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(毎週土曜日中の更新を目指しています)









いちるーみっくファンから見た「エル」

一介の漫画ファンでしかない一般人の僕には
メディアによって伝えられることでしか
情報を得る術はない。

それを鵜呑みにすることは
見事に踊らされていることかもしれないけれど、
僕のような一般人は、
それを拠り所にするしかないのだ。


劇場用アニメ「うる星やつら オンリー・ユー」は
スタジオぴえろによるオリジナル作品である。

初の劇場版作品という舞台の
メインキャラクターとして、
またラムと敵対する強力なライバルとして
「エル」という、星の王女が産み出された。

「エル」というキャラは鳴り物入りで告知され、
その強大さが、作品のスケール感を醸し出すような
そんな風に扱われていたが、
当時の僕は、エルに対して
困惑と違和感を持っていた。

まず見た目だが、エルは髪が短い。
ショートカットの女王なんて聞いたこともない。
活発、自由、意志の強さ、
ショートカットから感じさせられる
そういったニュアンスが
どうにもストーリーとちぐはぐである。

周知のことだがエルのデザインは
原作者の高橋留美子氏によるものだ。
だが、おそらくエルの、キャラクター設定への
高橋留美子氏の関与は薄いとみている。

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髪に飾ったバラは白バラだが
そこは白バラであるべきなのか


そもそも、「バラ」というのが気恥しい。

そんな気恥しい「バラ」をモチーフとするなら
何かしらの必然性を持ってこないと
恥ずかしくて悶え死んでしまいそうになるのだが
エルのバラには意味がない。

綺麗なバラには棘がある、の棘が
あのコレクションだったということなのか。
だがその程度の二面性は、
「うる星」のキャラであれば
誰しも持っているものなのだ。

エルのコスチュームに施された棘の蔓は
己が縛られていることを表しているのか。

だがエルは結局、
気高く王女として生き続けることを選んだ。
この、本当の自分を押し殺すという生き方は
うる星やつら」のキャラがやることではない。

後年、「オンリー・ユー」への
アンサーストーリーであるかのように描かれた
「ボーイ ミーツ ガール」編のカルラと比べると
エルはあまりにも高貴で隙がない。
美男子のコレクションがあたるにバレた時に
うろたえてみせた際のそのうろたえ方でさえ、
あまりにも上品なのである。

つまり、作品世界に馴染んでいないのだ。

だから、エルがラムの好敵手になり得るはずがない。
あたるが本心からなびくわけがない。

ドタバタストーリー中の、障害としてのエル。
わりと救いのない話である。

高橋留美子氏は、「オンリー・ユー」において
エルというキャラの使われ方に
喜んだだろうか。

まぁ、エルに愛嬌を与えたら
クラマ姫になる気もする。
後年クラマ姫が
あたるの被害者になっていくことを考えると
エルが原作世界で登場していたならば
きっと同じように面白おかしい日常を
繰り広げたことだろう。

「オンリー・ユー」についてはもう少し続きます。