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「ザ・超女」レビューその4


「ザ・超女」のレビューももう4回目です。
前回(その3)はこちら
ではさっそく。

 

「敵艦みゆ」とはまたアナクロい。
日露戦争司馬遼太郎あたりが
国民の共通認識だった時代ですな。



誘拐犯の親玉登場。
マスクのてらてらとした黒い描写が見事で
いかにもダース・ベイダー的だが、
頭に花が咲いているところは
コジコジ」の頭花君っぽい。


親玉はスーちゃんのことを「スーちゃん」と
呼んでいるが、スーちゃんの本名は不明である。
世代的に「スーちゃん」といえば
キャンディーズのスーちゃんしかおらんわけですが
まさか好子でもあるまい。

wikipedia には彼女を指して“スー”とあるが
スーはなくない?スーは。

まぁしかし「ザ・超女」のキャラ名は
マリス・マーフィーがマから始まってて、
マリスとスーちゃんがなんか被ってて、と
なんかどうも
ちゃんと設計できてないように思えるな。

親玉が人質の殺害を口にする、というのが
ミステリー要素としては
ギリギリっちゃあギリギリである。
ごっこ”なのだ、といえばそれまでなんだけど
スーちゃんの返しも不自然極まりなくて。

スーちゃんも“ごっこ”に付き合っているという
匂わせ・伏線が少しでもあれば、
もうちょっと受け入れやすかったかなー。

あと、みせしめに殺してしまったら
もう身代金とれないよね、という話ではあります。
そこは拷問だろ、と思うのですが
物語のプロット的に問題ありますわな。

物語随一のスーちゃんのアップ。
スーちゃんの髪飾りは
何かモチーフがあるんでしょうかね?
マリスの髪飾りが“¥”だけに
スーちゃんの方も
何かを模している気がするのですが。
通貨の記号とかじゃないみたいなんですけどね。
アニメのほうの画像を見てもよくわからん。

後ろの方までずーっと同じ構成で描かれているので
きっと意図されたものだと思うのですが。

水引きかな、と思ったのですけれども
触角のような、雄しべのような部分が
小さいコマでもきちんと作為的に
先が曲げられているのが不可解。
いったい何だろう?

パワー抑制ギプスを疎ましがるスーちゃん。
形は大リーグボール養成ギプスのようでも
こちらは戒め的な減衰器として機能しています。
なんというか SM の緊縛風でもあって
自由の束縛という意味では まんまでもあります。

みんな大好き「みんなビンボが悪いんや!!」。

名セリフでありますが、改めて見ると
セリフもさることながら、
擬音の「ぎっ ぎっ」がすごく効いています。

マーフィーの「恥ずかしいなあ!!」と同じで
少しヒネた立場からギャグの後押しをしている。

作者が意図しているかどうかはわかりませんが、
結果としてこの「ぎっ ぎっ」はギャグです。
速読だとうっかり読み飛ばしてしまいそうなので
ちゃんと味わってみてほしいなあ。

そうそうスーちゃんは涙もろくて
何かっていうとすぐ泣くけど、そこがいいよね。

惑星モロイに到着したマリス一行。
空にはガス雲なんだかオーロラなんだか
よくわからないものがたなびいていて、
しかしモロイの外観とリンクしているのは
しっかりしているなあと思う。

作画コスト作画コストいうより
ちょっとこういうサービスする方が
よほど気が利いてるよな。

「ザ・超女」発表時は
山口百恵が「青い果実」を唄ってから
結構経っているけれども、
まだせいぜいビニ本程度に
興奮していたような時代であって、
性を換金するという発想自体が
口にするのも憚られる風潮だった、
ということですわね。

スーちゃんがパトロール船の前脚を破壊するが
この行動は何のため?
手荒なお出迎えといえばそうなのかもしれないが
あんまり意味ないような。
まさにマーフィーのギャグをやるためだけに
盛り込まれたとしか思えないんだけどなあ。

歳をとってから読むと、
この瞬間にマーフィーのこの手のユーモア、
そしてマリスの返しが“のしかかられたこと”には
特に嫌悪感を持っていないことから、
二人の間には薄い本的なパートナー関係が
あってもおかしくないな、と思ってしまうのですが。
退屈な宇宙船の生活が何日も続くのでしょうし。
ハヤカワ SF 文庫なんかでも
そういうのよくあるじゃないですかやだー。

マーフィーのセリフにも、
実は本音が見え隠れしている、とかね。
想像がふくらむなあ!

めっちゃ簡単に不正アクセスされてるよね、
というお話。
まぁ「ザ・超女」に限らず漫画・アニメでは
わりとそんな感じでしたが。

それとここではマリスのポージングが
ステロタイプな SF 美女のポーズで
たいへん悩ましい。よいですなあ。



ということで今週もいったんおしまい。
来週に続きます。〈つづく〉