」関連で、いくつかの同人誌即売会には
数年前に出向いたことがあるのですが
コミックマーケット、いわゆる“コミケ”は
もうずいぶん久しぶりとなります。

直撃とはいえそんなに強い台風でもなく、
暑いよりはマシだったかも、と
思えるような天気でしたが
湿度が高くてムシムシしてたし、
屋内の空調はあまり効いてなかったしで
QOLは結構低め。

東3あたりの“FC(少年)カテゴリー”に
行ってみると、
長机の上に折り畳み椅子が重ねられたままの
空きブースも結構目立っていて、
ホント、ファンサークルってのは
もう世間のニーズからは外れているんだなぁ、と
思いました。

SNSの時代になって、
同好の士の繋がりを確認する、
そのジャンルを自分達が盛り上げる、
そういったことが
とても小さい単位で行われるようになって
きたのでしょうかね。

「うる星」のリメイクアニメが発表されたので
さぞや“うる星本”も出ているだろう、と
思っていたのですが、
東4・5・6にも東1・2・3にも
ほとんど見つけられず。

結局、東3辺りの“FC(少年)カテゴリー”に
出展していた高橋留美子系サークルさんの本を
いくつか買って、帰途に着きました
(ラムが“くんくん”する暫定版ペーパーも購入)。

コミケ二日目の今日 8月14日の
“男性向けカテゴリー”だと
ラムがこぞってあちこちに
出没するかもしれませんが、
昔から日曜日は行ったことがないんですよね。



帰宅して、購入した同人誌を眺めていたのですが
やはりこういうのを見ていると
その熱にあてられるというか。

“熱気にあてられる” ではないんですな。
“この人たちも頑張っている、俺もがんばろう!”
ではなくて。

毒に冒される、という方が近い。
いろいろ考えてしまって、知恵熱が出ちゃう感じ。

僕も、僕のやりたいことをやらなくてはね。



そういえば先日、リメイク「うる星」の
おユキのCVが発表になりまして。

前回のこのブログ
“弁天やおユキ、クラマは第2クールに回せばいい”
などと書きましたが
早くも全否定くらいました(笑)。

公開されているPVで、

「あなたにあげる」※サクラ登場
「トラブルは舞い降りた!!」※面堂登場
「幸せの黄色いリボン」、

それにラム登場の「かけめぐる青春
(布団に寝ているあたるは「かけめぐる青春」?
 枕もとの人影は錫杖を携えた錯乱坊?)

は、もうその存在が確認されているし、
公式サイトで公開されている白衣姿のサクラや
ラン、レイから考えて、


かけめぐる青春(ラム登場)
・あなたにあげる(サクラ登場)
・愛で殺したい(レイ登場)
・お雪(おユキ登場)
・幸せの黄色いリボン(リボン回)
・トラブルは舞い降りた!!(面堂登場)
・妖花・サクラ先生(サクラ友引高校着任)
・体育祭危機一髪…(ラン登場)


までは決まったような感じです。
各15分でやるとこれで 4週分。

「体育祭危機一髪…」まででこの他に
外せそうにないエピソードは

・悲しき雨音(ラム再登場)
いい日旅立ち(弁天登場)
系図
・女になって出直せよ(クラマ登場)
・ディスコ・インフェルノ(つばめ登場)
・君去りし後
・白球にかけた青春(トンちゃん登場)
・個人教授(ラム友引高校編入
・戦慄の参観日(ラムのかーちゃん登場)

あたり。

「君去りし後」は
15分でやった方が間延びしなくていいんだけど、
では残りの15分で他のエピソードやるのか、
というと、それも情緒に欠ける感じがして
なかなかに難しそう。やっぱり30分ですかね?

これでもう 9週分になってしまった。


他には、「ツノる思いが地獄を招く」や
「君まてども」、「七夕デート」も
個人的には捨てがたいなぁ。
ラムの変身、というところで
キャラクタービジネスに利用できそうだし。

「マンナンウォーズ」もやっておかないと
サクラの大食い設定が紹介できないんだがなぁ。
まぁ水着回は絶対やるよね。


いや~、構成きっついなぁ。


……ところで、
アニメ昭和「うる星」において
テンを第2週で早くも登場させたのは
異常としか思えません。

推測ですが
こどもマンガ番組の「うる星」の
ハチャメチャ・ドタバタ・ナンセンスギャグには
ジャリテンという、物語を引っかき回す悪ガキが
うってつけという判断が働いたのでしょうな。

しかし、
いなくてもいい所にわざわざ登場させて
悪ガキっぷりを発揮させたので、
旧アニメのテンはかなりのウザキャラと
なってしまったような気がします。

ここは先達から学んで
適切な判断をしていただきたいところですが、
もう作っちゃってるか。


どうなるんでしょうなぁ。
楽しみだなぁ。〈おしまい〉

リメイク版「うる星やつら」のシリーズ構成を予想する


リメイクアニメ「うる星やつら」の
放映が始まる10月も迫ってきた今日この頃。

「あのエピソードはどうなるか」
「あの話は外せまい」といったコメントも
webでちょくちょく散見されますが
全46話のシリーズ構成がどうなるのか、
ちょっと考えてみたいと思います。

