アニメ化に伴う議論の中でよく
「原作者が許さないだろう」
という意見を見かけるが、どうなんだろうなと思う。
アニメというビジネスの中で
原作者の意向が取り合ってもらえない、
というのはたまに聞く話で、
最近だと中村うさぎ氏のこのインタビュー記事が
そんな内容を含んでいた
(タイトルは恣意的だが面白い記事だった)。
原作者を取り巻くビジネスパーソンが
原作者をなだめたり、おだてたり、すかしたりして
商業を優先させてしまうというのはあるだろう。
あるいは原作者自身が、
ビジネスに気を使う場合もあるだろう。
一方で、
原作者がアニメについて無関心、
というパターンもあるように思う。
無頓着という場合もあるだろうが、
無関係だから、というスタンスを
貫いているパターンもあるだろう。
さらにだが、
もはや判断力が失われているパターンも
あるのではないかと思う。
カラフルなら楽しげに見えてしまう、とか
なんか一生懸命やってもらってるから満足、とか
まぁそういうのって
加齢とかの問題もあるのだろうけど。
だから僕は、
アニメに対する原作者の采配というのは
あまり信じていない。
☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆ ☆☆
今回、高橋留美子氏に対する小学館の姿勢を
僕はちょっと疑問視している。
内容はどうあれ
「うる星」の新アニメ化という機会に対して
高橋留美子氏の各コミックのキャンペーンが
少な過ぎた。
原作ラムの露出もほとんど企画されなかった。
それについては浅野ラムの定着化のために
何らかの協議があったのかもしれないけれど。
目を疑ったのは、
「うる星」復刻版コミックスの
電車ステッカー広告だ。
画業を生業とする高橋留美子氏の
コミックス商品の広告に
新アニメ「うる星」の浅野ラムのキービジュアルが
大きく使われていた
( Twitter で “うる星 車内広告” を検索すれば
見ることができる)。
これはひどいと思った。
小学館はよくこんなことできるなと思った。
そして、なぜ怒らないのだろう?と思った。
「編集王」 土田世紀
僕の大切な本の一つです。
あと、電ファミの白井勝也氏と鳥嶋和彦氏の
対談記事もたいへん面白い。
必読です。
〈おしまい〉