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どこを向いているのか ジェラピケ回の話


さて、続きです。

僕は別に取り立てて
(原作)『扉シリーズ』の展開が
気に入らないわけではないのです。

ただ今回、一部の視聴者を惹きつけようと
ラムちゃんかわいそかわいそ路線”を
安易に組み込んで、
作品の本質をないがしろにするのではないかと
危惧していたわけです。

蓋を開けてみれば結局のところ
シリーズ構成がほとんど機能していないせいで
系図』が無かったかのような内容となっており、
必死になってしまった自分がダサ過ぎる、
みたいなことになってしまいました。


令和アニメ『扉を開けて』には
いろいろ思うところがあります。

言っておかないと肯定したことになるので
一つ残しておきたいのは
しのぶ(母)がこけるに対して
ややうんざり気味な描写に終始していたことを
僕は不愉快に思っている、ということです。

※「お恥ずかしい」と平手打ちを合わせたのは
“恥ずかしい息子”感を強める演出ですよね。

しのぶ(娘)にもそのストレスは
伝わったことでしょう。同一人物ですし。


原作では、
しのぶ(母)がこけるを愛していることが
結構じんわりと伝わってきました。

それがわからないのか、それとも
(別ベクトルの目論見のために)軽視しているのか。


なんのためかといったらそりゃ
ラムとあたるの関係を最優先する、という
令和アニメの方針のためでしょうね。


昭和版OVA「夢の仕掛人因幡くん登場!」では
どうだったでしょうか。

慈愛に満ちた「さ、行こう、こける。」という
ニュアンスはありませんでしたが
歩いていく先で、あたるの母と同時に
あたるの父とも出会うストーリーになっており、
それなりに幸せそうな状況には描かれていました。


昭和版が優れている、とかいう話ではないのです。
昭和版は作画の面などでキツいところもありますし。


しかしまぁやはり共通認識として、
こけるもしのぶ(母)も
あの世界では幸せなんですよ。

それを目の当たりにしたしのぶ(娘)としては
(あたるが夫になることに)
「げっ」ではあっても
もしかしたらこの先自分が大人になっていく未来で
そういう幸せのかたちもあるのかもしれない、と
胸の中で理解をそっと持ち始めるような、
そんなストーリーなんじゃないですかね、
『扉シリーズ』は。


どうもそれをね。
できの悪い息子を持ってあたしの人生冴えないわ、
みたいな感じにされるのはね、
しのぶにも失礼ですよ。

少子化上等なZ世代に
合わせているつもりかもしれないけれど
気に入りません。

“踏み絵”なんかよりもよっぽど
大きな問題だと思うんだけどなぁ。

〈おしまい〉