新アニメは4クール。
連続ではなく間を空けての4クールという話もあり、
それだけの長い期間で需要があり続けるのか、
なかなか舵取りの難しいプロジェクトであります。

ただ4クールを約束するうえでは
おそらく小学館の意向と決心が
相当モノをいってるでしょうから、
もはや人気が出るかどうかは関係なく、
やるといったらやるのだ、
イベントもやるし物販もする!
映画だってもう決まっているのだ!的な
ことになっているのかもしれません。

さて、原作「うる星」は全34巻(SSC版)。
巻でくくるのはちょっと乱暴かもしれませんが
これを仮に4つに分けると
1~9(キンタロが8巻と9巻にまたがっている)、
10~18(18巻ミス友引コンテストでキリがいい)、
19~26(特にトピックもなく順当に巻数で)
27~34(ラストまで)
という感じになります。

そうしたうえで各クールの
重要なエピソードを抜き出してみます
(これはあくまでも個人的な考えです)。


第1クール(1~9巻)
・ラム登場・鬼ごっこ
・星間タクシー・ラム再登場
・サクラ登場
・レイ登場
・弁天登場
・おユキ登場
系図
・クラマ姫登場
・つばめ登場
・面堂登場
・サクラ友引高校着任
・トンちゃん登場
・ラムのかーちゃん登場
・ラン登場
・テン登場

第1クールのうちにテンまでは
登場させておきたいだろうけど、
これは相当厳しいな。

このリストには、
既に採用が決まっている「黄色いリボン」や、
人気のある「君まてども」とか
「君去りし後」も入れられてないわけで。

上記のリスト上のエピソードに
それぞれくっついてくるエピソードもあるし。
AパートBパートで2話分ぐらいやったって
到底消化しきれない。

弁天、おユキとクラマ姫あたりは
ごっそり第2クールに移動かねぇ。
女の子キャラがどっと出てくるとなれば
第2クールのテコ入れにもなるし。


第2クール(10~18巻)
・コタツ猫登場
了子登場
・クラマ姫と面堂の絡み
了子とトンちゃんの絡み
・竜之介(と竜之介の父)登場
・ランと竜之介の絡み
・クラマと竜之介の絡み
・テンのかーちゃん登場
・竜之介の母の回想(真砂子)
・みじめっ子・終太郎
・しのぶと竜之介の絡み(総番登場)

第1クールから
弁天おユキクラマ姫の登場エピソードが
移動してくると、結構きつい。
竜之介という弾丸(タマ)を
第3クールに移動する手はあるかもねぇ。
ミス友引もやってほしいけど
竜之介が必須だからこれもまとめて移動かな。


第3クール(19~26巻)
・じんじゃあしゅがあぺっぱあ登場
・クラマ姫とレイの絡み
・子ギツネ登場
・飛鳥登場
・飛鳥と竜之介の絡み
・飛鳥の男性恐怖症克服
・竜之介と弁天の絡み

この辺は原作のほうも停滞感漂ってて、
物語の本流に影響しない単独エピソードが多いし、
竜之介と飛鳥という、
牽引力のある二人の女の子キャラで
人気を維持しつつ、
他のキャラの深掘りもやっていきたいところ、
かなぁ。
飛鳥は白い光線なのか、BDでは解禁なのか、
その辺も気になるところ。
ここで円盤の売り上げが見込めるなら
BOXの予約も開始して、
イベントチケット早期予約券も付けるとかね。


第4クール(27~34巻)
・飛鳥とトンちゃんの兄妹対決
・電飾の魔境(真吾登場)
・竜之介と真吾の絡み(地上波じゃ無理か?)
因幡クン登場(扉を開けて)
・渚登場
・しのぶと因幡クンの絡み
・竜之介と渚の絡み
・ボーイ ミーツ ガール

この第4クールを、
いろんなカップルの後始末に充てるとすると
ここもなかなかタイトなんである。
真吾あたりはバッサリ切らないと
おっ付かないんじゃないだろうか。
「電飾の魔境」と「ボーイ ミーツ ガール」が
近すぎるのもちょっとどうかと思うし。

まぁ問題は、「ボーイ ミーツ ガール」を
30分でやるのか、2週かけてやるのか、
というところだろう。
内容の濃さでいったら30分は無茶なので
1時間でやりたいが、
一週間空けるのはちょっとキツい。
となると1時間特番しかないっすねぇ。


