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漫画のリアリティ・ライン


漫画やアニメの感想を漁っていると
リアリティの問題によく出くわします。

そしてそれに対して
漫画にリアリティを求めるのはナンセンスだとか、
ギャグ漫画なのだからなんでも起こり得るのだ、
とか反論が付くのも
わりとセットだなと感じています。

 

ですがナンセンスギャグ漫画なら
なんでもありなのかというと、
そうではないのではないでしょうか。


鬼の宇宙人が侵略してきて
その行方を鬼ごっこで決めることになった、
こんな事ありえないんですけど、
漫画だからそれはアリ。

だけど例えば、
彼氏の浮気を彼女が阻止するはずの場面で
物語を進めるために彼女がそれを看過する、
なんてことがあったら、これは気になってしまう。

彼女の人格からしてこれはおかしい、
設定に矛盾した行動だ、
“エラー”が起こっている、と
認識してしまうんですね。


…そうであっても
その先で面白い展開にできたとしたら。
その看過は帳消しになるのか。

これはすごく難しいですが
「これだけ面白いものを出されたらしょうがないな」
と思わざるを得ないこともしばしばあります。

結局トータルでの評価なのでしょう。


しかし時に、
「えっ、こんなオチ!?」みたいな
がっかりする展開もあって
そうすると
「おいおいちょっと待てよ、そもそも…」と
ご都合主義な導入部まで
ページを戻して読み返すことになってしまいます。

だからまぁ、ウソは上手につかなくちゃならない
(「推し…」を拾ってるわけではないですが)。

ここを上手いことやるのが
クリエイティブだと思います。

ウソは相手のレベルに合わせてつくもので、
だから下手なウソっていうのは
相手を見くびっていることになる。
それでは消費者だって、
馬鹿にされたように感じてしまう。


そうならないためには
とりあえず全力でウソをでっちあげるしか
ないんじゃないかなあ。


細かいことはいいじゃないか、
頭を空っぽにして楽しんでいるのだから
いちいち文句を言うな、という意見もあります。

そういう楽しみ方を
他人がどうこういう筋合いはありませんが、
それではドラッグビデオとたいして違わないし
観点が表層的な部分にとどまっていて
作品を理解したことにはならないんじゃないかと
思います。

骨までしゃぶってナンボなんじゃないかなあ。
〈おしまい〉