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君たちはどう金を落とすか


原作『妄想フーセンガム』は
文字通り 妄想を膨らませる話で、
男性読者ターゲットであればこその
「読者サービス」てんこ盛りの話だった。


昨今のアニメ界の風潮からして本来なら
「『妄想フーセンガム』やるならあのシーンは
ぜひ私に!」というアニメーターがひしめいても
おかしくないぐらいの話なのだが
そういう気配は、その部分の仕上がりからは
まったく感じられなかった。

昔だったら9割9分西島克彦氏がしゃしゃり出てきて
必要以上に枚数使った艶めかしい女の子を
描いていたことだろう。

しかし今回、原作と比較しても
エロさの減少が著しかった。
「お雪」の防寒スーツのくだりと比べてさえ
男性の劣情を煽る雰囲気が減っているのを感じた。

ポリコレへの配慮かな、とも思ったが
これはもしかしたら
あえてそういう傾向を
排除しているのかもな、とここ最近考えている。

なぜというにそれを描くと
それに劣情を催す実在男性の存在を
想起させてしまうから、じゃないかと。


24話のアバンでは、
錯乱坊がラムとあたるを指して
「地球を賭けた鬼ごっこの末、親善結婚。」
と言い放った。
これは物議を醸し、続くあたるの
「そんなもん、誰が認めるか!」という台詞を以て
当人同士の同意が取れていないので事実ではない、
という主張もあったけれども
あたるの台詞がどう面白さに繋がるかを考えれば
世間、いや世界中が両者の結婚を
超法規的に確認しており、
認めていないのはあたるだけ、となるのは明白だ
(面堂などのラム派は覆したがるだろうが)。

なぜそんな設定にしたのか。

このアバンでは、鬼ごっこの際の
ラムの勘違いについては触れられなかった。
押しかけ女房という、「頼まれもしないのに」
というニュアンスも描かれなかった。


新しくなったOPで
あたるが面堂に抱きつくシーンがある。
これはあきらかにおかしい。
絶対にあってはならないシーンである。

X で「あた面」を検索するとわかるが
そういうファン層は結構な数で存在する。

無論、二次創作としてのそれらは
否定するものではない。
ラムにコスプレをさせたファンアートを
見たり描いたりするのとたいして変わらない。

だが公式が表現するのは断固としておかしい。
なぜそんなことをやったのか。


話は飛ぶが、
第1期の2クール目のOPが嫌いだった。
サビ以降の、学校の廊下で踊るシーンで
面堂とサクラが
すごく不愉快そうな顔をしていたからである。
ラムとあたるが仲良さそうにしたり
勝手をしたりするのが不愉快なのかもしれないが
みんなで踊るシーンに似つかわしいとは思えない。
不愉快そうな人を見るのは不愉快だ。

しかし、最近 X のおすすめで流れてきた
ファンアートを見て はっとした。
あの面堂は、不愉快そうな顔をしていたのではなく
伏し目がちな憂いの表情をしていたのでは
ないだろうか。
嫌なことがあったのではなく、
通常モードがあの顔なのではないだろうか。
そういうのが好きな人たちに
応えていたのではないだろうか。
そしてアニメーターの力量不足で
それが上手く表現できなかったのではないだろうか。

僕にとっては面堂は
時折り素直な表情を見せることもあり
その時はただのクラスメイト、という認識なのだが、
「公式スターティングガイド」の設定資料を見ても
高校生らしい素直な表情が見当たらない。
なぜそんな設定にしたのだろう。


もしかしたら今回、本当に
ターゲットを女性に切り替えたのではないだろうか。

なんのためにといえば
そのほうが商業的に利益が出るから?


コラボ商品の多さを指して、
テレビアニメ本編はコラボ商品のための紹介動画だ、
と揶揄されていたこともあったが
今回、コラボ商品で使われる絵柄が
ラムだけに偏ってはおらず、
多くのキャラがラインナップされていることも
その表れなのかもしれない。


女性にとって不愉快となるかもしれない表現を
排除して、女性が好む表現を強めていった、
今までそれをポリコレと勘違いしていたけれども
そうじゃなくて
マーケティングの話だったのだろうか。

まさか、これだけの男性ファンを擁していながら
そっちに舵を切るとは想像もしなかったが
それだけ、今の男性ファンが
利益に結び付かない、と判断されたのなら
確かにこうべを垂れるべき話ではある。


ではどうしたらいいか、どうするべきかというと
まず頭に浮かぶのが円盤だが、
配信が充実している今
円盤を買って応援といっても
たいした金額にはならないだろう。

また、円盤購入を促すなら/それが男性相手なら
それに見合った動画クオリティを出さねばならず
先方としても割に合わないと思われる。


となるとイベントとか物販か。

結局そこなのだ。

有名な声優を揃えたのも
その辺りの目論見があるのだろうが
KACのファン大会の再現とまでは
いかなかったようで、となると物販か。


しかし、男性はあたるのグッズを買わないだろう。
なんなら竜之介のグッズも買わないだろう。
そこを買ってくれるのは
やはり女性なんじゃないだろうか。


といいつつも爆売れしている様子もないし
商品を売って儲けるというよりも
そのライセンス料で儲けている風な。
あるいは採算は二の次で実績作りと考えているか。

グッズ会社はグッズ会社で
誰もが知る有名コンテンツに対して
スポンサーではなく使用料であるから参入しやすく
また損益についても自省的になりやすいだろう。

一見Win-Winのようで
大阪万博と協賛企業の関係のようにも見える。


今回のラムは、聡明さとは程遠い。
本来ラムは
卓上打算機を持ち出すまでもなく
あたるより頭が切れるのだが
今回はやたら「ん~?」と言いつつ
ポカンとしており、
きっとそれは「カワイイ」仕草なのだろう。
それは間違いなく意図的な演出であり、
きっとターゲットのニーズにも
沿っているのだろう。


結局のところ、僕はターゲットではない。
not for me というよりは
切り捨てられた感がある。

まぁ仕方ないです。

〈おしまい〉