というわけで総括すると、

第1クール
ラム登場、友引町と友引高校編

第2クール
ラムの仲間たち登場、ドタバタ編

第3クール
竜之介と飛鳥登場、お色気編

第4クール
因幡クンやボーイ ミーツ ガール等のラブコメ

というのが当るーみっく おーるどの予想です。

OVAはもう時代じゃないからやらないと思うけど
劇場版はあるかもな~。
でもじゃあどのエピソードをやるかっていったら
安易なハチャメチャエピソードじゃ
集客出来ないと思うし、
「ボーイ ミーツ ガール」以外には
ちょっと考えられないわけです。

しかし「ボーイ ミーツ ガール」は
一度、劇場版として制作されているわけで、
2度目はないかなぁ…と思うんだけど
「シン」が付けば何でもありじゃね?
という気もするし。

ただなぁ…。

この絵柄で、「ボーイ ミーツ ガール」の

これ、が全く想像できないんですよね…。
ラムの真剣さ、ラムを失うかもしれない怖さ、が
ちゃんと表現できるのだろうか。

モーレツ宇宙海賊」みたいに
劇場版でガラッと絵柄を変えちゃう、ってのは
アリかもしれないけどなぁ。

まぁ、お手並み拝見というところです。〈おしまい〉

名セリフ多し! うる星やつら「白球にかける青春」レビュー


まだ7月ですが暑さ真っ盛り、夏真っ盛りです。
こんなにも季節を感じる中、
社会は新型コロナの影響でなんとなく停滞していて、
いろんなことが気怠いなかでしかし今年は
夏の高校野球がしっかり行われているのが
なんとなく救いだなぁと思っています。

プロ野球は見なくなってもう何十年、ですが
高校野球はかなり見るほうでして。

強い相手に立ち向かう勇気、
格下の相手にしてやられる口惜しさ。

失敗したら、周りは慰めてくれても
本人はくよくよするんだろうなとか、
ナイスプレーをしたら
彼女に次の段階まで
許してもらえるんじゃないだろうかとか。

いろいろ妄想がはかどるので
高校野球は楽しい。

さて留美っくで野球といえば

響子さんのケツ(6-1)ですが、
清廉潔白な高校球児に免じて
今回はうる星やつら「白球にかけた青春」(5-4)
をレビューします。


トンちゃんの登場からエピソードは始まる。

あきらかにカッコいい男子として描かれているのに
「うる星」全編を通してみると
トンちゃんがモテてるエピソードはなかったなぁ。
そりゃ飛鳥には慕われているし
了子からは(好意からか)よくイジられているが
男前、という扱いはされなかったような。

飛鳥がべったりだったから、
モテ男にしてしまうと
イヤらしい感じになってしまったかもしれないので
ギャグキャラに落ち着いたのかもしれないなぁ。

まぁ、人間離れしたギャグを次々繰り出す
超常キャラとしての存在のほうが
彼の魅力としてはあっていただろうし、
美形がギャグをやるということについても
ことさら美形ということを高らかに言わんでも
絵を見ればわかるだろ、
ということなのかもしれない。

この「白球にかけた青春」はギャグ特化回だ。
この最初の見開きで
どんだけギャグが詰め込まれてることか。
そのギャグがそれぞれバラバラではなく、
重ね掛けされているのがとても面白いし
テンポもいい。

次の見開き(P3~P4)も
これでもかとギャグが散りばめられているが、
ギャグ回はレビューがしにくいな……。
ギャグを一つ一つ引用してもなぁ。
そんなことより「読め」って感じだし。


「三つ子の魂、百までも!」(9-3)


面堂の前から駆け去っていくトンちゃんだが
確信犯的に「わーははは!」などと
言っていないところが
キャラの、まだ見ぬ懐の深さとなっていて
たいへんに興味深い。

スポーツ用品メーカーというが
この頃の知名度的には
やっぱり野球用品がメインだった“美津濃”である。
だからなのか、野球以外の種目は
「うる星」ではあまり使われなかったなぁ。
少し後の「ビキニを奪え」(5-8)で
いろんなスポーツが使われたぐらいかな?

いろんな種目で
面堂と対決するやり方もあったかもだが
なんといってもトンちゃんが
運動音痴なのが痛かった。

まぁトンちゃんは、野球バカみたいに
描写してしまったところもあったしね。
14巻で久々に登場した時(14-6)も
野球エピソードだった。

そこで、“運動音痴のやる野球”は
出し尽くした感もある。


面堂の打った打球がトンちゃんの顔面を狙う。
“熨斗をつけてお返し”になっているのだが
流れ的には面堂の挑発が先だったので
“お返し”というわけでもない。

オチでは強豪リトルリーグのちびっ子が
大人びた文句や泣き言をいっている。

後の金太郎回(9-1)でもそうだけど

ヒネたマセガキギャグがお好きなのかもしれないな。

まぁなんにせよ、最初から最後まで
ギャグのオンパレードといったエピソードで、
たいへん楽しい回である。

読め!(2回目)〈おしまい〉