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諸星あたるを女たらしにはしなかった高橋留美子


ブコメ漫画、恋愛漫画について
何週か書いてきたが
考えはやはり『うる星やつら』にも及ぶ。

 

『うる星』の主軸が恋愛かどうかは
意見が分かれるところだろうが、
“ボーイミーツガールもの”(サブタイではない)
であることは揺るぎなく、
ということはやっぱり
思春期の男女を描いたものなのだろう。


諸星あたるは無類の女好き、という設定だが
二股をかけたことはない。

ガールハントはするが、
相手の心まで求めることはない。

行きずりというかなんというか、
愛情を求めない点においては
もはや恋ですらなく、
テレクラや出会い喫茶のような風俗を
利用するのに近い。


(29-1 電飾の魔境=その1=)

モブキャラに対してはもちろん、
それがしのぶやサクラ、竜之介であってもだ。

竜之介がもしも“なびいて”きたら、
あたるがある一定のところで
そそくさと逃げ出す様は、容易に想像できるだろう
(あたるはペルソナを被っているので、
「君だけが好きだよ」とかは平気で言うだろうが
真心を差し出せと真顔で言われたら無理なのだ)。


つまり、諸星あたるは尻軽ではないのである。


ただ、“浮気者”ではある。ラムもそう言っている。
この“浮気”が、実に昭和的だ。


昭和の高度経済成長時代のオッサン達が
水商売の女とネンゴロになる、
ト〇コに行く、みたいな風情がある。
背広のポケットから店のマッチが出てきて
女房が怒り狂う、みたいなやつである。

その場合、女房は
亭主を商売女に取られるなどとは思わない。
自分に忠実でないこと、
自分のプライドを傷つけたこと、に怒るのだ。

しのぶが面堂に鞍替えしたあとのラムは
まさにこのマッチを見つけた女房のスタンスである。


これが、同僚の若いOLと不倫をして
「女房とは別れて君と一緒になるよ」
みたいな話だったら
ラムもそう うかうかしていられないのだ。

だがあたるはそういう修羅場になりそうな
浮気はしない。
あたるは身持ちが堅いのである。


そういうあたるに対するラムは
自分の立場が盤石だと思っている節がある。
あたるに選んでもらうために、気に入られるために、
自分を変えていこうとはあまり考えていない。

それは
“そういうあざとさを持たない女性”
というキャラクター付けでもあろう。
ラムのそういうさっぱりした性格が
コミックス3500万冊に寄与したかもしれないし
一概にいい悪いは言えないところだ。


しかしこと“恋愛部分”に限っていえば、
しのぶとの三角関係状態にあった時のラムのほうが
“可愛い女の子”だったなあと思うのである。



ああそういえばですね、
この夏、とある報道を聞きつけまして。

【悲報】男が女性に対し「今から遊ばない?」等と声をかける → 通報され事案に : はちま起稿


事案ですかそうですか。
なんか…感慨深いなあ……。

〈おしまい〉